2020年7月30日木曜日

O1日目

昨日の午後、うちのラボでの研究を希望している医学部1年生のO君がラボに来た。ラボ1日目ということで、やはりFly Geneticsの授業から。この際、ラボのハエグループ以外のメンバーも興味がある人には参加してもらったら良いかもな、と思って朝ラボの皆さんにメールでアナウンスしたら、意外と希望者がいてO君含め6〜7人がセミナー室に集まった。内容はもちろんFly Geneticsの基礎編なのだが、何をどこまで話すか何も考えずにチョークトーク。なんやかんやと2時間ほどしゃべって、遺伝学の基礎から一応FLP-FRTによるモザイク解析まで話すことができた。O君はその後、フライルームでオスメスの見分け方とかphenotypic markerとかをSに教えてもらってなかなか楽しそうにしていたようだ。まぁまだ学部1年生だし授業なんかで忙しいだろうからそれほどラボに来ることはできないかもしれないけど、まずは興味を持ってもらうことから。

2020年7月27日月曜日

61

BloomingtonとViennaのストックセンターに注文していたハエ達が、今朝両方同時に届いた。どちらも先週の火曜日に出荷されていたので、アメリカとウィーン、どちらからもちょうど1週間で届いたことになる。箱を開けてみると、結構多くのバイアルでまだアダルトフライが生きているような状態だったし、全61ラインで全滅していたようなものはなかったようなので、運良く結構良い条件に当たったようだ。コロナのせいで通関に時間がかかっているとか、荷物がまっすぐ日本に届かないとかいう話も聞いていたのでちょっと心配していたのだが、無事に到着して良かった。ということで、自分を含めみんな夏の間に新しい実験をたくさんできそうだ。

2020年7月24日金曜日

当たり

2種類のlgl mutant alleleを別の遺伝子のmutant alleleとrecombineするためにやっていたcomplementation testによるスクリーニングの結果、一つ目の組み合わせは当たりが5/20、二つ目の組み合わせは2/20だった。二つ目のやつは片方がtemperature sensitive alleleなこともあって、たぶんescaperと思われるものが少数出てきているものがあったのだが、一応そういうのは除外したから当たりは結構少なくなった。まぁ、でもこんなもんか。今またもう一つ、同じように2種類のmutant alleleを recombineさせようと考えていて、今回は2番染色体の左腕にFRT siteプラス2つのmutant alleleを乗せようとしている。つまりdouble crossoverということになるので、もうちょいと多めにスクリーニングするべきかも知れない。

2020年7月19日日曜日

Kibune

昨日今日と、この週末は太陽が出てきてようやく梅雨明けかというような暑さになった。昨日は午後から時間があったので、ぶらっと貴船まで行ってきたのだが、やはり山深いこの辺りは市街地に比べると随分涼しい。真夏になったらまた来よう。

survivors

数日前にパリから届いたハエ達は全滅かと思っていたけど、顕微鏡で見ていたら数匹まだ小さい幼虫が動いているのを発見した。レスキューできたのは全部で4匹。まぁこれならなんとかなるかも知れない。Dr. RLは、もしダメならもう一度送るよと言ってくれているのだけど、これだけ気温が上がってきたらまた同じことになる可能性も高いのでなんとかリカバーさせたいところ。

2020年7月16日木曜日

dead arrival

ついにセミが鳴き始めた。札幌では街中でセミが鳴いているのを聞くことはなかったから、久しぶりの夏の感じ。週末はまた雨の予報になっているけど、そろそろ梅雨明けかな。
先日のジョイントラボミーティングの時にDr. RLに頼んだハエが昨日こちらに到着したのだが、残念ながら全部死んでしまっていた。幼虫が沢山いたのでリカバーできるかとも思ったけど、今朝もう一度確認したらどうやら全滅のようだ。輸送にそれほど時間がかかった訳ではないはずなので、パリからの道中どこかで高い気温にさらされたのかな。今週、BloomingtonとViennaのストックセンターにも注文を入れたので、ちょっと心配になってきた。

2020年7月13日月曜日

mold

昨日ようやく晴れたと思ったら、今日はまた雨が降ってきた。今週も結構降るのかねぇ。札幌には梅雨がなかったから余計にそう感じるのかもしれないけど、こんなに雨が続くことに結構驚かされている。おかげでフライルームも湿度がすごくて、先日94%まで上がっていた。札幌では大体20%台で、冬なんて加湿器を入れても低すぎて数値が出なかったくらいだったのに。ところで最近、この湿気のせいでインキュベータ内のストックフライのバイアルにカビが繁殖してしまうことに悩まされている。先週末、ストックフライの餌換えフリッピングを行なったのだけど、かなりの割合でカビが生えていて、ほとんどのラインについて新しい方のコピーバイアルから継代せざるを得ないという状況だった。除湿剤をいくつか投入してみたものの、あまり効果が出ているようには見えない。みなさん梅雨時のストックフライのカビ対策ってどういうことをしているんでしょうか。

2020年7月10日金曜日

cnc

DrosophilaのNrf2はcap’n’collar(cnc)。キャップンコラーってなんかかわいらしい名前。どういう由来なんだろうと前から思っていたのだけど、ちょっと調べてみたら、どうやらこのearly embryoでのexpression patternからなのかな。embryoの頭の部分(cap)と首回り(collar)に特異的に発現している。
これが元の論文なんかな。
Segmentally restricted, cephalic expression of a leucine zipper gene during Drosophila embryogenesis.  Mech Dev (1991), 34: 3-9.

