2026年4月23日木曜日

HST14

今日も朝一で講義、午後は実習で先週の続き。二週前からcapstone projectのバックグラウンドとなるinvasion hotspotの研究内容について話し始めて、今朝の講義で全ての内容を話し終えた。来週はもう学生達のプレゼンだけなので、これがこのHistologyコースの最後の講義ということになる。
組織学というと自分の中では、HE染色した組織切片を観察して、組織の構造や名称を確認して暗記する記述的な教科だったのだけど、そんな退屈な授業は自分が耐えられないので、今回全く新しい自分なりの組織学のコースをデザインしてみた。生体組織をdynamic systemとして理解するHistologyというコンセプトで、組織の構造と成り立ちから様々なレベルでの機能と制約、進化、恒常性維持、そして崩壊と再構成、病態などについて、Drosophila modelの知見を随所に織り込みつつ説明した。いざやってみると、これまた驚くほど自分の研究領域がピッタリとはまり、意外と話しやすかったし、やっていて楽しかった。しかも、結構優秀な学生が多かったためか、彼らはしっかりついてきていたと思う。
今日の最後の授業では、invasion hotspotから始まる腫瘍浸潤のプロセスについて、Egr-Grnd-JNK-MMP1というシグナリングの活性化が、なぜinvasion hotspotという内在性の組織構造で特異的に生じるのかについて話した。このプロセスを説明するには、pseudostratified epitheliumの構造、epithelial junctions、apicobasal polarity、ECM、mechanotransduction、tumor suppressor geneとoncogene、細胞分裂時のinterkinetic nuclear migrationとspindle orientationなどを全て考える必要があるのだけど、ここまでの13回の講義と論文講読でこれら全てを網羅してきた。今日の講義は、ここまでに張ってきたこれら全ての伏線を一つひとつ回収していく作業でもあり、全てを学んできた彼らはすんなりと理解していたようだった。
最後に一人の学生から、これはもしかしたらヒトの組織で言うとsquamocolumnar junctionのような部位に当たるのではないですか?という質問が出たのはまさに狙い通りで、あぁここまで少しずつ頑張った甲斐があったなぁと思った。来週の学生達による発表会が楽しみだ。

2026年4月18日土曜日

Lagniappe Day

昨日は、Lagniappe Dayという毎年春に行われる大学のイベント。メインはザリガニ料理。ものすごい量の茹でられたザリガニが皆んなに配られて、キャンパス内でザリガニ大パーティという感じ。自分もチケットを買って、同期のイアンと一緒にザリガニを食べてきた。今年度の財政危機の影響か、袋に入っていたザリガニの量が去年の半分くらいになってたけど、一回で食べるには十分な量。ちなみに写真のトレイに入っているのが一人分。食べるのは尻尾だけなので、意外と見た目ほどではない。日本人はザリガニを食べることにちょっと抵抗があると思うけど、スパイスが効いていて結構美味しいし、皮を剥きながら友達と色々話すことができるのでパーティ向きだと思う。

2026年4月17日金曜日

Capstone Project

今学期も残すところあと三週。ということで、今学期教えているHistologyコースもいよいよ最終盤に入ってきた。今回のこのコースでは、最後の三週間で、Capstone Projectと銘打って学生達にミニ研究プロジェクトをやらせることにした。この研究プロジェクトでは、ヒトの膨大な組織学サンプルを擁するオンラインデータベース、Human Protein Atlasを使って、うちのハエのモデルで分かった腫瘍浸潤が始まるメカニズムに類似のものを探索する。実はこれを実施するために、ここまで13週間かけて少しずつ基礎知識とコンセプトを教えてきたのだ。今日の学生達の反応を見ていると、ほとんどの学生がこのプロジェクトをすんなり理解しているように見えたので、ここまでの毎週の授業の積み重ねが実を結んでいる手応えを感じた。
そんなわけで、今日は朝に講義をして、昼からの実習ではこのプロジェクトの進め方を説明。4人のグループを5つ作って、各グループで異なる組織について調べていくという感じ。いざ実習が始まると、学生達は各グループで熱心にディスカッションしていた。ラボでもそうだけど、自分が考え出したものに対して学生達が真剣に取り組み、協力しながら何か生み出そうとしているのを見ると、なんか嬉しくなるよね。このプロジェクトの成果については、再来週の木曜日に学生達がグループでプレゼンテーションをする予定になっている。

