最近、ハエでのintestinal stem cellにおけるgenetic pathwayのお話は結構よく見るのだけど、Dr. NPラボから一つオモシロイ論文が出てきた。
The circadian clock gates the intestinal stem cell regenerative state. (2013) Cell Reports 3: 996-1004.
腸上皮の再生において、intestinal stem cellsで必要なtranscription factorをUAS-RNAi lineでスクリーニングした結果、circadian clock componentであるperiod(per)がかかってきました、というところからこのオモシロイお話は始まる。circadian pathwayがISCのregenerative proliferationを制御しているということ自体驚きなんだけども、Microarrayの結果からは、このintestinal regenerationにおいてその他にもstress responseに関わるものを含めかなりいろんな遺伝子が制御下にありそうなことが示唆されていてこれまたオモシロイ。ちなみにBazookaもcircadian clockにコントロールされていることがさらっと触れられているけど、ホンマかいな。メカニズムに関しては、「CYC is important for the transition through G1, and the clock also initiates systemic signals and local niche signals originating from ECs. Together, these signals activate ISC divisions, most likely through nonautonomous mechanisms.」ということで、隣接のenterocytesにおけるcircadian clock制御下にあるlocal signalがnon-autonomousにISCでのrhythmic proliferationをコントロールしているというあたりは想定の範囲内ということになるんだろうけども、実際のsignalingはよく分かっていない。ちなみにcircadian behavior自体はこれに関与していないようだ。
せやけどこういうことになってくると、普段やっぱりちゃんと明暗期コントロールしたほうがエエんかなと思うね。
これは、なかなかオモシロイお話ですね。ゼブラの心臓やヒレで、再生と体内時計の関係を調べた人を知っているのですが、結局、1年くらいかけて、関連性はなさそうだ、っていう結論になっていました。これを読んで思ったのは、ウジ虫君たちにも、リズムがあるんかな、ってことですね。彼らは、"eating machine"っぽいから、寝そうにない印象があるけれど。もし、ウジ虫君たちにもこういうリズムがあるなら、イマジナルディスクの解剖タイミングとかを気にしないといけないんかな、とか気もかすかにしてきます。
返信削除全然関係ないですが、この論文、コントロールなどのデータがかなり複数のフィギャーで使い回されていて、結構ギリギリのラインのデータの使い方だと思いました。全然アウトじゃないけれど、全くセーフでもない、といった感じです。
私もウジ虫君達のことを想いました。彼らはいつみてもモグモグモグモグしてるけど、もしかしたらちゃんとした明暗期をつけてあげればビヘイビヤーに光周期がでてきたりして。一応このPeriodとかはlarval brainでも発現しているようです。
返信削除でも確かに、こういう系の実験ってコントロールの条件設定大変そうですね。
とかそんな話をしていたら、今日付けのCellにもう一つ出てきましたよ。
↓
Homeostasis in Intestinal Epithelium Is Orchestrated by the Circadian Clock and Microbiota Cues Transduced by TLRs.
http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0092867413004625
直接関係あるかは分からないですが、鱗翅目昆虫の幼虫の場合は、明確に食う、寝る、食うのリズムがあることが知られています。生理活性を持つペプチドも見つかっています。ご参考まで。
返信削除(1) Effects of diet-deprivation and physical stimulation on the feeding behaviour of the larvae of the silkworm, Bombyx mori.
Nagata S, Nagasawa H.
J Insect Physiol. 2006 Aug;52(8):807-15. Epub 2006 May 13.
(2) Identification of a novel hemolymph peptide that modulates silkworm feeding motivation.
Nagata S, Morooka N, Asaoka K, Nagasawa H.
J Biol Chem. 2011 Mar 4;286(9):7161-70. doi: 10.1074/jbc.M110.176016. Epub 2010 Dec 22.
(3) Effects of neuropeptides on feeding initiation in larvae of the silkworm, Bombyx mori.
Nagata S, Morooka N, Matsumoto S, Kawai T, Nagasawa H.
Gen Comp Endocrinol. 2011 May 15;172(1):90-5. doi: 10.1016/j.ygcen.2011.03.004. Epub 2011 Mar 21.
(4) A hemolymph major anionic peptide, HemaP, motivates feeding behavior in the sweetpotato hornworm, Agrius convolvuli.
Morooka N, Nagata S, Shirai K, Kiguchi K, Nagasawa H.
FEBS J. 2012 Jan;279(1):168-79. doi: 10.1111/j.1742-4658.2011.08408.x. Epub 2011 Nov 23.
おぉ、なんかすごい。ありがとうございます!ボンビックスモーリすごいですねぇ。sweetpotato hornwormって知らなかったんですけど、これもカイコの一種ですか?
返信削除ところで、普段ボンビックスの飼育はちゃんと明暗期コントロールしているものなんでしょうか?
いや、hornwormはカイコではないですね。鱗翅目ですけど。僕が飼育していたときは基本、12L:12Dでした。これを短日だったか長日条件にすると、休眠するかどうかのdecisionに影響がでます。長日だったかな。。。母世代が卵のときに長日(秋っぽい)と、次世代の卵が休眠するんだったと思います。なので、年を越させたいときは長日で飼います(たぶん長日であってる)。ちなみに、産卵後一定期間以内に卵をある濃度の塩酸につけると、休眠を打破できるという意味不明な現象が知られています。
返信削除セルの論文やマニアックなムシ論文の紹介、サンクスです!僕らのハエ部屋は(ウジ虫も成虫も含めて)、12時間周期で自動的にライトがコントロールされています。まぁ、解剖時間はさすがにランダムだけれど。
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