グラネットは、誰もいなくなった真っ暗な家の前で佇んでいた。そして自分が車から降りるとすぐにのどを鳴らしながらすり寄ってきた。待っていてくれてるんだなぁと思うとかなり心が揺らいだ。というのも、グラネットはこのストリートの野良猫だから、少しは迷ったけど新居に一緒に連れて行くということはあんまり考えなかった。もちろん連れて行ければいいけど、たぶんグラネットは生まれ育ったこのストリートで自由気ままに暮らしていくほうが幸せだと思うから。近所のジェネイが今後も面倒をみてくれるだろうし。
そういえば、ちょうど六年前にこの家に引っ越してきた日の夜のことを思い出した。あの時もグラネットはこの家の前にいて、初めて会った自分にのどを鳴らしながらすり寄ってきたのだった。あれから六年。また何もなくなった家に、グラネットと二人で入って少し話をした。
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