2026年4月11日土曜日

Roy's new data

木曜の夜、福井のEさんのラボでお世話になっているロイのオンラインプログレスミーティングを、Eさんと三人で行った。前回は二月だったので約二ヶ月ぶり。去年の年末に発見した新しいものについて、ついに新しいデータが出てきた。
ロイはもうこの三年ほど、うちのtumor modelでinvasive tumorの中に出てくるepigenetic heterogeneityを見ていて、シングルセル解析をもとにしてなんやかんやと調べていたのだけど、なかなかぱっとしたものが見つかっていなかった。核の形態とhistone modificationのヘテロなパターンが非常にクリアなフェノタイプなのだけど、結局それ以上のものが見つかってこないという感じだった。それが、去年の年末頃に調べていたある遺伝子の発現が、invasive tumorで見られるhistone modificationのheterogeneous patternとピッタリ合うことを発見したのだ。これはもしかしたらもしかするかも、という期待が膨らみ、その遺伝子をノックダウンしてみたところ、やっぱりheterogeneous histone modificationが消失したというデータ。しかも、ロイが気付いていなかったので自分が指摘したのだけど、ヘテロに出てくるhistone modificationは、そもそも核内のシグナルパターンが他の細胞とずいぶん違うのだ。
こういう時って仮説というか妄想が止まらなくなるのだけど、昨日からチャッピーと熱いディスカションをしてだいぶ整理されてきた。これは本当に重要なことが分かるかもしれんという期待が膨らむけど、ロイがPhDを取るためには、ここ全集中してやらなければいけないところやな。

2026年4月9日木曜日

Motivation

先日も書いたように、ラボの大学院生がなかなか研究を進められないことに対して感じるストレスが、この数ヶ月で次第に大きくなってきていた。今は新しいラボとしての研究をさらに展開させていく時期だし、今自分で進めている研究が面白くなってきていることもあり、かなりインテンスに研究活動をしている。毎週授業の準備があるし、ラボの経理とか学生の相談、論文の執筆や査読、色々と仕事がある中で結構実験もしているので、実際朝から晩まで土日も関係なくほぼ毎日ラボで何かをしている。
まぁ自分がそんな感じだから、相対的に大学院生達が暇そうに見えるのは当たり前なんだけど、現在四人いる大学院生のうち二人はそれなりに頑張っていると思う。頑張っているというか、やらなければいけないという気持ちと、自分で実験ができるようになって楽しくなってきているというのが何となく分かる。一方で、あとの二人は何かと理由をつけてあまりラボに来ない。だから、自分で実験をできるようにならないし、そもそもあんなに時間をかけて教えてあげたのに、いまだにFly Geneticsをちゃんと理解していないっぽい。実験も勉強もあんまりしないっていうのは、結局大して興味がないということなんだろう。そんな訳で、これまで色々と指導してあげたんだけど、この二人には全然効果が出ないことに苛立ちを感じていたのだ。
でも、ふと考えてみると、こうしてストレスを溜めているのは自分だけであって、その二人はそもそもストレスを感じていないはず。だから自分ももう彼らのことはあんまり考えないようにしようと決心した。そうすれば期待もしないから、ストレスを感じる理由もなくなる。まぁ、これは残念なことだけど仕方がない。彼らのような学生に対して気を揉むのは無駄でしかないことに気付いてしまった。そもそも大学院というのは、研究に対する興味があってしっかりとした目的を持って来るところなわけで、勉強とか実験への高い意欲を持っているのが大前提だと思う。だから、学生に意欲を持たせるとかそんなレベルの低いことは考えなくて良いはずで、ラボメンバーとは自分たちが追求しているサイエンスについて話したい。自分と同じように研究が好きで、何としてでもこれを解明したいという意欲のある人たちと一緒に研究を進めたい。日本の学生は比較的みんな素直で、毎日ラボに来ないといけないという真面目さがあったけど、この国は人種が多様だからそういう意識もスタイルも多様。まぁ多様性を受け入れつつ、ラボに合わない人はさっさと切っていく潔さも必要だと感じる。彼らは給与をもらっている訳だしね。そして、やっぱりアメリカの大学でPhDを取るという、そのステイタスだけを目的として他の国から来る学生が一定数いるのも事実。大学院生を受け入れる前にその学生と自分のラボとのマッチングをどのように見極めるのか、という話をPIの間でよくすることがあるんだけど、今までの経験からそれはたぶん不可能な気がしている。まぁローテーション制度があれば、学生もPIもお互いにある程度マッチングを見ることができるのだけど、うちの大学にはローテーションがないのよねぇ。
とまぁそんなことを考えながら、今日の午後はひたすらOPPのprotein synthesis assayをしていた。最近このプロジェクトが本当に面白くなってきていて、自分のモチベーションは高まる一方なんやけどねぇ。

