2009年8月20日木曜日

Left-Right Asymmetry

昨日の午後はBiology DepartmentとCollege of Medicineのいくつかのラボが一緒に集まるDev Bio/Cell Cycle meetingで、YK博士の研究発表だった。この春までYK博士のラボで二年間ポスドクをしていたDS博士の仕事内容で、Notchとinteractionを示すあるタンパクがどのようにしてleft-right asymmetry(体の左右非対称性の決定)に関与しているか、というゼノピー(アフリカツメガエル)でのお話。緻密なデータとたくさんの綺麗なin situの写真がDS博士の2年間のハードワークを如実に物語っていて、ゼノピーの卵にインジェクションしまくるDS博士の姿が目に浮かぶようでした。それにしてもやっぱりleft-right asymmetryの話はオモシロイ。実は博士課程の時に一時、脊椎動物のleft-right asymmetryの進化に興味を持って論文を読み漁ったことがある。mouseのembryoを右向きの水流の中に置くと内蔵の左右逆位が起こることから、nodal flowという概念を物理的に証明した論文(Nonaka et al. 2002. Nature 418, 96-99)を読んだ時に衝撃を受けて以来、left-right asymmetryに興味を持ったんだったと思う。その後学会で、実際にmouse胚のnodeに生えている全ての繊毛が同じ向きにクルクル回って左向きの水流を起こしているビデオ映像を見たときにはさらに大きな衝撃を受けたのを覚えている。ゼノピーでは、初期胚においてV-ATPase(プロトンポンプ)によって作り出される割球間の膜電位の差がleft-right asymmetryのトリガーになっている、ということを示したDr. MLのラボから報告された論文(Adams et al. 2006. Development 133, 1657-1671)もビックリだった。この論文では、この卵割期における膜電位の差がserotonin signalingやchickでのShhNodalの発現パターン、さらにはzebrafishにおけるKupffer's vesicleの繊毛形成にも上流の現象として関与していることを示している。そういや、DartmouthからFSUへ移ってくる前、ポスドク先を探していたときにボストンのDr. MLにleft-right asymmetryの研究をさせてもらえないだろうか、というメールを出したんだったな。ダメだったけど。またちょっと最近のleft-right asymmetryの論文を読みたくなってきました。

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