2011年4月28日木曜日

ジャッキーの休暇

ジャッキーが帰省のために今日から三週間ラボにいない。ジャッキーはうちのラボマネジャーであり、試薬の注文やCO2タンクの交換からハエのストックの維持やラボの整理整頓までいろんなところでうちのラボを支えてくれている。そんな彼が三週間もラボを離れるのはこの四年間ほどで初めてのことだ。実は彼自身も自分がいない間のラボのことを心配しているようで、ラボの一人一人がこの三週間のうちにやるべき雑用のリストをきちんと作って置いていってくれた。素晴らしいラボマネジャーですな。しかし、自分が任されたのはラボストックのハエ達の管理(1000系統以上)。。。今大量に実験を組みまくっているのでこれはちょっとキツイかも。。。早く帰ってきてくれ。

2011年4月27日水曜日

抜けるCyo

昨日、ジョンピーからのメールに気になることが書いてあった。ジョンピーがうちのラボを出て行く時に、hsFLP; Sp/Cyo; Dr/TM6bという便利なダブルバランサーの系統を持っていったのだが、ジョンピーがこの二年ほどの間にこのハエを使ってバランスさせた系統から時々Cyoが抜けてしまっていたことがあるんだとか。しかも抜ける時は結構短い世代のうちに消え失せていたらしい。TM6bからTbが抜けるというのは聞いたことがあるけど、そんなCyoが抜けてしまうなんて聞いたことないし、ソレってラインを作る時にミスっただけなんとちゃうのんと、そこまで考えてハッと気付いた。確かに自分もこの何年かの間にこのダブルバランサーを使ってバランスした系統のハエからCyoが抜けていたことがある。しかもセカンドにSp/Cyoを入れたはずなのにSpCyoも両方消え失せていたことがある。これは18℃に置いていたからCurlyのフェノタイプが出ていないとかいう訳ではなくて、25℃に戻してもやっぱり翅はまっすぐなままなのだ。Spのフェノタイプは時々微妙な感じなので、そういうのを発見するたびに自分がラインを確立する際にミスったんだと思っていたけど、もしかしたらやっぱりアレもCyoが抜けたからだったのか。とは言っても、大概のヤツはちゃんと維持されているように思うし、このhsFLP; Sp/Cyo; Dr/TM6b自体も非常に安定していてこのラインからCyoが抜けているのは見たことがない。ちなみにこのダブルバランサーは以前に自分が作ったものなんだが、このCyoをどこから取ってきたのか全く覚えていない。うーむ、コレってどういうことなんだろうか。ちょっと説明がつかないんだけども、このダブルバランサーは日常的に使っているラインなので怖くなってきた。とりあえず他のCyoSM6と交換せにゃいかんけど、こんな風に何らかの状況によって抜けてしまうCyoなんてあるんだろうか?

Ashburnerの「Drosophila」には「Cy」について以下のようにある。
The expression of Cy is temperature-sensitive; Cy/+ flies overlap wild type if they are grown at 20℃ or less.  .....The expressivity of the Cy mutation is also reduced if flies are reared in culture rooms illuminated by fluorescent lights.  The second problem with Cy is that on some balancers or on some genetic backgrounds, its expressivity can be weak even at 25℃.  .....Another feature of Cy which can be important is that it is quite readily reverted to wild type by mutation, after either ethylmethane sulfonate (EMS) mutagenesis or irradiation. 

CyのexpressivityではSpも消えてしまったことが説明できない。しかもCyoには左右のCyを結ぶthird inversionが入っている訳だし、ストック中にそんな頻繁にmutationが起こるとも考えられんしなぁ。。。
どなたかfly pusherの方、何か知りませんか?