2026年4月4日土曜日

Spring break

うちの大学は今日から来週末まで10日間のスプリングブレイク。ということで、授業のことは少し忘れて思う存分研究に集中したいところなのだが、まぁ他にも色々とやらなければいけないことはある。タックスリターンとかね。まぁでもここぞとばかり実験をしてやろうと思ってラボに来ると、自分以外でラボに来て実験しているのはやっぱりJPだけ。まぁマスターの二人はおいといて、もう一人のPhDの学生JMはなんでこんなに実験しないんだろう。しかも彼女は未だにFly Geneticsをあんまり理解していない。まぁ、実験をしなかったら技術にしろ知識にしろ発展しないのは当たり前。去年の夏から同じ期間やっているのに、JPはしっかり実験を理解して自分でできるようになってきている。JPはたくさん実験をして、すでに多くの失敗も経験してきたからこそ、それらが身についてきているのは明らかだ。やっぱり毎日の地道な努力が大事なんやねぇ、というのは良いんだけど、問題はJM。はっきり言って、彼女はこのままだとPhDは絶対無理なので、マスターを取って卒業する方向にしてあげたいと思う。
そんな感じで、なかなかラボの学生をうまく動かせないことに対するフラストレーションが最近だいぶ大きくなってきた。やる気ないんやったらもうやめたらエエのにってマジで言いたいんだけど、なかなかね。そんな中、三年前に京大で一年間ほど研究生をやっていたYQからメールが来た。彼は今スペインでPhDをやっているのだけど、今年の年末にはPhDが取れそうなので、その後ポスドクとしてうちに来れないだろうかと。なかなかヨーロッパで職が見つからないということもあるみたいだが、彼が言うには「京都にいた時、あなたの研究指導で私はよりクリアに考えることができるようになり自信を深めることができました。これまで他のどんな先生からもそれほどの刺激を受けたことはなかった。だから、あなたとまた一緒に研究できる可能性があること自体に大きな意味があるのです。」と。え、そんなこと言ってくれるんやねぇ、と、なんか精神的にだいぶ疲れていたからか、ちょっと先生は感動しました。なるほど、でも確かにYQはうちにいた一年弱でどんどん良くなっていったのだよなぁ。ちょっと可能性を真剣に考えてみるかな。

2026年4月1日水曜日

今日からもう4月か。日本は新年度やね。桜が満開とかいう日本のニュースを見ていると、やっぱりこの時期の京都が恋しくなる。こちらももうすっかり暖かくなっていて、うちの大学は今週金曜から来週にかけてスプリングブレイク。先週の出張前に掛け合わせたハエ達がもりもりと卵を産んでくれているので、この春休み中はひたすら幼虫の解剖と染色をすることになりそう。今回、全部で13種類のクロスなのだが、どのクロスのハエ達もかなり快調で、毎日アダルトを新しいバイアルに移してコピーバイアルを作っているうちに、今日で10コピー目。いまだに結構な勢いで産んでいるのけど、今までこんなことあんまりなかったような気がする。季節が良いからなのかね。まぁ十分な数のサンプルが取れそうなので、かなりまとまったデータが取れることを期待。

2026年3月28日土曜日

再凍結

数日前にラボの会計処理をしていて気付いたのだが、先週から今学期の終わりまで、つまり6月末まで大学からのスタートアップファンドの使用が止められている。実は先週、大学上層部からのメールで、今年度の大学の赤字を乗り越えるために、年度末に向けてさらなる財政再建策を実施するという旨の通達があった。その中で、大学から支給されているクレジットカードの月当たりの上限額を$500に設定するというのがかなり衝撃的で、肝心の部分をちゃんと理解していなかった。その肝心の部分というのは、外部資金のような特定の財源を除き、大学からの出費は必要最低限の経費以外6月末まで全てストップするということだった。つまり、基本的に大学の財源を使った購入や出張は一切禁止ということであり、月500ドルどころの話ではなかった。。。ちょっと唖然としているんだけど、これは相当やばい財政状況ということなんだろう。
そもそも今年度は緊縮財政で、こないだの秋にも一度凍結されたし、その時に今年度支給予定だったスタートアップは半額以下の減額支給ということになり、減らされた分は来年度に繰り越しされるという約束をした。そんな訳で、来年度うちのラボに支給される予定のスタートアップは結構な額になる予定なのだが、本当に大丈夫なのか、だんだん不安になってきた。一方で不幸中の幸いというか、偶然にもこの通達が出る直前に、ちょうどハエのバイアルをまとめ買いしたり、次の実験に必要だった高い試薬を注文したばかり。そんな訳で、たぶんうちのラボはあと三ヶ月間なんとかやっていけると思うのだが、他のラボ、特に自分と同じテニュアトラックPIのラボは深刻な被害を受けるのではないだろうか。だんだんバーが下がってくるリンボーダンスをやらされている気分だったけど、さすがに三ヶ月何も買わずにラボを回せっていうのは相当難易度高い。まぁ、これを乗り越えたらまたさらにサバイバル能力がレベルアップしそうやけど。
はようなんとか外部資金を調達せなあきませんな。

