2022年5月4日水曜日

Asynthetic Fission

Skin cells undergo asynthetic fission to expand body surfaces in zebrafish. Nature (2022). DOI:10.1038/s41586-022-04641-0
As an animal’s surface area expands during development, skin cell populations must quickly respond to maintain sufficient epithelial coverage. Despite much progress in understanding of skin cell behaviours in vivo, it remains unclear how cells collectively act to satisfy coverage demands at an organismic level. Here we created a multicolour cell membrane tagging system, palmskin, to monitor the entire population of superficial epithelial cells (SECs) in developing zebrafish larvae. Using time-lapse imaging, we found that many SECs readily divide on the animal body surface; during a specific developmental window, a single SEC can produce a maximum of four progeny cells over its lifetime on the surface of the animal. Remarkably, EdU assays, DNA staining and hydroxyurea treatment showed that these terminally differentiated skin cells continue splitting despite an absence of DNA replication, causing up to 50% of SECs to exhibit reduced genome size. On the basis of a simple mathematical model and quantitative analyses of cell volumes and apical surface areas, we propose that ‘asynthetic fission’ is used as an efficient mechanism for expanding epithelial coverage during rapid growth. Furthermore, global or local manipulation of body surface growth affects the extent and mode of SEC division, presumably through tension-mediated activation of stretch-activated ion channels. We speculate that this frugal yet flexible mode of cell proliferation might also occur in contexts other than zebrafish skin expansion.

先週、オンラインに出てきたNature article。Brainbowをベースにしたmulticolour barcoding system “palmskin”で皮膚が虹色になったゼブラフィッシュが美しい。それにしても、タイトルを見て何のことだろうと思ったのだけど、内容を理解してビックリ。なんと、発生期のゼブラフィッシュの体表面を覆う表皮細胞(SECs)が、DNA複製をせずに2回ほど細胞分裂する、つまりゲノムサイズを減らしながら分裂するという話。分裂をしないでDNA複製だけによって細胞サイズを増大させるCCHとは全く逆のパターンということになる。この「asynthetic fission」は、幼体の体表面を覆うSECsが、この発生時期(8~10 d.p.f.)の急速な体の成長に合わせて表面積を増大させる必要があるから、ということなのだが、DNA複製をせずにただ分裂するだけだと体積自体はそれほど変わらないだろうから意味ないんとちゃうのん、という疑問と、"frugal yet flexible mode"とか言ってるけど、そもそもゲノムを半分に分けちゃったりして大丈夫なんか、という疑問を抱きながら読んだ。ちなみに、これまでこの発生時期のSECsはpostmitoticだと考えられていたそうだけど、それはDNA複製が観察されなかったからなのかな。
さて、一つ目の疑問に対する答えは、分裂することによって娘細胞トータルでのapical surfaceの面積が増大するということで説明されている。娘細胞トータルの体積自体はやはり増えていないようだけど、2回分裂した後の4細胞トータルでのapical surfaceは確かに増えているので、apicobasalの高さが減少することでapical surface areaを増大させているということになる。
二つ目の心配はある意味的中していて、やっぱり染色体分配はかなりerror proneで、色んなchromosome segregation defectが結構な割合で生じるようだ。そもそも2Nから2回分裂する訳だから、上手くいっても0.5Nになるはず。とはいえ、このSECsはそのほとんどが21 d.p.f.には剥がれ落ちて新しい細胞に置き換わってしまうということなので、やはりとりあえず発生期を効率的に乗り切って、生殖さえ上手くいけばその後は体細胞がどうなっても知らんわというシステムなのかな。CCHでのendoreplicationも組織修復するにあたってmitosisよりも効率的なはずだけど、polyploidになってaneuploidを産む危険性を持ってしまう訳で、こういうその場しのぎ的なところは同じなんだろうなという印象。CCHとasynthetic fission、どちらを取るかという選択要因はなんなんやろね。
今回、このasynthetic fissionがどうやって制御されているかについてはほぼ触れられていないけど、これはかなり気になるところ。そもそもちゃんとchromosomeとかspindleを作っているんだろうか。一つ、微小管重合阻害剤のNocodazole処理によって分裂がかなり阻害されると同時にbinucleated cellの数が増加する一方で、DNA合成阻害剤のHydroxyureaやAraC、そしてCDK inhibitorのRoscovitineなどの処理ではこの分裂にほとんど影響が出ないことが示されている。まぁもちろんこれだけではなんとも言えないけど、普通の細胞周期とはかなり違って、少なくともチェックポイントはほぼ機能していなさそう。また、この分裂は体の成長に伴って表皮が引っ張られることがトリガーになっていて、stretch-activated ion channel Piezo1の関与が示されているけど、こういうmechanotransductionについてはもはやあんまり新しさは感じない。むしろもっとcell cycle regulationに関して見せて欲しかった。まぁ、それはまた今後に期待ということか。
そういや、このpostmitoticな状態からむりやり分裂してchromosome segregationがおかしくなっちゃうという感じを見ていてふと、もしかしたらつい最近うちで見ているtumor cloneの分裂と似ているのかもという気がしてきた。もうちょいと詳しい話、このラボに聞いてみようかな。

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