2014年2月28日金曜日

Endocycles

Endocycles: a recurrent evolutionary innovation for post-mitotic cell growth.  Nat Rev Mol Cell Biol. 15: 197–210.

Dr. BEのところから Nature Reviews MCB に「Endocycle」についてのレビューが出てきた。Box 2で Compensatory Cellular Hypertrophy をハイライトしているけど、follicle CCHのreferenceを間違えてcompetitionのレビューの方を引用しちゃってる。。。で、これについてDr. BEにメールしたら、「Oh dear...」ということでエディターに連絡してくれたので、まぁそのうち訂正されるのかな。
それはさておき、なかなか気合いの入ったレビュー。主にDrosophila、Mouse、Arabidopsisにおいて分かってきたendocycleのtransitionやprogression、そしてupstream regulationに関するメカニズムについて述べており、これら異なるphylum間で見られる相違と共通性は結構面白い。それにしてもやっぱりよう知ってはりますなぁ、と感心させられた。尾索類、Oikopleuraの上皮で見られるspatial patterns of differential endoreplicationとかかなりシブイやん。

mammalでのメカニズムはほとんどがmouseのtrophoblast giant cellsで研究されてきたものなんだけども、実はmammalでも結構いろんな組織でendocycleは起こっているのである。

Mammalian cells that are known to endocycle include placental trophoblast giant cells (TGCs), hepatocytes, cardiac myocytes, epithelial keratinocytes, vascular smooth muscle cells and primitive podocytes of the kidney.  Some of these cells endoreplicate during injury- or infection-mediated stress, whereas others endoreplicate as part of a developmental programme.

ということで、このレビューではさらっと触れられているだけだけれども、human epidermisでもterminal differentiationに入ったkeratinocytesがendocycleによってpolyploidizationを起こしていることを示している論文を最近知った。スペインのDr. AGというひとがこれについて精力的に研究しているようだ。
A mitosis block links active cell cycle with human epidermal differentiation and results in endoreplication.  PLoS ONE 5, e15701.

締めは以下の文章で。
The widespread occurrence of endocycles in nature — from bacteria and protozoa to animals, plants and green algae — indicates that endopolyploidy was an ancient and practical innovation.  In most cases it seems to have provided a simple way to facilitate increased cell growth following differentiation, often in cells in which mitosis would compromise function.  Phylogenetic considerations suggest that endocycling pre-dates the evolution of multicellular life and the separation of the plant, animal and fungal kingdoms 800–1,000 million years ago.  However, the various molecular mechanisms used to switch into and then run an endocycle suggest that endocycling re-evolved many times, and multiple times for different cell types in individual species, as different modifications of the mitotic cell cycle occurred.  Nonetheless, mechanistic similarities can be found among all the known endocycles, which helps to explain why it was so simple to convert mitotic cycles into endocycles.

ズーの発表

今日のラボミーティングは、なんやら最近勢いづいてきている様子のズーちゃんによる発表。少し前にデスカッションしてあげたときに大体のデータは見ていたので、それほど驚きはなかったのだが、一つ元にしているディスクでのphenotypeはかなりオモシロイ。今はかなりヒッポ関連のシグナリングを追求しているみたいで、それらのデータはちょっとややこしいのだけども、phenotype自体が何か重要なコンセプトを孕んでいるようにも見える。それがなんなのかはまだちょっと分からないのだけど、今このラボの中では今後が楽しみなプロジェクトの一つになってきたなと感じた。

2014年2月27日木曜日

ちょっと違う

いくらか出てきた新しい実験結果を見るために、今日はちょっと長い時間かけて顕微鏡を覗いていた。少し前にエエ感じできてるように思えたものを、さらに違うアプローチでgermlineをいじって試してみたんだけども、どうやら考えていた仮説とはちょっと違うみたい。まぁ、ちょっと違うということが分かったのが一つの収穫か。ということで、もう一度今度は全く逆のphenotypeを誘導する実験をしてみる。

