2021年6月22日火曜日

IJMS

この一ヶ月間、結構な時間を費やして取り組んでいた論文が完成して、実は昨日カバーレターも書いて投稿作業に入ろうとしていたのだが、ぎりぎりのところで投稿を踏みとどまった。今回のこの論文は、オーストラリアのDr. HRからのインバイトをもらって、IJMSというジャーナルのSpecial Issueに掲載してもらうために投稿する予定だった。自分はIJMSというジャーナルを知らなかったのだが、Dr. HRからの招待ということもあったし、とりあえずRの仕事の第一弾を論文として発表して次への勢いをつけたいということもあり、今回の投稿を承諾したのだった。その後、紆余曲折を経て論文はようやく完成したのだが、共著者であるYさんがIJMSを発行しているMDPIという出版社に関するあまり良くない噂を聞いたことがあるとのことで、大学図書館の相談窓口に問い合わせたところ、大まかに以下のような返答が返ってきた。
  • MDPI社は、一時期ハゲタカ出版社としてリストアップされていましたがその後除外され、最近ではホワイトリストにも多く収録されており、全般的に判断が難しい、という事情があります。
  • 実際にMDPIの学術誌が不審だという学内研究者の声が、問い合わせフォーム等を通して図書館に複数寄せられています。
  • そのようなことを受けて、本学で加入していたMDPI機関オープンアクセスプログラムへの参加終了が決定しています。
  • 総じて、MDPIという出版社に懸念がないとは言い難いこと、またこのタイトル個別では、査読期間が短いことが気になります。
さらに、うちの学部で以前に博士課程の学生の学位論文審査でMDPIの雑誌に掲載された論文が含まれていたことに対して、数人のファカルティメンバーから疑義が唱えられたとの話もあり、今回はIJMSには出さないという決断を下した。自分としてはそれほど気になることではなかったから投稿するつもりだったのだが、この論文がRの学位審査にも関わってくるものであることを考えると学部の方針を無視するわけにはいかない。ということで、昨日Dr. HRにお詫びのお手紙をしたためた。今朝返ってきた返事には「It is unfortunate that the IJMS has been tainted as being a predatory journal when it is not. However, I understand that this decision is beyond your control.」とあり、理解を示してくれはしたものの、自分にとっては彼女に借りを作ってしまった感が大きい。まぁでもこれはしゃーないよね。ということで、ではこの原稿を持ってどこのジャーナルのドアをノックしに行こうかというところですわ。

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