Drosophilaのウジ虫達は卵からかえると4〜5日くらいでサナギになって変態する。まぁこれは温度や栄養条件によって少し前後するけど。つまり、ウジ虫のimaginal discの細胞達を実験材料に使う場合、基本的に実験は1st instarから3rd instarまでの5日間くらいに限られるということになる。いやまぁもちろん変態期に入っても観察は続けられるし成体でのphenotypeも確認できるんやけども、でももうちょっと長く時間を追っていわゆるディスクとしての上皮組織中でフェノタイプを見ていたいんですけどって思ったことのある人は多いんじゃなかろうか。自分も以前にlarval stageをprolongさせたいなと思って、
ecdysonelessのtemperature sensitive allele,
ecd[1]を使ってみたことがある。この
ecd[1]のhomozygoteは3rd instarの途中で29℃に移してやると蛹化できなくなるので、実験系のバックグラウンドにこれをhomozygousで入れておくと通常よりもだいぶ長い間(プラス二週間ぐらい?)“imaginal disc”での細胞達の挙動を追うことが出来る。しかしながら、当然実験系のバックグラウンドにmutant alleleをホモで入れるのは結構大変な場合も多い(ちなみに
ecdは3L)。そういう意味では
mldの
DTS3-1なんかはdominantなので、ヘテロで同様な効果が得られるからイイのかも知れない。そういや
mahjongもhomozygoteはサナギになるまでえらい時間がかかるけど、これは蛹化が抑制される訳ではなくて発生速度が遅くなるmutantだから意味合いは随分違ってくる。ちなみに
Minute heterozygousは2〜3日しか遅れんよね。最近報告されたDILP8を強制発現させたりしても蛹化は少し遅れるんだろうけど、これまたGal4-UASをここに使ってしまいたくないとか。要するになんらかのgenetic manipulationでlarval stageをprolongさせることは可能だけども、そうするとそれだけ本来の実験が制限されてくるし、こういったgenetic backgroundの変化が本来の実験へ与える影響も色々考えないといけないということにもなる。
で、最近知ったのだけど、sterolを作ることができないイーストの変異株があるんだそうな。つまり、いつも使っているイーストの代わりにこのmutant yeastをエサに使えば、ウジ虫君達はエクジステロイドを合成できなくてサナギになれなくなるというオモシロアイデア。詳細は以下の論文に。
イーストの準備がちょっとメンドクサイだろうけどね。。。
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