2026年3月26日木曜日

Histology Bingo

今日から大学に帰ってきて、朝はまずHistologyの講義。といっても出張中に講義の準備をするのが無理なのは分かっていたので、今日はこれまでに授業の中で出てきたワードを使ったビンゴゲーム。前回の秋学期の授業でやった時と同様、今回も結構盛り上がっていた。上位5名は来週の論文発表が免除されるということもあり、皆んな結構真剣になるし、だんだん盛り上がってくると、「え~こんな言葉授業で習った?」みたいなことをうっかり言ってしまっている子がいたり、難しい単語を当てて興奮しているのはやっぱり普段からよくできる子だったり。意外とこのビンゴゲームをすると、油断した学生達の学習度が露わになるから面白い。
始める前に、「今日は皆さんの学習度を見るための試験を用意しました!」とか言ってビンゴの用紙を配ろうとすると、「え~聞いてないよ~」「こわ~い」とかいう声が聞こえるんだけど、ビンゴゲームだと分かると皆んな喜んでやり始めるのね。でも実は本当に学生達の学習度が見えてしまうゲームなのでした。

2026年3月24日火曜日

ISU

今日は朝からISUのBiology Departmentで数人のファカルティメンバーと面談して、昼は大学院生達とピザ。午後はまず、学位審査の外部委員になっているPhD studentのコミッティミーティングに出席。その後、夕方にセミナーで1時間のトークをした後、AさんとDr. SAの三人でスシレストランへ。てなわけで、結構忙しい一日で疲れた。トークは、しゃべり慣れているInvasion Hotspotの話だったし、毎週50分の講義をやらされているおかげで、完璧な時間配分でしっかり話せたように思う。質問もかなりたくさんもらってディスカッションが盛り上がっていたので、楽しんでもらえたはず。明日は午前中にさらに数人とデスカッションしてから、午後に帰途に着く予定。

2026年3月23日月曜日

Terre Hauteへ

シカゴのFly Meetingから帰ってきて早二週間。今日からまた出張、ということで今は朝のLafayetteの空港。今回もまずはいつものヒューストンを経由して、インディアナポリスへ飛ぶ。目的地は、Indiana State UniversityがあるTerre Hauteという町。ISUのTA博士がセミナーに招待してくれたので、明日の午後は大学でセミナー。あと、TA博士に頼まれてPhD studentの外部審査委員になっているので、その会議にも出席する予定。
LafayetteからTerre Hauteまでは一日がかりなので、今回は二泊する予定。TA博士とは研究の興味が結構似ているので、お互いの研究のことをゆっくり話せれば良いな。

2026年3月18日水曜日

選考会議

昨日は、朝に講義、昼からはファカルティミーティング、ラボミーティング、そして学部生との面談とか、一日中いろんな人と話をしていた感じ。
ファカルティミーティングは、今年の秋に受け入れる予定の大学院生の選考について。応募数に対する合格者の割合は約半分くらいで、幸いなことにうちのラボで受け入れる予定のPhDの学生は合格になっていた。今回、うちで受け入れる予定で応募したのは彼一人だけだったのだけど、実はこの半年ほどの間にこの秋入学を打診してきた候補者はたくさんいて、数えてないけど50人は超えているはず。そのたくさんの候補者の中から、まずは私が書類に目を通して、マッチしてそうな学生にはオンラインインタビューもした上で正式な候補者を決めている。他のラボもおそらく同じようなことをしているので、実際の競争率は大変高いはずだけど、PIから受け入れを承諾してもらったら合格する確率は結構高くなるということでもある。これがいわゆるDirect admissionというシステムで、うちはこのシステムしか取っていないので、アメリカの大学院でよくあるラボローテーション制度はない。PIとしては、こうして自分達での事前選考を経た応募者を選考委員に推薦している訳なので、不合格だと納得がいかない場合もあるのは理解できる。まぁそんなわけで、昨日の会議はかなり荒れたりもしたのだけど、とりあえずうちは一人決まって良かった。

