2015年1月27日火曜日

CoinFLP

CoinFLP: a system for efficient mosaic screening and for visualizing clonal boundaries in Drosophila.  Development 142: 597-606.
さて、IHラボのエース、JB氏のコインフリップ(CoinFLP)システムがDevelopmentに登場した。コインフリップという名前があからさまにオシャレでちょっと気になりますね。
余談としては、何年か前にFly MeetingでJB氏と話した時に、彼が自分で開発したこのシステムを使ってやっているcell competition関連のgenetic screeningについて話してくれたのは覚えているけど、このCoinFLPというシステムが具体的にどういうものだったかはきちんと覚えていなかった。
で、どういうシステムかというのは図を見るのが一番手っ取り早い。基本としているのはFlip-out Gal4-UAS systemで、既存のcanonical FRT sitesに加えて、FRT elementのspacer sequence中の6 bpを変化させた FRT3 を組み込んでいる(FRTのspacerはrecombination時のDNA-DNA pairingに関与しているので、これを異なる配列にすることによりpairingのspecificityを変化させることができる)。つまり、Flipaseによってcanonical FRT sitesに挟まれたStop cassetteが飛ばされるか(Gal4 On)、FRT3 sitesによって挟まれた部分が飛ばされるか(Gal4 Off)はstochasticであり、flip-outによって二種類のランダムクローンが誘導される。まぁこれだけだと利点がよく分からんけど、例えばtissue specificなey-FLPとかubx-FLPとかを使った場合に、既存のFlip-out systemを使うとディスクのほとんどの細胞でflip-outが起こってしまうのだけども、このCoinFLPならキレイなモザイクが誘導できる。

そして、もう一つのCoinFLP-LexGAD/Gal4 systemではこのシステムの利点はより明らかになる。こちらのシステムでは、FRT sitesの間にStop cassetteが挟まれていて、FRT3 sitesの間にはStop cassetteとLexGADが挟まれている。これによって、Flip-outの結果誘導される二種類のランダムクローン(Gal4-UAS cloneとLexGAD-LexAop clone)を別々のマーカーで見分けることが出来るという優れもの。ちなみにこの時、cloneの出現確率はLexGAD cloneの方が高くなるらしい(たぶんこのシステムではFRT sitesよりFRT3 sitesの間隔の方が長いから?)。ふむ。

この論文ではさらにもう一つクールなのがあって、このCoinFLP-LexGAD/Gal4 systemにsplit GFPを用いたGRASP(GFP Reconstitution Across Synaptic Partners)を組み合わせたものを紹介している。つまり、two complementary parts of a ‘split GFP’ fused to the extracellular domains of mouse CD4を、UAS cloneとLexAop cloneで別々に発現させて、これら二種類の細胞が接している部分でGFPのreconstitutionが起こることによってclonal boundaryを可視化できるという訳やね。コレを使ってJB君が見たっていうものにドキッとしたなぁ。ともあれ、これは今までにありそうでなかったエエシステムやね。使わしてもらおかな、ということで早速Bloomingtonから注文しよう。

5 件のコメント:

  1. おお、モレノ先輩の論文でも紹介するのかと思ったら、こっちですか。このシステムは、まぁ色々色々問題のある話で(ごにょごにょ)、今後、他の人がどういうかたちでこの系を使っていくかがキーですね(また、会った時にでもごにょごにょの詳しい話はします)。splitGFPのやつは、フラグメントがいったんくっつくとirreversibleで、細胞接着最強で色んなことが起こりますので、使用時は解釈に注意してください。

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  2. おっと、内部情報きましたね。モレノ先輩のも書こうかなと思ってたとこです。
    で、色々色々ある訳ですね。でも、CoinFLP-LexGAD/Gal4の2クローンシステムなかなかエエ感じに見えまっせ。GRASPの解釈、了解です。まぁこれはとりあえずwild typeで見てみたいんですよ。ところで、コレ使ってJB君がやっていたcell competitionのスクリーニングはどうなったん。

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  3. まぁ、確かにイイ感じに見えるのですが、それがどれくらいの確率で起こるのか、ってことが一番の問題なのです。そういうわけで、スクリーニングの話も、なかなか難しいわけです。グラスプのやつは、ワイルドタイプで見ても、突起とかギザギザは、 最強接着のアーチファクトである、という可能性が非常に高いわけなんす。瞬間接着剤みたいなもんだから。あんまり書きすぎると、おそらくググって、このサイトにたどり着くであろうエースに身内バレしてしまいそうだから、書けないけれど(書いているか十分)。ともかく、これは、今後どこまで他の人に使われるか、っていうのがキーですね。

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  4. なるほどなるほど。って、なんかオーダーする気無くしてきたぞ。まぁでも一度試してみるか。JB君がここに辿り着いてコメントくれたりしたら、それはそれで楽しいね。「コメット、オイ、コラ」みたいな。

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  5. そうですね、一度試してみると色々実感できると思います。ぜひ試してみてください。でも、しつこいけれど、グラスプだけはワイルドタイプでも要注意です。一応、ラボ内ではコメットバレしていないので、そのあたりよろしくdeath.

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