Sleep ROS

Sleep loss can cause death through accumulation of reactive oxygen species in the gut. Cell, 181: 1307-1328.
The view that sleep is essential for survival is supported by the ubiquity of this behavior, the apparent existence of sleep-like states in the earliest animals, and the fact that severe sleep loss can be lethal.  The cause of this lethality is unknown.  Here we show, using flies and mice, that sleep deprivation leads to accumulation of reactive oxygen species (ROS) and consequent oxidative stress, specifically in the gut.  ROS are not just correlates of sleep deprivation but drivers of death: their neutralization prevents oxidative stress and allows flies to have a normal lifespan with little to no sleep.  The rescue can be achieved with oral antioxidant compounds or with gut-targeted transgenic expression of antioxidant enzymes.  We conclude that death upon severe sleep restriction can be caused by oxidative stress, that the gut is central in this process, and that survival without sleep is possible when ROS accumulation is prevented.

一昨日、ラボのジャーナルクラブで紹介した論文。話の内容は非常にシンプル。睡眠不足(と言っても結構シビアな睡眠の欠乏)によって様々な症状が現れることは知られているが、睡眠不足による死亡は何が原因なのかは分かっていなかった。この論文が示しているのは、睡眠不足による死亡は腸で急速に蓄積する活性酸素種 ROS が原因であるということ。この腸に蓄積するROSを取り除くと、睡眠不足による死は回避される。このことを、基本的にはショウジョウバエを用いた実験で非常にクリアーに示しており、マウスでも同様のことが起こることを示している。抗酸化物質の経口投与によって腸のROSレベルが抑えられると死ななくなるわけだけど、やはり最後に来る実験、LexA/LexAopによる睡眠抑制とGal4-UASによる腸管上皮特異的な抗酸化酵素強制発現を併用したレスキュー実験が非常にビューティフル。Drosophila geneticsの粋やねぇ。ちなみに、ラストオーサーのDr. DR、聞いたことある名前やなと思ったら、やはりDppのmorphogen gradientによるproliferationを示したあの論文の著者だった。
そういや最後に S が質問していたけど、睡眠というものはなぜ進化したんだろう。もしかしたら、日々蓄積するROSを取り除くため?

2020年7月8日水曜日

Dr. RL

昨日の夕方、パリのDr. RLのラボとオンラインジョイントラボミーティングを行った。3件目。ミーティングの前に、この前会ったのはいつだったっけ、とかいう話をDr. RLとしていて自分は思い出せなかったのだが、彼はフィラデルフィアで会ったよねと言っていたので、それなら2年前になるのかな。学生の発表を聞いていると相変わらず面白いことをやっているようだし、ミーティング中にずっと赤ちゃんを抱っこしている様子からも、幸せにしているようであるのが見てとれた。考えてみればDr. RLとは二人ともまだポスドクだった時からの知り合いで、二人ともポスドクの時にcell competitionをやっていたし、今はtissue homeostasisのことをやっているし、今回あらためて興味の方向性が似ているのかもなぁと思った。で、今回のミーティングで向こうの学生が発表していた新しいハエを一つ送ってもらえることになった。

2020年7月6日月曜日

Ishizue

先日、5月の初旬に応募した学内の研究支援金への申請が採択されたとの通知をもらった。これは、今年度の科研費申請にあたって、種目のステップアップを目指す研究者に対して資金面でのサポートをしてくれるシステム。こういうシステムがあるっていうのが、やっぱりすごい研究大学やねぇと思う。これを取り仕切っているURA(学術研究支援室)も規模が大きいし色々と進歩的な感じ。ということで、いよいよ本腰入れてPiMに対する基盤データの拡充を行わねば。

120

日曜日、久しぶりにrecombinationのためのスクリーニングを開始。今回は2種類のmutant alleleを、それとはまた別の遺伝子のmutantとそれぞれリコンバインするのだが、一つは第2染色体の端っこあたりで、もう一つは同染色体セントロメアの近くなので、まぁ一番簡単なパターン。ということで、それぞれ20匹ずつ合計40匹。各々についてバランサーラインと交配させてから、別々の2つのmutant alleleに対するcomplimentation testをしなければいけないので、トータル120クロス。

浮御堂

週末、雨が降る中ふらりと琵琶湖までドライブ。湖畔のカフェで湖を眺めていたら、虹が出てきたり、空模様の変化に呼応して湖の色が様々に変わったり。夕方、帰る頃には晴れてきた。

2020年7月2日木曜日

65000

3週間くらい前にMacBookが立ち上がらなくなって、色々と試したけど結局ダメで、先日Appleサポートに電話して一つ解決方法を教えてもらった。簡単に言うと、他のMacから外付けハードディスクにOSを再インストールして、その外付けHDからMacBookを立ち上げるというもの。確かにそれなら起動できるはずだということで、昨日そのプロトコールを行ってみたのだが、外付けHDから立ち上がろうとするものの起動の途中で落ちてまた再起動になってしまう。。。ということで、今朝もう一度電話でAppleサポートと話しながら色々とやってみたけど、やはりダメだったので結局修理に出すことになった。まぁ、ラップトップの方のデータはほぼデスクトップにもあるものばかりなので無くなってもいいのだけど、色々と面倒くさい上に修理代が6万5千円とか言われてちょっとショック。まぁ研究費から出せるとはいえ、ちょっとの間家にパソコンがない状態が続くのは不便やなぁ。