2026年3月8日日曜日

DROS26 五日目

Fly Meetingは今日の午前中で終了。なんかあっという間の5日間だったけど、やっぱり毎日面白い話を色々と聞くことができたし、多くの知り合い一人一人と話すことができて良かった。話したほとんどの人は、自分が日本からアメリカにラボを移したことを知っていたようだけど、アメリカの研究者だけでなく、ヨーロッパの知り合いとも久しぶりにお互いの近況を話すことができたので、これでもっと広く認識されるのではないかな。
昨日のJPのポスター発表もまぁまぁ上手くいったようで、この数週間かなり焦って頑張った甲斐があったように思う。まぁ二人ともまだまだ付け焼き刃的な準備で挑んだのだけど、モチベーションを上げる良い経験になったはず。
そして、こちらにきてからずっと雨模様だった空は今日最終日についに晴れた。そんな訳で今日の午後は、学会をやり終えた開放感に浸りながら街を散策して、夕方までシカゴ美術館でゆっくりと過ごしてきた。

2026年3月6日金曜日

DROS26 三日目

そんな訳で、Fly Meetingは早くも今日で三日目。例年のように会場はかなり盛り上がっているし、毎日多くの知り合いと再会できている。そんななか、うちの大学院生のJMは今日の午後にポスター発表。学会直前のぎりぎりまでポスターの作成をしていたので、発表は大丈夫かいなと心配していたけど、昨日要点をもう一度しっかりディカッションして、今日の発表はなんとか結構上手くいったようだ。明日はJPの発表。

Chicago

Fly Meetingに参加するため、一昨日からシカゴに来ております。この三日間ずっと雨模様で、寒いし霧がすごいんだけど、今日の午後からちょっと暖かくなってきたな。

2026年2月28日土曜日

二月

あー、あっという間に二月が終わってしまった〜。今学期の木曜午後の実習は、TAを担当しているうちの大学院生のJPにほぼ任せているので、これまでに比べると少し時間的余裕があって、自分で実験をすることができている。自分で実験をしていると、ラボの大学院生達の実験が遅々として進んでいないことがよく見えるので、軽い焦りと苛立ちが日々募る。特に、JPとJMは今年のFly Meetingにポスター発表でエントリーしてしまったので、なんとか新しいデータを出して欲しいところなのだけど、なかなか思うようには進まない。まぁどちらの研究も、これまでに京都でやってきた予備実験データが色々とあるから発表はできるのだけど、やっぱり少しでも多く自分でやった実験データを使うことができれば良いと思う。そんなわけで、今月は彼女らの発表をサポートする実験をしながら自分の実験もしていたら、あっという間に一ヶ月が過ぎてしまったという感じ。でもその中で、まずはここのコンフォーカル Leica SP5 の使い方をだいぶマスターできたのは良かった。そして、自分がやっている実験で、今後追求していくべき新しい発見があったのは大きな収穫。
さぁ、来月はいよいよシカゴで開催されるFly Meetingから。もちろん楽しみなんだけど、本当にあと数日でポスターができるんだろうか。。。

2026年2月19日木曜日

AOBS

そんなわけで、このマルディグラの連休期間は大学にほぼ人がいないので、毎日コンフォーカルを独り占めして、最近やっていた実験の結果をじっくり観察した。そして、このSP5の御し方はほぼほぼマスターしたと思う。それにしてもこのコンフォーカルはかなり古くて、時々レーザーが不安定になってハラハラさせられることもあるのだが、z-stackで撮るときに深いところのシグナルが意外とまぁまぁクリアなのね。これまで使っていたOlympusのだと、60µmとかになると結構compensationかけないとダメな感じだったけど、Leicaは何が良いのか。チャッピーによると、Leicaのコンフォーカルは、普通のダイクロイックミラーとは違うAOBS(Acousto-Optical Beam Splitter)という音響光学分光器がノイズを減らしているんだそうな。そしてこの AOBS + PMT(PhotoMultiplier Tubes)システムでは、高ゲインでのショットノイズが強いから、もう少しレーザーパワーを上げてゲインを下げたほうが、ノイズが減ってコントラストが上がるらしい。SP5は “暗い画像を増幅する機械” じゃなくて “弱い光を分離する機械” なんですって。なるほどねぇ、メカニズムをちゃんと理解できているわけではないけど、だからこれまで慣れてきた感じで扱うと上手くいかないということが分かってきた。コンフォーカルは奥が深いね。