2014年2月25日火曜日

Yanceyの友達

土曜日はアンティアの家で、この前まで住んでいたストリートの隣人達が送別会を催してくれた。いつものメンバー。このストリートでは、偶然にもうちを含めて近所の五家族に同じような年齢の子供がいて、しかも年下の三人はちょうど四年前に二週間おきくらいに次々と生まれたのだった。そんなことで子供達と一緒に七年間ほどの間、家族ぐるみで付き合ってきた五家族なので、彼らとの思い出は子供達の成長の記憶とともに次から次へと思い出される。パーティ会場のアンティアの家のテレビには、そんな七年間の写真のスライドショーが流されていて、みんなと一緒にそれを漫然と眺めているうちにだんだんと惜別の情がわき上がってきた。その数々の写真をアルバムにしてくれた本を寄せ書きとともにプレゼントしてもらったのだけど、みんなが手を振っている表紙の写真だけでも胸にせまるものがある。
あと三回の週末、ほぼ全てに送別会の予定が入っている。

2014年2月22日土曜日

Dr. LJ 来訪

一昨日、ColumbiaのDr. LJがFSUにトークをしに来た。良い機会なので午前中に面談の時間をもらって一時間ほどオフィスで話した。Dr. LJと初めて話したのは、三年半前のバルセロナでのトークの後に彼女が話しかけてきてくれたときだった。落ち着いた物腰が印象的だったのでよく覚えている。それからFly Meetingでも何度か会っているけど、今回が初めての長い対談になった。growth regulationやcell competitionといった自分がいるフィールドで数多くの重要な仕事をしてきた彼女とのデスカッションは非常に有意義だったし、いろいろとオモシロイ話も聞かせてもらった。
で、午後のトークはもちろんcell competitionについて。細胞間のdMyc発現レベルの差が引き起こすcell competitionにおいて、loser cellではinnate immune pathwayのupregulationを介してproapoptotic genes activationが引き起こされることによって細胞死が促されるのだというお話。この話は去年のFly MeetingのApoptosis WorkshopでDr. LJラボの学生が発表していて、こりゃあオモシロイなと思ったのだけど、一昨日のトークはDr. LJによる完全版初公開という感じでかなりエキサイティングだった。論文は今リバイズ中ということだったので、もう少ししたらトップジャーナルのいずれかに出てくるだろう。ligandがどこから来てどうやってlocalなactivationを促すのかというあたりはかなり興味深い。
トークの後、町で評判のレストランに場所を移してうちのボスと三人でディナー。フロリダのシーフードを食べながら、研究にまつわる話をいろいろと楽しませてもらった。
そういやちょうどこの日、Dr. LJのとこからのもう一つ別の論文が Cell Metabolism でオンラインに出てきたんだそうな。

Supercompetitor Status of Drosophila Myc Cells Requires p53 as a Fitness Sensor to Reprogram Metabolism and Promote Viability.  Cell Metabolism, in press.

まだちゃんと読んでいないのだけど、Myc-expressing cellがwild-type cellと隣接すると、p53 dependentなglycolytic fluxが活性化されることによりfitnessとproliferationが促進されるというお話で、oncogenicなMyc-expressing cellがsupercompetitorとしてwild-type loser cellをourcompeteする際のp53の重要な役割について述べているようだ。そういや分生でNM博士がこれについて話していたな。
ということで、ついにまたDr. LJラボからエライもんが出て来始めましたな。Dr. LJがこれらの発見について本当に楽しそうに語ってくれる様子が印象深かった。

2014年2月21日金曜日

Last Presentation

で、今日の午後のラボミーティングは自分の発表の番だった。このラボでの最後のプレゼンテーション。ボスの希望もあって、SSTプロジェクトを今一度話してみた。このSSTはもう四年以上は取り組んでいるはずで、一年以上前からなんとかして論文にまとめあげようと思っているのだけども、実はこのところちょっと疲れが出始めている。かなり重要な話であると信じているので、なるべくvisibleなところに出したいという想いがあるだけに、mechanisticな部分もしっかり説明したいと思ってやっているうちに別の新しいプロジェクトが面白くなってきたりして、長いことprocrastinateしてしまっているという感じ。でも今日最初から最後までしゃべってみて、wrap upする情熱が戻ってきた気がした。この話はどこでしゃべってもウケがいいし、自分でもトークしていていつも自然と語りに力が入ってのめり込んでしまう不思議な魅力がある。やるべきことはもうだいぶはっきりしていて、実際今もその実験用のハエを作っているのだけど、今ここではコンフォーカルを存分に使うことができないので最後の仕上げは日本に帰ってからかな。

