この写真は結局Main Figureに入らなかったのだけど、なかなかビューティフルにdouble mutant cloneのphenotypeを示している。上のパネルはGFPのみのmosaic cloneで、下のパネルはRasV12-overexpressing mosaic clone。どちらもscrib hypomorphic mutant alleleを組み合わせたtrans-heterozygous backgroundのwing imaginal disc。GFPだけのcontrol cloneはpopulationの割合にあまり変化が見られないのに対し、Ras mutant cloneは日を追って広がっていくのがよく分かる。
2021年7月28日水曜日
Sequential oncogenic mutations influence cell competition
バルジのscrib-Ras double mutantに関する論文が、昨日ついにオンラインで公開された。以下のリンクから入ると、9月14日まではフリーでアクセスできるらしい。
Sequential oncogenic mutations influence cell competition. Current Biology 10.1016/j.cub.2021.06.064
At the initial stage of carcinogenesis, newly emerging transformed cells are often eliminated from epithelial layers via cell competition with the surrounding normal cells. For instance, when surrounded by normal cells, oncoprotein RasV12-transformed cells are extruded into the apical lumen of epithelia. During cancer development, multiple oncogenic mutations accumulate within epithelial tissues. However, it remains elusive whether and how cell competition is also involved in this process. In this study, using a mammalian cell culture model system, we have investigated what happens upon the consecutive mutations of Ras and tumor suppressor protein Scribble. When Ras mutation occurs under the Scribble-knockdown background, apical extrusion of Scribble/Ras double-mutant cells is strongly diminished. In addition, at the boundary with Scribble/Ras cells, Scribble-knockdown cells frequently undergo apoptosis and are actively engulfed by the neighboring Scribble/Ras cells. The comparable apoptosis and engulfment phenotypes are also observed in Drosophila epithelial tissues between Scribble/Ras double-mutant and Scribble single-mutant cells. Furthermore, mitochondrial membrane potential is enhanced in Scribble/Ras cells, causing the increased mitochondrial reactive oxygen species (ROS). Suppression of mitochondrial membrane potential or ROS production diminishes apoptosis and engulfment of the surrounding Scribble-knockdown cells, indicating that mitochondrial metabolism plays a key role in the competitive interaction between double- and single-mutant cells. Moreover, mTOR (mechanistic target of rapamycin kinase) acts downstream of these processes. These results imply that sequential oncogenic mutations can profoundly influence cell competition, a transition from loser to winner. Further studies would open new avenues for cell competition-based cancer treatment, thereby blocking clonal expansion of more malignant populations within tumors.
この論文の元になるデータをYさんから見せてもらって共同研究の話を始めたのは、たぶん4年ほど前になるのかな。当時自分はまだ遺伝研にいたのだけど、北大で開催された細胞競合の国際シンポジウムに出席した時に、クラーク会館の食堂でYさんと昼御飯を食べながらこれについてディスカスしたのを覚えている。あの時は、まさかその後Yさんと一緒に北大から京大へ移動しながらこのプロジェクトを完成させることになるとは思いもよらなかった。この4年間で3人の学生がバトンタッチで完成させた仕事なのだけど、やはりこれは博士課程の仕事としてメインで関わったバルジの論文だ。そして、実は自分とYさん2人で初のココレスポの論文ということにもなる。