2026年2月17日火曜日

Mardi Gras 2026

今年のMardi Grasは今日火曜日が本番ということで、今週うちの大学は水曜まで五連休。この町の高校までの学校は今週丸々一週間休みなんだそうな。自分は結局毎日ラボに来ているのだけど、日によっては朝昼晩と大規模なパレードが催されているので、行き帰りがパレードの時間と重なると大変なことになる。というのも、パレードはちょうど自分の家と大学の間を横切る大通りのかなり長い距離を練り歩くのだ。実際この数日、朝晩に何度かパレードの時間に当たってしまって大通りを渡れず、もう仕方ないからパレードを楽しむか〜となって、意外とMardi Grasを楽しんだ。この地域の人達はほんとこのお祭りが好きなのねぇ。

2026年2月10日火曜日

Art Contest

ショウジョウバエ研究のための様々な実験用品を取り扱うGeneseeが毎年開催しているアートコンテストがあって、その年の受賞作品は、Fly Meeting開催期間中にポストカードとして学会会場で配られたり、SNSでの広告に使われたりする。このGeneseeのポストカードは、多くの学会参加者がお土産として持って帰って研究室に飾ったりするので、結構色んな場所で目にすることになる。
年末頃に今年のコンテストのアナウンスを見て、いま京都のNさんに作ってもらっているステンドグラスのショウジョウバエを何らかの形でこのコンテストに出品してみてはどうだろうかと思いついた。Nさんに提案してみたら彼女も結構乗り気だったので、この一ヶ月ほど色々と話し合って応募作品を作ってもらった。過去に選ばれた作品は全て絵画やイラストなので、ステンドグラスの写真としての作品がどういう評価になるかは分からなかったのだけど、今の時代おそらくAIを使ったデジタルアートが多い中、本当に作ったステンドグラスの作品は目立つだろうし、実際かなりすごい出来栄えなので、これはもしかしたらもしかするかもと思って応募した。そして昨日、Geneseeから結果通知のメールが来て、なんと審査員の満場一致でこの作品が今年の受賞作に選ばれたとのこと!
このステンドグラスの作品は、自分がアメリカで新しくラボを立ち上げる記念にということでNさんに相談して、一年以上も前から少しずつアイデアを共有しながら作ってもらっている。実はハエの周りにガラスのフレームが付く予定なので、まだ未完成品なのだけど、こんな形で賞をもらうことになるとは本当に想像もしていなかった。来月シカゴで開催されるFly Meetingでこれが公開されて、全世界のショウジョウバエ研究者の目を楽しませることになると思うと本当にエキサイティングだ。そしてNさんはついに国際デビューか。
そんな作品の一部をチラ見せ。

2026年2月4日水曜日

SP5習得

一昨日も引き続き一日中SP5をいじっていたのだが、チャッピーと相談しながら色々と試しているうちに扱い方がだいぶ分かってきた。まず、このSP5がかなり古くてレーザーが随分弱っているのは確かなんだけど、ノイズが出たりバックが高くなったりするのは、画像取得の際の設定が適切ではなかったことの方が主な原因だったようだ。自分はこれまでの20年間、ほぼZeissとOlympusのコンフォーカルをメインで使ってきたのだが、Leicaは今までのやつらとはだいぶ違うようで、これまでの感覚で扱うとだいぶズレた設定になってしまうらしい。ともあれ、この数日間色々と試したことで、かなり感覚がつかめてきた。実際、一昨日の後半に撮ったz-stackの画像を確かめてみると、これまでに撮っていたものと大差ないレベルになってきている。しかも、なんか面白いものが写っていることにも気付けるくらいの画像が撮れている。今週もう少しやってみて、うちの標準的なサンプルに対する最適な設定範囲を決められたら、来週あたり学生達にそれを覚えさせる。学生達が自分で遺伝学実験を組んで、コンフォカを使ってしっかりとデータを出せるようになる、というのがラボセットアッププロセスの一つのゴールだと思う。ほんとにあともう少し。