2011年4月24日日曜日

イースター2011

今年のイースターは明日、4月24日なんだそうだ。ということで、今日土曜日の朝は毎年恒例になってきたYancey Streetのエッグハント大会。ジュリアの家→ウォルターの家→オリビアの家→ロウチビの家→ワイアットの家→アニカの家、と南から北へと近所の6軒をはしごしながら子供達はエッグハント。そして最後のアニカの家でランチを兼ねたパーティーをした。


ヤンシー四人娘。
そして次の家へ。
うちの庭にもわらわらと。
卵の中にはチョコレートが入っていることを発見したソウシロ。
それにしても今日は暑かった。炎天下に置かれていたチョコレートはドロドロにとけていたほど。ほとんどの人が帰った後で、密かにデイビッドと二人でカンパイしたビールがうまかった。

2011年4月23日土曜日

もう夏休み

アンダーグラジュエイトの学生達は来週がファイナル(期末試験)で、その次の週からもう夏休みなんだと。で、アリスンも夏休みを取るので来週から8月末までラボには来ないんだと。4ヶ月って、ちょっと夏休み長いんとちゃうのん?まぁ、その間彼らが遊び呆けている訳ではないことは知っているけど、DISの学生は4ヶ月もラボを離れるべきではないと思うんやけどなぁ。でもレクシーはこの夏休みの間もラボに来るそうなので、来週からスクリーニングはレクシーにバトンタッチということになる。レクシーはまだimaginal discの解剖をちゃんと習得していないようなので来週からちょっと特訓せにゃいかんけど。
で、今日のラボミーティングはドンちゃんの研究発表。もう二年ほど前に自分がアンダーグラジュエイトのザビエル君を指導しながらやったちょっとオモシロイfollicle cellでのgenetic pathwayのお話をドンちゃんに教えてあげたら、それらのデータを土台にして最近色々と考えていらっしゃった様子。このザビエル君とやった仕事はもうお蔵入りかなと思っていただけに、ドンちゃんが興味を持ってくれてしかもなかなか面白くなっていきそうな感じがしたのでこれは結構うれしい。今後ちょっと色々とサポートしていきたいと思う。

2011年4月21日木曜日

Cytonemesってナニ?

最新号のScienceに、Dr. TKのラボからCyotonemesに関するアップデートとなる論文が登場。で、Cytonemesってナニ?ということである。

Specificity of Drosophila Cytonemes for Distinct Signaling Pathways
Cytonemes are types of filopodia in the Drosophila wing imaginal disc that are proposed to serve as conduits in which morphogen signaling proteins move between producing and target cells.  We investigated the specificity of cytonemes that are made by target cells.  Cells in wing discs made cytonemes that responded specifically to Decapentaplegic (Dpp) and cells in eye discs made cytonemes that responded specifically to Spitz (the Drosophila epidermal growth factor protein).  Tracheal cells had at least two types: one made in response to Branchless (a Drosophila fibroblast growth factor protein, Bnl), to which they segregate the Bnl receptor, and another to which they segregate the Dpp receptor.  We conclude that cells can make several types of cytonemes, each of which responds specifically to a signaling pathway by means of the selective presence of a particular signaling protein receptor that has been localized to that cytoneme.

いや、cytonemesというものがどういうものかは大体知っていたつもりだけども、今回の論文でさらに示唆されているcytonemesの機能はこれまた非常に奇妙ではあるが重要な発見であることは間違いない。今回の報告によれば、組織によって特定のシグナルに対するcytonemesの反応性(伸長の程度や方向)が異なる、そしてシグナルを受容する細胞達はいくつかの異なるsignaling pathwayに対する特異的なタイプのcytonemesを作り出すことが出来る、つまりその各々のタイプのcytonemesはある特定のsignaling pathwayのインプットを得るために特定のレセプタータンパクのみを別々のcytonemesに局在させてシグナルを発信している細胞に向けて伸長するという、ちょっとにわかには信じられないようなことが示されている。このcytonemesを介したシグナル伝達という概念はcell-cell communicationにおける非常に重要なものの一つであるはずなのだが、普段cell-cell communicationのことを考えている時にこのcytonemesなるものがあんまり考慮に入っていない気がする(自分だけだろうか?)。
それにしても、1999年(Cell)、2005年(Nature)、そして今回2011年(Science)と6年おきにcytonemesに関する重要な論文がこのラボから発表されてきた訳で、次は2017年まで待たないといかんのかな。しかしCell→Nature→Scienceってスゴイな。。。

