2017年1月31日火曜日

third time's the charm

抗体の受託作製を検討中。いろんな会社のウェブサイトを見ていたけど、結局代理店に紹介してもらった一社と連絡を取り始めた。このタンパクの抗体は、まだフロリダにいた時にYF博士のほうでポリクロを二度も作ってもらったのだが、どちらもWesternではなんとかバンドが確認できるものの、残念ながらimmunofluorescenceではほとんど使えないものだった。その後長いこともう一度チャレンジする機会はなかったのだけど、先日大阪でYF博士と話していて、やはりこれは我々がやらなあかんやろ、ということで三度目の正直にかけようと思い立ったのだった。なんか、アミノ酸配列を眺めるのとか久しぶり。メガトゥーラクレヌラータ、キーホールリンペットヘモシアニンとか、なんだか懐かしい響きの言葉を久しぶりに口にしてみたり。

neko

先週の金曜日、K研とM研の合同新春お疲れ会に参加させてもらったのだが、写真はその二次会で行ったお店で飲ませてもらった日本酒達。日本酒のことはよく知らないのだが、なかなかイイお酒ばかりなんだそうな。色々と聞いてから選ばせてもらっただけに、どれも自分好みですごく旨かった。ワインもさらっとスゴイのを出してくれていたし、このお店はまた行きたい。

2017年1月30日月曜日

NAA: non-cell-autonomous autophagy

ノルウェー、オスロのDr. TERのところから、つい最近Natureに報告された論文。最後まで見所が続くエキサイティングなお話だった。Dr. TERとはいつ頃知り合ったんだっけな。ジョンピーがまだ学生の時に少しの間Dr. TERのラボに出向していたことがあって、たぶんどこかの学会でジョンピーに紹介してもらったんだと思うけど。去年のFly MeetingでもWM labの集まりに来ていたDr. TERとテーブルが一緒だったので、その時にも研究の話を色々としたはずなんだけど、そういやあの時この論文に関することは何も言ってなかったな。

Microenvironmental autophagy promotes tumour growth.  Nature 541: 417–420.
As malignant tumours develop, they interact intimately with their microenvironment and can activate autophagy, a catabolic process which provides nutrients during starvation.  How tumours regulate autophagy in vivo and whether autophagy affects tumour growth is controversial.  Here we demonstrate, using a well characterized Drosophila melanogaster malignant tumour model, that non-cell-autonomous autophagy is induced both in the tumour microenvironment and systemically in distant tissues.  Tumour growth can be pharmacologically restrained using autophagy inhibitors, and early-stage tumour growth and invasion are genetically dependent on autophagy within the local tumour microenvironment.  Induction of autophagy is mediated by Drosophila tumour necrosis factor and interleukin-6-like signalling from metabolically stressed tumour cells, whereas tumour growth depends on active amino acid transport.  We show that dormant growth-impaired tumours from autophagy-deficient animals reactivate tumorous growth when transplanted into autophagy-proficient hosts.  We conclude that transformed cells engage surrounding normal cells as active and essential microenvironmental contributors to early tumour growth through nutrient-generating autophagy.