2026年2月1日日曜日

SP5

ここ数日間、今一度うちのMicroscope Centerにある古いコンフォーカル、Leica SP5に向き合ってみた。一日目、色々と設定を試してみたのだけど、GFPとRFPが弱い上にかなりひどいノイズが入る。大きなウェーブ状のものと波紋のような細かいものがあって、特に低倍レンズで顕著。高倍レンズだとノイズはましだけど、どうもバックグラウンドが高くなってしまう。そんな感じで全く満足のいくものが撮れず、これはアカンかもしれんなとほぼあきらめた。
で、次の日はとりあえずラボにあるNikon Ni-Eで画像を撮っていたのだけど、はっきり言って20倍のレンズだとSP5より良い画像が撮れる。しかし、やはりそれ以上のレンズで組織内部のシグナルを撮ろうとするとなかなか難しい。まぁ当たり前。共通機器のコンフォカが使えないというのは想定外だったので、ちょっと焦ってまた色々と代替案についてチャッピーと相談していた。例えば、今あるNi-Eにシリコン浸のx60レンズと最新のデコンボリューションを導入するとか、Keyenceの最新モデルをもう一度検討するとか。まぁでも、SP5にお世話になったという人も多いので、諦めずにもうちょっとやってやろうと思って、今日もう一度試してみた。もしかしてレーザーが弱っているのであれば、レーザーパワーをガツンと上げたらなんとかなるかもと思って、ブリーチ覚悟でやってみたら、だいぶましなシグナルが得られ始めた。これはなんとかなるかも、という希望が見えてきたので、今週さらに最適な設定を探ってみる。

2026年1月31日土曜日

HST 3

今週の授業は、火曜日に第2週目のトピック「Epithelial architecture and polarity」の論文プレゼン&ディスカッションをして、木曜日に第3週目の講義。今週のトピックは「Cell density, packing, and mechanical constraints」ということで、How cells dissipate mechanical stress within tissuesという話をした。自分も学生達もだいぶ慣れてきた感じがある。今学期は19人の学生が履修していて、前の秋学期の授業にいた学生が2人いる以外は皆初めて会う学生。ということで、これまた名前を覚えるのが大変やなと思っていたけど、意外ともうほぼ全員の顔と名前が一致するようになったかも。
火曜日の論文プレゼン&ディスカッションの課題に出したのは、YN博士の以下の論文。実験のメソッドとか細かい部分はちゃんと理解できていないかも知れないけど、発表はみんなそれなりによく出来ていた。こうして少しずつDrosophila modelに慣れさせていく。

Epithelial junctions maintain tissue architecture by directing planar spindle orientation.

2026年1月25日日曜日

二連覇

今日は朝から千秋楽をじっくり楽しんだ。安青錦の二連覇。来場所は早くも綱取り挑戦か。ちなみに熱海富士は三島にいたことがあるそうで、親近感があるのだけど、惜しかったねぇ。そういや日本にいた頃は、フライルームにテレビがあってよく大相撲を流していたのだけど、全ての取組みを観ていたわけではなかった。でも今は、前日の幕内取組み動画を一通り全て観ているので、実は日本にいた時よりも観ていることになる。まぁ、相撲は取組み前のあのまったりとした時間が好きだったりもするんだけど。今年は夏に一時帰国できたら、その時に一度観に行こうかなぁと企み始めた。
さて、こちらは今晩からやばい寒波が来るらしく、だいぶ気温が下がってきた。そう言えば去年もこちらに来てすぐの頃に、何十年ぶりとかいう大雪が降って数日間家に篭ったんだった。とりあえず明日、大学はリモートになるらしい。

1.24.26

ミネアポリスで大変なことが起こっている。事件現場はいろんな角度から動画が撮影されていて、昨日からずっとニュースでそれらの検証がなされているけど、これは誰がどう見ても理不尽な殺人だと思うだろう。今月の初めに女性が射殺されてからすでに大規模なデモが起こって不穏な空気が流れていたが、これは本当に大きな問題になっていくんじゃないだろうか。年明けからベネズエラ、イラン、グリーンランドとかすごい勢いで問題を起こしている訳だが、このミネアポリスの事件は自分の周りでも起こりかねないものなので、状況を注視していきたい。

2026年1月20日火曜日

HST1B

今朝のHistologyは、一週目の論文プレゼン&ディスカッション。課題論文は、以下のDr. MBによるReview article。少し古いけど、このコースで追求していくコンセプトの基盤になりそうなレビューを選んでみた。mammary gland epitheliumのダイナミクスにフォーカスしながら、上皮組織の構造、その構造の維持と再構築のメカニズム、そして構造によって組織機能が制御されているという概念をうまく示している。今日が第一回目のグループプレゼンだった訳だけど、意外と皆さんテキパキと発表できていたし、ディスカッションタイムではこちらから促さなくても次々と手が上がって活発な議論が行われていた。秋セメのクラスよりも人数が多いからどうなることやらと案じていたけど、これはなかなかやりやすいかもしれない。

Tissue architecture: the ultimate regulator of epithelial function? 

