2021年10月7日木曜日

遺伝子命名物語

名前に秘められた生物学のドラマ
坪子理美/石井健一 著

ちょうど3年ほど前になるのか、まだ札幌にいたときにこの本の著者の御夫婦から急に連絡をもらってスカイプでインタビューを受けた。遺伝子の命名をテーマとした新書を執筆中とのことで、自分が2010年の論文で名前をつけたMahjongの命名の経緯や当時の研究の様子について聞きたいということだった。当時サンディエゴに住まわれていたご夫婦とかなり長い時間スカイプをして、自分がアメリカで研究していた頃のエピソードを色々と話したことを覚えている。その後、その時話した内容をもとに書かれた原稿は何度か校正のために読ませてもらっていたのだけど、ついにその本が10月8日に刊行されるということで、完成した本が送られてきた。本は全部で10の遺伝子に関する物語で構成されているのだが、なんと自分のMahjongの話は第一章で、しかもファーストポスドクの時の大波乱幕開けの場面から。まさか自分の研究のエピソードが本の一章になるとは、なんか変な感じだけど自慢したくもなる。どの章も単にユニークな遺伝子の名前が生まれたエピソードというだけでなく、各々の研究に関わった研究者達のドラマチックな実話が紹介されている。まだ全てを読んだ訳ではないけど、どの話もすごく面白いと感じたのは、自分が生物学の研究者だからというだけでなく、語り口が素晴らしいのだと思う。ほとんどの話がショウジョウバエの遺伝子にまつわる話だけど、これは生物学研究に興味を持つ全ての人にオススメしたい。

2 件のコメント:

  1. 遺伝子命名物語、面白そうですね。それにしても第一章で「マージャン」が取り上げられるとはすごい、おめでとうございます。ショウジョウバエの遺伝子が中心だとか、我々の世代だと「フシタラズ」が言いえて妙でしたね。

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    1. 先生、ありがとうございます。そうなんです、ユニークな遺伝子の名前は沢山あるので、なぜとりわけマージャンに興味を持っていただいたのかは謎ですが、光栄なことです。こうして改めて書いてもらうと、なかなかドラマチックな研究人生を送ってきているもんだなと思いました。ショウジョウバエは変異体の名にユニークな名前をつけるのがある種の文化なので、この本もショウジョウバエ研究の話が多いのですが、どの話もとても面白いので機会があれば是非読んでみて下さい!

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