先週の金曜日から今セメのラボーミティング開始。第一回目はドンちゃんとアンソンによる以下の論文の紹介。
Induction of endocycles represses apoptosis independently of differentiation and predisposes cells to genome instability. Development 141:112-123.
ドンちゃんは発表を始める前から、「この論文はスケッチーで、文句言いたいところがたくさんあるアルよ。」と鼻息が荒い。前もこういうことがあったけど、あんまりこういう姿勢でもって論文紹介の発表をされるとイラッときますなぁ。じゃあなんでオマエはわざわざそんな論文を選んで発表する訳?もっと自分が納得のいくナイスなヤツを選んでこいよ。と、よっぽどゆうたろうかなと思ったけど、実はこの論文は結構オモロイことについて話しているのを知っていたのでやめといた。
さてこの論文のメインコンセプトを簡単に言うと、irradiationによるDNA damageによって誘導されるapoptosisが、endocycling cellsでは起こりまへんのよ、ということ。確かにirradiation後のfollicle epitheliumにおいて、oogenesis stage 6までのmitotic stageではfollicle cellがモリモリ死んでいくのに、mitotic to endocycle transition後のstage 7以降はapoptosisがぴたっと止まっている。そして、CycA-RNAiやFzr (Cdh1)のoverexpressionによってmitotic stageでprecocious endocycleを強制的に誘導した細胞でも、このirradiation-induced apoptosisは抑制されるのである。ちなみにこのapoptotic competenceの消失に、Notch signalingによるfollicle differentiationは関わっていない。
でも実は同様の発見を彼らは2008年に、以下のGenes & Dev.の論文で発表している。
この2008年の論文では、Dup (Drosophila Cdt1) overexpressionによって誘導されたDNA rereplicationがgenotoxic stressとしてmitotic cellではapoptosisを促すのだが、やはりendocycling cellではapoptosisが誘導されなかったのだ。で、このメカニズムに関しては、どうやらendocycling cellではH99 locusのproapoptotic genes promoterがサイレンスされており、p53によるtranscriptional activationが抑制されていることを示唆している。これはかなり興味深いのだが、どうやってendocycleに入った細胞が急にこのpromoter regionをサイレンスするのかについてはよく分かっていない。
それにしても、なんでendocycling cellはDNA damageによるapoptosisに対して強い抵抗性を持つんだろうか?と、ミーティングの最後に皆に向かって問いかけてみたら、ズーちゃんが「そりゃあ、polyploid cellはよりimportantな細胞だから」って答えたので笑ってしまったけど、言いたいことは分からないではない。でももしかしたら、ただ単にコピー数が増えているからDNA damageに強いとかそういうことなんとちゃうのん、とか言いたくもなるけど、Genes & Dev.のほうの論文では、follicleだけでなく他の組織でもnormalなendocycling cellの核において、γ-H2AVによってラベルされるrepair fociがpericentric heterochromatin region近傍に現れることが示されている。これはおそらく、endocycleのS phaseは通常のmitotic cycleのそれよりも短いために、heterochromatic late-replicating sequencesがreplicateしきれないことによるのではないか、ということだそうな。
The appearance of phosphorylated H2AV in normal endocycling cells indicates that they recognize these sites as genetic lesions and must constantly tolerate genotoxic signaling and suppress apoptosis downstream from ATM. Thus, it is likely that during evolution the developmental entry into the endocycle has been coupled to the suppression of apoptosis so that cells can reap the biosynthetic benefits of euchromatic polyploidization.
せやけど、こんな場当たり的なシステムが保存されとるというのもなんやらちょっとヘンな気もするけどねぇ。