2011年4月19日火曜日

St. George Sound

昨日日曜日は朝からマイクと今シーズン初の海釣りに行ってきた。金曜日の夜に雨が降ったのでいつものSt. Marksは川からの水で淀んでいるだろうということで、今回はもう少し西まで走ってDog Islandの対岸辺りからSt. George Soundへカヌーを漕ぎだした。昼前頃からキャスティングを始めて、何回か強烈な当たりがあったけど残念ながらどれも大きなナマズだったのでリリース。でもいつもながら力が強い大ナマズとの格闘は楽しい。その後少しの間当たりがなかったので波がほとんどない静かな海の上で二人でゆっくりとビールを飲みながらキャスティングを続けていたら、どこからかプシューという音が近づいてきた。いつの間にかイルカの群れが周りに現れていたのだった。たくさんのイルカがカヌーのすぐ近くまで来てゆっくりと泳いでいく。どうやら彼らも昼御飯の魚を探しに来ているようだった。イルカの群れが去っていった頃から、二人ともどんどんシートラウトが当たり始めた。結局その辺りで漂流しながら4時頃まで釣っていただろうか。結局キープしたのはシートラウト6匹。タラハシーに戻ってから早速マイクにさばいてもらって晩御飯のおかずに。やっぱり新鮮な魚は旨い。

2011年4月15日金曜日

Exciting AI

今シーズンのAmerican Idolはなんだかスゴイ。先週、今週と、(自分にとってはだけど)意外な人が落ちた。まぁ今日のボトムスリーは予想通りだったけど、ポールが落ちるとは思っていなかった。たぶん、アメリカ国民も皆この結果には驚いているんじゃなかろうか。というか、自分もそうだが、みんな誰に投票したらいいのかよく分からないんじゃないのかね?そう思うくらい今週の8人はほとんどみんな素晴らしいパフォーマンスだったし、一人一人本当にシンガーとしての個性がある。サイモンがいてたらどんなコメントしてたんだろう。でもサイモンの代わりにスティーブンが入ったからこそ、なんやらコンペティション自体の雰囲気がいつになくハッピーな感じなのかもしれんな。三週くらい前だったか、意外にもケイシーが最下位になってレスキューされるということもあったし、今回は本当に誰が落ちていくのかよく分からない。逆に言えば誰が今年のAmerican Idolになるのか全く想像がつかない訳で、なんともエキサイティング。いやーそれにしても昨日のラスト、ジェイムズのステージにザックワイルドが出てきたのにはビックリした。やっぱしザックは超カッコイー。でもあそこでザックを使うのは反則なんじゃないんですか?まぁ、自分は久しぶりにザックのプレイが見られて楽しかったけど。

2011年4月13日水曜日

IKNM in D.m. and N.v.

先号のCurrent BiologyにStowersのDr. MGラボから楽しい論文が出てきた。

Interkinetic Nuclear Migration Is a Broadly Conserved Feature of Cell Division in Pseudostratified Epithelia
Animal development requires tight integration between the processes of proliferative growth and epithelial morphogenesis, both of which play out at the level of individual cells.  In this respect, not only must polarized epithelial cells assume complex morphologies, these distinct forms must be radically and repeatedly transformed to permit mitosis.  A dramatic illustration of this integration between epithelial morphogenesis and cell proliferation is interkinetic nuclear migration (IKNM), wherein the nuclei of pseudostratified epithelial cells translocate to the apical epithelial surface to execute cell division.  IKNM is widely considered a hallmark of pseudostratified vertebrate neuroepithelia, and prior investigations have proposed both actomyosin- and microtubule-dependent mechanisms for apical localization of the mitotic nucleus.  Here, using comparative functional analysis in arthropod and cnidarian systems (Drosophila melanogaster and Nematostella vectensis), we show that actomyosin-dependent IKNM is likely to be a general feature of mitosis in pseudostratified epithelia throughout Eumetazoa.  Furthermore, our studies suggest a mechanistic link between IKNM and the fundamental process of mitotic cell rounding.