話の内容はアブストにある通りだけど、簡単に言うと、scrib mutantの細胞群の中に、さらにRas mutationが追加されたscrib-Ras double mutantの細胞が出現すると、そのdouble mutant cellが周りのscrib mutant cellsを殺したり食ったりしながらoutcompeteしていくという話。哺乳類培養細胞とショウジョウバエのimaginal discの両方で同じ現象を確認することができた。scrib mutantとRas mutant、各々どちらもnormal cellに囲まれた状態ではloserとして上皮層から排除されるのだが、はじめにscrib mutant backgroundがある状態でRasが入ると、scrib-Ras double mutantがsuper-competitorとなって周りの細胞をoutcompeteしながら侵食していく。一方、mutationの順番が逆の状況、つまりscrib-Ras double mutantがRas mutant cellに囲まれた状況では、このようなapoptosisやengulfmentといったcell competition phenotypesは見られない。つまり、がんの初期段階において、変異の蓄積によって生まれた悪性細胞と周囲の前がん細胞とのcell competitionによって、がん組織の細胞集団の性格が変わっていく、そしてそこでは蓄積する変異の順番が重要なのだろうというお話。
2021年7月23日金曜日
開会式
昨日からwing discでのsensory organ precursorsに関するシグナリングを調べているのだが、やはりこれは結構複雑やね。組織内にぽつぽつとランダムに散らばっているように見えて、ちゃんと各々の配置が調節されている。まぁ、ウチらが見ているものにこれが関係しているかどうかについては、実際の遺伝子発現パターンを自分の目で見てみないとなんとも言えないけど。
さぁ、今晩はついに東京オリンピックの開会式か。ほんまにできるんかいなみたいなことをずーっと話していたけど、いよいよ楽しみになってきたね。ということで、そろそろ帰ろう。
四連休
四連休、とりあえず前半は二日とも午後からラボに来てだらだらとデスクワーク。さすがにこう暑いとなかなか出かける気もならないのだが、家にいても昼間は暑いし、明日はちょっと遠くまでドライブする予定を立てている。
部屋にいるメタリカがうちに来てほんの二週間ほどで少し成長したような気がする。
2021年7月22日木曜日
2021年7月19日月曜日
3rd day
ワクチンセカンドショットから今日で三日目。昨日は午後から頭痛がひどくなってきて、夕方には熱が出ている自覚があったので、バファリンを飲んだら一応落ち着いた。今朝、もう熱は下がっていたけどまだなんとなく倦怠感もあったので、今日は一日自宅でテレワーク。この機会に先延ばしにしていた論文の査読に集中する。この論文はNAS memberによるPNASへのContributed articleというやつなので、基本的にはアクセプトするためにあまりきついメジャーコメントは無しという方向でのレビュー。実はこの論文の内容は、以前にミーティングで聞かせてもらったことがある話で、結構自分が見ているものと関係があってなかなか興味深い点が多いのだが、なんともえらい適当に書き上げたなぁという印象。なんか理由があって急いでいるのかも知れない。
そういや今週は木曜から四連休やね。
2021年7月18日日曜日
2nd day
ワクチンのセカンドショットを受けて二日目。打ったほうの腕の筋肉痛は1回目よりひどい。朝から結構倦怠感があって、午後になってだんだん悪寒がして頭痛もひどくなってきた。やっぱり2回目の副反応は1回目よりだいぶきついね。昨日車検で預けた車を午後に取りに行ったあとは、家でゆっくり大相撲を観戦。うーむ、それにしても千秋楽の一番、あれはちょっと納得いかんなぁ。
2021年7月17日土曜日
2021年7月16日金曜日
hearing
今週は、月曜日に先進ゲノム支援のヒアリングがあったので、これまで考えていたsingle-cell RNA-seqについて真剣に考える良い機会になった。具体的には、mosaic wing discの細胞をバラバラにして、そこからGFP陽性のmutant cloneだけを単離して、それら一細胞ずつに対するRNA-seqを行うという実験になる。一つ一つクオリティの高い生細胞を1万個単離してくるには、各ステップで検討しないといけないことが色々とある。ということで、今週何人かその筋のエキスパートの方々と話すことができて、いくらか試すべきものが見えてきた。
2021年7月13日火曜日
2021年7月12日月曜日
on line 飲みフォメ
先週の金曜、モーフォメのコアメンバーによるオンライン飲み会が開催された。モーフォメは、去年コロナの影響で開催延期ということになったので、2019年の第4回札幌場所以来行われていない。いまだにコロナの収束が見えない中、今年はどうしましょうということで、とりあえず久しぶりに一度会合を開くことになった。チャーリー博士のアイデアをもとに、Gatherというオンラインビデオ会議用アプリで作ったカフェで開催。今回はサイエンスのトークはしないけど、各自1枚だけスライドを用意しておいて、乾杯の後で一人ずつ順番に最近の研究に関するエレベータートークをしましょうかという提案をしたのは自分。エレベータートークって、たぶん一般的には1分ぐらいで自分のアイデアを伝えるというイメージだと思うけど、なぜか終わったのは深夜2時前だった。みんな本当に研究が好きなんやねぇと思うし、改めて一人一人本当に面白い研究をしているなぁと感心した。そんなわけで、今回なんとなくモーフォメをした気にもなったのだけど、やはりこうなったら一人一人のフルのトークを聞きたいという意見も出てきて、オンラインでのモーフォメ開催を考えましょうということになった。
2021年7月3日土曜日
2021年7月1日木曜日
文月
今日から7月。いまだにコロナがどうとかなんとか言っているうちに早くも今年も後半戦に入るわけか。今日の朝はまたアメリカの研究グループと2週間おきのオンラインミーティング。UCLAの大学院生Aのがんばりもあって、コンピューターモデルがだいぶ具体化してきた感じ。いろんな変数を組み込んだ数式を完全に理解するのはちょっと無理そうだけど、これまでにWMと自分からサジェストしたアイデアがしっかり反映されているように見えるし、実際のコンピューターシミュレーションの結果を見ると、よくwing discで見ているmosaic cloneの形によく似たパターンのものが出てきていて、おぉっと思った。自分がジョインしたのが3月末頃だったので、まだ3ヶ月くらいしか経ってないけどそろそろ論文にまとめることを考える時期に来ているのかも。
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