四歳

昨日は小さい方の4回目の誕生日だった。昨年の夏からプレスクールに行き始めて、この半年で随分成長したもんだと思う。最近急に英語もしゃべるようになってきたし。で、今日の朝、プレスクールのクラスでバースデーパーティをしてくれることになっていたので、たくさんのカップケーキを持ってクラスにお邪魔してきた。みんなにお祝いしてもらったうれしい思い出が少しでも記憶に残ってくれればいいなと思う。

2014年2月18日火曜日

Dの二誌目

投稿していたドンちゃんの論文に対するレビュワーコメントが昨日、エディターから送られてきた。二誌目なんだけども、エディターの判断は基本的にリジェクト。三人のレビュワーコメントはどれもリーズナブルな批判なのだが、三人とも完全にネガチブという感じでもないので修正できそうな感じ。ということで、まずは再投稿を許可してもらえるようにエディターにリバトルレターを送ることにした。今晩はドンちゃんが書いたリバトルレターの添削。

Personalized Fly



CBS Newsのサイトで、Dr. RCのところの仕事が紹介されている。ハエを用いたドラッグスクリーニングをベースにしたpersonalized cancer therapeuticsが行われているんだそうな。三年半前にバルセロナであった Modelling cancer in Drosophila で、Dr. RCが幼虫を用いたドラッグスクリーニングを紹介していて、スゴイことやってるなぁと思った記憶があるけど、ここまで来ているとは。

Universal Orlando & Sea World

先週末は、土曜日にUniversal Orlando Resort、そして日曜日はSea Worldへ行って来た。
二日間、朝から晩まで子供達を連れて遊び回って楽しかったけど、疲れ果てた。


2014年2月14日金曜日

Orlandoへ

今日は夕方から車を走らせてフロリダ半島を南下。久しぶりにオーランドへやってきた。今回はUniversal StudioとSea Worldに行ってくる予定。

2014年2月13日木曜日

WD40

一昨日のAMEでのトークで、デスカッションタイムにオーディエンスの一人の学生からオモシロイ質問があった。

学生「あの、WD40がcell competitionにどのように関与しているのか理解できなかったのですが?」
自分「ふーむ。。。。。それはinteresting questionだ。ところで、ユーはWD40が何なのか知ってるのかね?」
学生「もちろん知ってますよ。」
自分「つまり、あの、、、潤滑油スプレーのことだよね?」
学生「そうそう、そうですよね?」
自分「残念ながら違います(笑)。」

WD40 repeatというのは、Trp-Asp (W-D) で終わる約40アミノ酸のモチーフが4回以上くり返し存在する配列であり、circularised beta-propeller structureを構成してprotein-protein interactionに関与すると考えられているモチーフの一つである。まぁ結構いろんなタンパクに見られるのだが、自分のトークの中では Mahjong と Lgl の両方にWD40 repeatが入っている。あんまり細かいことを話す暇がなかったので、Mahjongを紹介するスライドにWD40に関する記述はあったもののそこではそれには触れずにスキップしたのだが、どうやらこの学生はこれに興味を持ったらしい。それにしても、このタンパクのドメインが実際のcompetitionにおいてどのような役割を担っているのか、なんてなかなかシブイ質問してくれますなぁ、と一瞬思ったのだが、彼らはMechanical Engineeringの学生であるということを思い出した瞬間、彼が何を勘違いしたのかすぐに分かった。アメリカにいる人なら御存知だと思うが、アメリカで「WD-40」と言うと、家庭でも使う潤滑油スプレーの代名詞である。日本の「クレ556」みたいなもんかな。自分も時々自転車のチェーンに吹きかけたりしている。つまり、このエンジニアの卵はこの潤滑油がどのようにcell competitionに関与しているのか疑問に思ったらしい。それを説明したら会場は大爆笑に包まれた。これが一昨日のトークで一番盛り上がった瞬間だったかも知れない。。。

2014年2月12日水曜日

AMEでトーク

昨日のAMEでのトークはなかなか楽しかった。結構たくさんの学生さんが聞きに来てくれていたけど、それほどたくさんの質問があった訳ではなかったので、どれくらい理解してもらえたのかはちょっと分からない。やっぱりもう少し分かり易くするべきだったのかも。
それにしてもこのAME Centerというとこはなかなか面白かった。航空工学の実験施設って我々の想像を超えている。一つの実験装置のためだけに建てられた建物の中に20m以上はあろうかという巨大な風洞が設置されていて、その中に超音速の空気を流したりするんだそうな。ロボットを作っている工場みたいなラボもあったな。軍事機密に関わるような研究も多いようだ。
で、トークのあとにKT博士といろいろお互いの研究の話をさせてもらったのだが、これが本当に有意義だった。こんなにもインスピレーションがかき立てられたデスカッションは久しぶりかも。話せば話すほど、自分の狙いが正しかったというか考えていたことが具現化できそうな気がしてきたし、もしかしたら自分達は同じモノを見ているんじゃないだろうかという気さえしてきた。近い将来、一緒に何か新しいコンセプトを世に出すことが出来ればなぁと思う。