Interkinetic Nuclear Migration(IKNM)というのは非常にオモシロイけったいな現象だと思う、ということは以前にも書いたことがある。脊椎動物のneuroepitheliumで主に研究されてきた現象だが、同じpseudostratified epitheliumであるDrosophilaのimaginal discにおいては誰もコレを研究していないようだったので、自分がなんかやったろうかいな、とか思っていたところ、去年のFly MeetingでDr. MGがwing discにおけるIKNMについて発表していて驚いたのだった。あのときDr. MGは、「まだ“descriptive”な研究なんだけどね、へへ」とか謙遜していたけど、やっぱりオモシロイですな。
ところでこの論文において、IKNMはBilateriaだけでなくEumetazoaのpseudostratified epitheliaにおいて一般に見られる現象である、ということを言うためにNematostellaを使っているところが自分にとってはなんというかウレシイ驚きだった。というのも、このNematostella vectensisという生き物(イソギンチャクの仲間)が自分にとってはちょっとなじみのあるヤツで、PhDを取ってポスドク先を探していたとき、mesodermやgastrulationの進化を研究したいがためにNematostellaを使っているドイツのラボにわざわざ面接しに行ったことがあるのでした。
で、メカニズムの話はおいといて、やっぱりこの現象の生物学的意味というものに興味がわく訳ですが、

The deep evolutionary conservation of IKNM-like mitotic behavior throughout Eumetazoa suggests the existence of strong constraints on the mechanism of cell division in pseudostratified epithelia.  We favor a model wherein IKNM is required to restrict cell divisions to the plane of the apical junctions, thereby ensuring continuous monolayer integrity of proliferating epithelial sheets.

と、締めくくられているように、わざわざ核をapical側表面に持ってきて分裂するというこの一見面倒くさそうなシステムがこれだけ進化的に保存されているということはそれだけ重要な意味がある訳で、それはつまり細胞分裂時においても体内と体外を隔てる上皮細胞層の緊密性を維持するためなんだろうということ。でも、それなら別にapical側でなくてもエエんとちゃうのん?とも思ってしまうけどなぁ。

2011年4月12日火曜日

ニッキー

先週の金曜日にニッキーのhonors thesisのdefense(卒論発表会)があった。二年ほどもラボにいたのにほとんどデータを持っていないので、コレどうすんねん、と思っていたのだが、とりあえず自分があげた予備実験のデータにこの三週間でやったいくつかの実験結果を足して発表はなんとかかんとか形になったという感じ。一応defenseもパスできたらしい。といってもまぁ、アンダーグラジュエイトのdefenseなんて普通はやればパスできるようなもんなんだそうで、ダメだった例なんてないんだとか。まぁこれで彼はhonor studentとして卒業できるし、こちらもこれ以上彼のことで頭を悩ませる必要はないからイイのだけど、実は発表会の前日の晩に彼が作った発表スライドを見てあげた時、彼が尋ねてきた色々な質問に大きなショックを受けてしまったのだった。というのも質問のほとんどがコンセプチュアルなものではなくて、実験テクニックに対する基本的な質問だったから。「FRT40Aの40Aってなんなの?」って聞かれた時には笑ってしまった。抗体染色のことも良く理解していない様子だったし、enhancer trap lineとかFlip-out Gal4なんて何も分かっていない感じだった。結局彼はfly geneticsにおける実験の基礎的なことをなーんにも理解していなかったのだ。なるほど、だから実験をさせても毎回失敗していた訳だ、と納得した。とは言っても、当然こういった基礎的なことは今までに何回も教えたはずだし、たいがいの学生達はラボに来て始めの一ヶ月くらいでこういったことは大体学ぶし、もし理解できなくてもちゃんと質問しているように思う。彼は研究に対しての興味は結構持っていたと思うんやけどなぁ。まぁ、やっぱりいろんなタイプの学生がいるんやなぁ、とこちらも勉強になりましたわ。

さて、そして今朝はボスと毎週恒例のミーティング。論文に必要な実験の話をしているうちにだんだんとディープなデスカッションになってきて、結局一時間半も話していた。その中でボスがふと思いついた新しいアイデアはなかなか鋭いもので、二人でエライ盛り上がってしまった。このアイデアは今までに使っているテクニックで案外簡単に確かめることが出来るかも。しかももし当たっていれば、これはブレイクスルーになり得る。今後三ヶ月間ほどは三本の論文を仕上げるために全力を注ぐつもりだけども、このアイデアは片手間に試す価値はあるな。ということで、早速それ用のハエを作ろうっと。