まず、Drosophila eye discsに誘導されたRasV12-expressing scrib mutant clones (RasV12 scrib) が形成するtumorの周りの細胞でautophagy activityが亢進している(Atg8aが蓄積)、という発見からお話が始まる。しかもこのautophagy activityの亢進はeye discの周辺細胞だけではなく、muscle、fat body、midgutといった他臓器でも観察されるのだ。その一方で、RasV12 onlyのbenign tumorの場合、これらのautophagyは観察されない。autophagy flux inhibitorのchloroquineの経口投与によってautophagyを抑制すると、このeye discのtumor growth and invasionが抑えられた。ところが、eye discのtumor tissue内でautophagyを阻害した場合、tumor growthは若干抑えられるだけで、ventral nerve cordへのinvasionは抑えられなかった。これに対し、tumorの周辺細胞、もしくはtumorと周辺細胞の両方でautophagyを阻害すると、tumor growthもinvasionも抑制された。つまり、RasV12 scrib tumorのinitial tumor growth and expansive invasionにはnon-cell-autonomous autophagy (NAA) が必要であるということになる。
これまでの研究によって、RasV12 scrib tumorの growth and invasionには、TNF–JNK–Fos and IL-6–JAK–STAT cytokine signaling pathwaysの関与が分かっている。TNF (Eiger) mutant background、もしくはtumor内でのJNK activityの阻害(bskDN expression or fos mutant)によって、確かにNAAも抑制される。一方、このtumor内でのTNF-JNKの阻害によって、他臓器におけるsystemic autophagyはそれほど抑えられることはなかった(gutでは結構抑えられてるけど)。RasV12 scribのtumor growthにおいて、JNKの下流でHippo signalingが関与しているということも既に報告がある。で、これまたYkiかSdをRasV12 dlg tumorでノックダウンすると、tumor growthとNAAは抑制されることが確認された。
こういうコンテクストでYki、Sd、Fosのターゲットといえば、Impl2、Upd1, 2, and 3である。これらの関係を調べたところ、Impl2はNAA inductionに必要ないが、RasV12とUpd1 or 3のco-overexpressionはNAAを促すことが分かった。つまり、cytokine UpdがNAA inductionをmediateしていると考えられる。そこで、tumor tissue内でJAK-STAT signalingを阻害すると、NAAは確かに抑制されるのだが、周辺細胞でJAK-STAT signalingを阻害しても周辺細胞におけるNAAは抑えられなかった。つまりUpdはtumor cellsにおいてautocrineで働いているということになる。
RasV12 scrib tumorではミトコンドリアがダメージを受けており、reactive oxygen species (ROS) の産生が増加していることも分かった。ND75のノックダウンによるmitochondrial ROSの増加はNAAを促す。RasV12 scrib tumorにおけるJNKもしくはJAK-STAT signalingの阻害は、どちらもROSの蓄積を抑制することができる。つまり、RasV12 scrib tumorにおけるROSと周辺細胞におけるNAAの増加は、どちらもFos-, Yki/Sd- and STAT-mediated mitogenic signalingによるものと言える。また、RasV12 scrib tumorではglucose analogue 2-NBDGの増加が認められ、cationic and neutral amino acid transporterのslimfastをtumor内でノックダウンすると、RasV12 dlgのtumor growthが抑制されることから、これらmetabolic stressを受けているtumorの増殖能の維持はnutrients importに依存しているとも考えられた。
このtumor growthに必要なnutrients importのNAAへの依存性を確かめるために、allograft experimentが行われた。eye discのRasV12 scrib tumorを移植したアダルトの個体ではautophagy activityが上がり、このallograft tumorは、ホストへのautophagy inhibitorの投与、もしくはホストがatg14 mutant backgroundを持っている場合にtumor growthが抑制された。さらに驚くべきことに、autophagy deficient (atg13 mutant) のRasV12 scrib tumorのallograftは、autophagyが正常なcontrol hostのアダルト個体に移植されると、regrowthを始め大きなtumorに成長するのが観察された。つまり、tumor growthはtumor locationやoriginal tumor environmentではなく、ホストのautophagy capacityに依存しているということを示している
ふーむ、ちょっとややこしいしけど、スゴイことを示しとるな。かなり複雑なgeneticsを使った実験が多いので、フライガイ以外の人にとっては実験系を正確に理解するの難しいんじゃなかろうか。ところで、他臓器でautophagy activityが亢進するsystemicなメカニズムってなんなんやろかね。

2017年1月26日木曜日

PI

Propidium Iodide (PI) というと、自分の中では死細胞の検出に使う蛍光色素というイメージが強かったのだが、FACSでの核染色でも一般的に使用されるんやね。ちなみに PI はDNAの二重らせんにインターカレートされるのだが、RNAとも結合するので正確なDNA測定をする際にはRNase処理が必要となる。
ということで、今日予定していたKのFACS実験を行うために、Kラボにフローサイトメーターを使わせてもらいに行ったのだが、PI染色だとなんやかんやと実験条件が合わないことが発覚して残念ながら今日は断念。今乗っけているRFPマーカーをGFPに変えて、核染色はPIではなくてやはり生細胞用の Vybrant® DyeCycle™ を注文することにする。ちょっと先延ばしになってしまうけど、このFACSは結構重要な実験になるので確実に行きましょうということですわ。

2017年1月24日火曜日

Airway stretch sensor

Piezo2 senses airway stretch and mediates lung inflation-induced apnoea.  Nature 541: 176-181.
Respiratory dysfunction is a notorious cause of perinatal mortality in infants and sleep apnoea in adults, but the mechanisms of respiratory control are not clearly understood.  Mechanical signals transduced by airway-innervating sensory neurons control respiration; however, the physiological significance and molecular mechanisms of these signals remain obscured.  Here we show that global and sensory neuron-specific ablation of the mechanically activated ion channel Piezo2 causes respiratory distress and death in newborn mice.  Optogenetic activation of Piezo2+ vagal sensory neurons causes apnoea in adult mice.  Moreover, induced ablation of Piezo2 in sensory neurons of adult mice causes decreased neuronal responses to lung inflation, an impaired Hering–Breuer mechanoreflex, and increased tidal volume under normal conditions.  These phenotypes are reproduced in mice lacking Piezo2 in the nodose ganglion.  Our data suggest that Piezo2 is an airway stretch sensor and that Piezo2-mediated mechanotransduction within various airway-innervating sensory neurons is critical for establishing efficient respiration at birth and maintaining normal breathing in adults.