2014年2月10日月曜日

完全アウェー

明日、FSUのAME (Aero-Propulsion, Mechatronics and Energy) Centerというところにトークをしに行く予定。ここでラボをお持ちのKT博士が招待してくれた。DepartmentはMechanical Engineeringということで、聴衆は全員工学系のエンジニアらしいので100%アウェーでの試合になる。。。こんなのは初めてなのでちょっと緊張するけど、どんなフィードバックが返ってくるのかかなり楽しみでもある。ということで、今晩はちょっと発表スライドの準備。

Pillar Box Red 2010

Henry's Drive Pillar Box Red 2010
久しぶりにPublixでオーストラリアのPillar Box Redを買ってきた。Shiraz 68%、Cabernet Sauvignon 27%、Merlot 5%。以前に飲んだのは2008年のものだったけど、ブレンド比はほぼ変わっていない。ブラックベリーやダークチョコレートにスパイシーな味わい。相変わらず濃くて旨い。

2014年2月7日金曜日

shipping

昨晩遅くまでかかって荷物のパッキングと日通に渡す書類の作成を完了。で、今日の昼に日通のトラックが荷物の運び出しに来てくれた。全部で大小32箱分。3〜4人で来るんかなとか思っていたら、なんと1人だけ。しかも一時間もかからないうちに持って行ってくれた。本がたくさん入っているかなり重い箱がたくさんあったのに、さすがプロやなぁと感心した。そしてその後、毎度おなじみの Amnet に電話をかけて航空券を予約。ダラス経由で日本までの片道切符。3月18日に出発予定。

2014年2月5日水曜日

Nurse cell actin filament bundles

germline

どんどん暖かくなって今週はもう初夏のような陽気。昨晩も部屋の中がちょっと蒸し暑いので天井の扇風機をまわしたくらい。今週の金曜日に早くも引っ越しの荷物を日本へ向けて発送する予定なので、今週はわっせわっせと箱詰めの毎日。あともう少し。
最近ちょっと思うところあって、久しぶりにgermlineをいじっている。そのへんにあったVALIUM20のRNAiをmattub-Gal4-VP16でドライブしてみたのだが、やっぱりちょっと効果が弱いみたい。やっぱしgermlineにはVALIUM22を使う方が良いのかな。いくらかoverexpressionも試したいのだけど、UASpコンストラクトのハエは意外と少ない。まぁでもなんとなく予想通りのことが起こっている感じがするので、帰国までにもうちょっと色々と試してみる。
夕方、医学部の方でNikon Eclipseのデモがあったのでちょこっと見てきたけど、素晴らしかった。あんなカッコイイコンフォーカルが欲しいなぁ。

八歳

2014年2月3日月曜日

aesthetic?

そういや少し前からボスが、今年のDrosophila Image Awardに出したらどう?ていうか出そうよ、と何回か言っていたのだけど、気付いたら今日が締め切りだったので慌てて応募してみた。去年パブリッシュされた論文からのイメージだけ、ということなのでやっぱりCCHの写真になるんだけども、いろいろ探してみたあげく結局レビューで使った写真が一番分かり易いかな、ということでコレにした。まぁaesthetics的にもまぁまぁかなと思うけど、どうなんかな。

豆まき

随分暖かくなった。今日は半袖でもいけそうだったくらい。
いくらか進行中の実験結果が今日出てきたのだけども、どうもはっきりとしない感じ。最終的な結果が出るまでにはまだもう少し待たないといけないけど、この感じだとまたたくさん細胞を数えてquantificationしないといかんなぁ。まぁ今うちのデパートメントのコンフォーカルが壊れてて使えないので、写真を撮る前にしっかりとquantificationしとくのもいいかも知れんけど。
今日は節分だったので、晩御飯のあとに豆まき。やっぱり異国のアパートで大声出して豆まきするのはちょっと気が引けるね。まぁしっかりとやったけど。