2011年4月8日金曜日

ビッグウェーブ

学会から帰ってきてからボスと今後の方向性について話したのだが、やはり学会で発表したfollicle cellのデータはなるべく早いうちに論文にしてしまおうということになった。そしてもちろん、少し前に話していたSSTの論文第一弾も早めに出してしまいたいことに変わりはない。それらに加えてもう一つ、レビュー論文も書くことになったのだが、このレビューの締め切りは7月末頃。で、一応今のところ7月末頃までにこれら3本の論文を全てサブミットすることを目標にしようという話になった。4ヶ月ほどで3本はかなりキツイのは間違いない。。。さぁこのビッグウェーブを乗り切ることができるんだろうか。。。

Patrol

二人で近所をパトロール。

2011年4月6日水曜日

Old Town

学会期間中、ドンちゃんがどうしても観光に行きたいと駄々をこねるので、土曜日の夕方に二人でOld Townを見物しに行ってきた。異国情緒漂う通りに立ち並ぶメキシカンレストランをスルーして、ふと見つけた良さげなイタリアンレストランに入って本日のスペシャルシーフードパスタを注文したら、これが絶品だった。このパスタのためだけにでも行った甲斐があったと思ったくらい。

2011年4月5日火曜日

学会終了

昨日の夜サンディエゴから帰ってきたのだが、今回はなんやらえらい疲れた。。。ブログを書こうとも思っていたのだが、なんやかんやでほぼ毎晩12時頃まで活動していたので毎晩部屋に帰ってきたらもう疲れ果てていて書く気になれなかった。まぁでもそれだけオモシロイものをたくさん見て、友達をたくさん作ることが出来たということでもあり、自分にとっては非常に実りのある学会となったことは確か。ポスターセッションでも毎日結構な数の人達が聞きに来てくれて、皆口々にfollicle cellのデータをオモシロイと言ってくれた。誰もが興味を持ってくれた部分はまだプレマチュアな結果なので今後さらに慎重に見ていかなければならないのだが、このみんなの反応は実は自分が想像していたものよりも随分と大きかったので結構勇気づけられた感じはあるかな。
さて、そして今回のメインイベントはなんといっても三日目の午後にあったcell competitionのワークショップだった。これがいろんな意味でドエライエキサイティングなワークショップになった。実は前日のランチタイムでもDr. EMとTI博士の激論に同席していたので、当日どういうことが起こるのかはある程度予想していたのだが、やはり本番での面白さは予想以上だった。前日に急遽発表することになったグラスゴーのDr. MVも含めてスピーカー7人の発表内容がどれも面白かったのは言うに及ばず、皆それぞれがcell competitionのメカニズムに対する独自の仮説とそれを裏付ける実験結果を持っている訳で、臆することなく他の人の仮説に相反するデータをも出してくる。中でも今後論争の的となりそうなのは、competitionにおいてloser cellはwinner cellによるengulfmentによって殺されているのか?そして本当にそれがloser cellを排除するためのメインのシステムなんだろうか?というところだろう。もちろん他の点に関しても、異なるmutantや異なるtissueであれば違うメカニズムがあるのか?もしくは共通のメカニズムは何なのか?というようなことは今後どんどん議論が盛り上がっていくことだろう。ワークショップはこうあるべきだと思うし、こうして議論が活性化されることはこの分野にとって非常に良いことだと思うのだが、自分がオーガナイザーを務めるワークショップで招待した他のスピーカーの論文を公然と攻撃したDr. EMのやり方は少々問題があったようにも思う。
cell competitionをメインで研究しているラボはまだそれほど多くはない訳だが、それでもそれぞれが皆これだけ真剣に自分たちのオリジナルな仮説を追求し、お互い熱く議論する場に居合わせたことで、このフィールドが今まさに成長し始めているのを肌で感じることが出来た。来年からもこのワークショップを続けることが出来ればと思う。きっとここから何か新しいコンセプトが生まれてくるのだろう。
そんなことで学会は終了。今この昂った気持ちのままで次の実験を考えていかなければ。