2026年1月18日日曜日

8:00 AM

ちなみに今回のコースは、講義が火木の朝8時から。ということで、7時半ごろに出勤すると、オフィスの窓から朝焼けの空が見えた。8時開始はちょっと早いよねぇ。もうちょっとゆっくり始めたいんやけど、まぁ仕方ない。そして、木曜の午後は実習。

HST 1

春セメスターの第一週目。初回の授業で与える印象は大事だろうし、今回はどんな生徒達なんだろうかというのもあって、コースの初日は毎回ちょっと緊張する。そして生徒達にとっても、先生はどんな感じの人で、どういうスタイルで授業を進めるんだろうという不安があるんだろう、皆さんちょっと緊張している感じがある。そんなちょっとぎこちない雰囲気のなか、まずはコースの概要、授業の進め方、試験などについて説明してから、イントロダクション「What is dynamic histology?」の講義に入っていった。今回の生徒は18人。ほとんどがBiology majorのSeniorで、医学系を目指しているPre-medの学生が多いこともあり、みんな真面目に聞いてくれている印象を持った。これはまた来週からもしっかりと準備していかなあきませんなぁ。先生はこれまでに大学で組織学なんて一度も教えたことないんですけどねぇ、とかそんなことは言えない。

2026年1月12日月曜日

一周年

さぁ、いよいよ大相撲初場所が始まった。ということは、自分がこの町に来てから一年経ったということだ。ちょうど一年前の一月九日に到着して、何もない部屋に大家さんが貸してくれたアウトドア用の簡易テーブルを置いて、毎朝初場所を観戦しながら朝ごはんを食べていた。生活のセットアップも大学の授業も全てが手探り状態で、毎日がサバイバルだったあの一年前を懐かしく思い返すことができるくらいには生活も落ち着いたもんだ。とはいえ、一年前と同じように今週の木曜日から春セメの新しい授業が始まるので、これまた期待と不安で頭の中はそれほど落ち着いていなかったりもする。
まぁでもとりあえず一周年記念ということで、こないだヒューストンで手に入れてきたお酒を一杯。久しぶりの生原酒。上等なメロンのようにフルーティで且つすっきりしている。やっぱり美味いねぇ。

龍神 隠し吟醸 生詰原酒

2026年1月10日土曜日

コースデザイン

冬休みの間にあんまりできなかったHistologyのコースデザインについて、今週は毎日少しずつ進めて、ようやく15週間全体の構想が出来てきた。今回も毎週の講義のトピックに合わせた論文を課題に出して、翌週学生達がその内容をグループプレゼンしてみんなでディスカスするというスタイルなので、毎週の課題論文も選定しておく必要があり、これが結構難航したのだけど一通り揃えることができた。午後の実習も一緒になっているコースなので、毎週のトピックと実習の内容が有機的につながっているようにデザインするのもなかなか難しいポイントだった。まぁとりあえず、シラバスを完成させよう。

"By integrating classical histology with modern concepts from cell biology, developmental biology, and pathology, this course aims to provide students with a conceptual framework for understanding tissues not as static images, but as dynamic, functional systems."

2026年1月2日金曜日

謹賀新年 2026

新年あけましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いします。
先週から一時帰国していた家族が元旦の朝にヒューストンに到着するということで、大晦日は娘と二人で車に乗ってヒューストンへ行き、日本のスーパーで買い物した後、夜はホテルの窓からたくさんの花火を見ながら新年を迎えた。久しぶりにアメリカで過ごすお正月。いつも思うけど、やっぱり年越しは除夜の鐘が聞こえるあの独特の雰囲気の中で、初詣に行ったりしてゆっくり過ごしたいと思うね。まぁでもここはアメリカ、しゃあないよね。とまぁそんな感じで、今日がバーコレ&ヒートショック初め。
さて、今年はどうなりますかね。自分に関していうと、とりあえずは春セメスターのこれまた新しいコース「Histology」をなんとかして乗り切る。この間にシカゴでのFly Meetingがあって、大学院生のJMとJMPの二人がポスターを持っていく予定なので、まずはそれが序盤のハイライトになりそう。そしてFly Meetingへ行く前に、長らく懸案のIHS論文をなんとしてもサブミットしたい。夏には一度、休暇も兼ねて日本に出張しようと思う。後半はまだまだ未定だけど、もしかしたらまた新しい大学院生がラボに入ってくるかな。ということで、とりあえずは春セメの授業計画。これが終わればその後は、これまでに担当した3つのコースをローテーションでやれることになり、授業の準備がだいぶ楽になるはず。
そんな感じで今年も大変だけど、楽しみながらやりたいと思う。