「呼吸において肺は膨張と収縮とをくり返す。肺の体積の変化は感覚神経により感知され、この情報は脳幹の呼吸中枢へと送られて呼吸のパターンの制御にかかわる。しかしながら、これまで、肺の体積の変化を検出するセンサーの実体およびその生理的な重要性の詳細については明らかではなかった。今回、筆者らは、マウスを用いて感覚神経に発現するカチオンチャネルPiezo2が肺の膨張を感知する機械的な受容体であることを示した。さらに、Piezo2により検出される肺の機械的な情報は、成体のマウスにおいて肺の過膨張をふせぐために必要であったことにくわえ、出生の直後の仔マウスにおいて正常な呼吸のパターンが確立されるために必要であった。この研究においては,呼吸における機械的な情報の重要性が明確にされた。」
以上、日本語の要約はライフサイエンス新着論文レビューより。

ということで、カチオンチャネルである Piezo2 は、肺の膨張を感知するメカノセンサーとして呼吸パターンの制御に重要な働きを持っているというお話。Piezo2欠損マウスは出生直後に呼吸不全をともない死亡するのだが、肺の発生過程において形態、細胞の分化などに異常は観察されないことから、Piezo2が出生後の呼吸パターンの確立に必要であることが分かった。Wnt1Creを用いて、neural crestに由来する神経節である jugular, trigeminal and dorsal root ganglia でPiezo2をノックダウンすると、Piezo2欠損マウスと同様、出生直後に呼吸不全をともない死亡する。つまり、この呼吸パターンの確立には、感覚神経におけるPiezo2を介したmechanotransductionが必要であると。ちなみにこのWnt1Cre; Piezo2[cKO]でもPiezo2欠損マウスでも、肺のairspacesが小さくなっていることが確認されている。組織像を見ると、細胞が過増殖しているようにも見えるけど、隙間が小さくなってそう見えるだけなのかな。

Mishima→Osaka

合同若手WS

さて、先週は大阪南港のホテルで行われた、新学術2領域の合同若手ワークショップなるものに参加してきた。ということで、今年一発目の出張は大阪。三日間、いろんな人、特に若手の学生さん達と交流することができてなかなか楽しかった。自分も三日目の最後のセッションでトークをさせてもらったのだが、今回は合同ということなので、cell competitionの中でもdying codeよりのCCHの話をしてきた。最近Kが頑張ってやっているcalcium imagingのデータも少し紹介したりしながら。そういや懇親会でYF博士とMahjongのことについて話していて、二人でふとオモシロイことを考えついた。いよいよ彼との共同研究を再び始める時が来るのかもしれない。

2017年1月22日日曜日

快晴

三島を見渡せる近所の丘の上から。富士山が綺麗やねぇ。

plum

まだまだ寒いけど、子供達と近所を散歩していたら梅の花が咲き始めているのを見つけた。

2017年1月13日金曜日

新年会

寒いねぇ。。今晩は、今からダウンタウンのイタリアンで構造党新年会。と言っても、いつもの4人だけど。

2017年1月11日水曜日

from screenings

今日の朝はラボミーティングで自分の発表の番だったので、これまた2つのスクリーニングから出てきた諸々について、その後の進捗状況などを紹介。こちらもオモシロそうなものが色々と出て来ているので、人手があればもっと研究を進めることができるのになぁという感じ。

一件目完了

今年一件目の申請は、非常に手際の良い共同研究先のおかげで、昨日予定通り迅速に終わらせることができた。計画ではうちを含めて3つのラボが関わることになっていて、うまくいけば非常に重要な研究に進展する可能性を秘めていると思う。もし研究費が下りるのなら、もう一人雇う必要が出てくるけど。もしくは元気のある学生が来てくれるとエエんやけどなぁ。

2017年1月9日月曜日

drawing

またお絵描きしてみた。模式図にはもっと簡略化したものでも良いと思うのだが、やっぱりちょっとリアルな感じのある方が好きなんよね。

2017年1月8日日曜日

一件目

さて、急に舞い込んで来た共同研究案件を早速申請することになったので、この週末はちょっとそれについて考えてみる。ということで、まずは今年一件目の執筆開始。THSをモデルにしたスクリーニングなんだけども、今までの自分の守備範囲から出て、もうちょいと応用の方向へ向いたものになる。こういう新しい発展が実際に形になれば、それはそれでとてもイイこと。

2017年1月6日金曜日

大阪城 2017

今年もお正月に大阪城を訪れた。なんやら大阪城を舞台にしたUSJによる戦国ライブショーがあるとのことで見に行ったのだが、これがなかなかすごかった。去年の真田丸はやっぱり面白かったもんねぇ。ということで、大阪城へ行く前には、天王寺の茶臼山本陣跡と安居神社にもお参り。

2017年1月5日木曜日

謹賀新年 2017

あけましておめでとうございます。皆様、本年もどうぞよろしくお願いします。
年末年始は例年のように大阪の実家へ帰省してゆっくりさせてもらい、昨日三島に帰って来た。ということで、今日から2017年のFly Pushing開始。今年はどんな一年になるんだろうか、自分でもちょっと予測不可能なところがある。研究の方では、去年試したいくつかのスクリーニングからオモシロそうなものが取れて来ているし、Kが進めているプロジェクトも順調に進み始めているので、今年はこれらの研究をしっかりと発展させることを目標にしたいと思う。それ以外にも年明け早々、九大のDS博士から共同研究案件についての問い合わせが来たし、ちょうど2ヶ月ほど前に発注したRNA seqのデータが発送されたという連絡も来た。という感じで、予想外の発展があるのではないかという期待が膨らむ。
それでは今年も気張っていきましょう。