2021年10月27日水曜日

500000

今日は、来週月曜日に迫って来たscRNA-seqの最後の予行演習の日。FACSソートした後の細胞の液量を減らして濃縮するプロセスで、細胞がチューブの壁面にくっついたりして収量が激減してしまうという問題を解決するために、うちの培養細胞チームから教えてもらった細胞回収用チューブのBSAコーティングを導入して回収率を検討した。その結果、100個のwing discから分離した細胞をFACSにかけてGFP陽性生細胞をソートしてくると、これまでに比べて大幅増量の、なんと50万個も回収することができた。つまり、今まで相当数の細胞がチューブの壁にひっついて回収できていなかったことが分かる。で、その後に遠心をかけて細胞を濃縮してからもう一度FACSにかけてみると、今度は生細胞の数がかなり減ってしまったのだが、この時点で解剖してから6時間くらい経つし、2回ソーティングした結果ダメージを受けてかなりの細胞が死んだのだと思われる。まぁでもこれでついにプロトコールは固まったので、あとは本番、5人でどれだけ手際良くやれるかにかかっている。

2021年10月25日月曜日

基礎配属研究発表

今日は、医学部の基礎配属実習でうちに来ていた T の研究発表。今朝もう一度一緒に発表スライドのチェックをしてから、午後の発表に挑んだ。T はこの二ヶ月間の実習だけでなく、本人の希望で夏前からうちのラボに出入りしていて、研究生の R が大学院入試の準備で休んでいた一ヶ月間は R の代わりに論文に追加する予定の実験をしていた。そのようなこともあって、今日の発表は結構なボリュームになった。今回の実習のために思い付いたHypoxiaのミニプロジェクトも、なんかこれから発展しそうな実験データがいくつかあってなかなか面白い。T は、来月ある医学部の大事な試験が終わったらまたラボに戻って来たいということなので、またこの続きをできるだろう。

2021年10月23日土曜日

Benjamina Barok

オフィスのQOL向上のために、自分のデスクの後ろに観葉植物を導入。出町柳の園芸店で見つけてきた。ベンジャミナ・バロックという名前。葉っぱがくるっと巻いていてかわいい。

2021年10月22日金曜日

夕方もmeeting

ということでミーティングの後、お昼はちょっとカモカフェでゆっくり。で、夕方にまたみんなでセミナールームに集まって、来週月曜日にある学部生 T の研究発表の練習。これまたなんやかんやと盛り上がって結構長くやっていた。

3 hours

今日は毎週金曜恒例、FridayのFlyday Meeting。フライルームで朝10時から3時間もディスカスしていた。チョークトークでの簡単なプログレスリポートなんだけど、学部生の T も含めると5人が発表するので結構長くなる。最近は、ラボメンバー全員が基本的に同じ現象を追っているので、それぞれの新しいデータに対する皆んなの議論が盛り上がって長引くという面もあるのかな。まぁ、もちろんこれは雰囲気として悪くない。どんどん面白くなってきている感触がある。

2021年10月21日木曜日

construct

なんか急に冬みたいになりましたなぁ。つい先週までまだ昼間は夏のような暑さだったのに。季節の変化が急すぎて体がついていっていない感じ。今週は、この夏からうちのラボに来始めている学部1年の学生にFly Geneticsのレクチャーをしたり、推薦書を書いたり、何やかんやとミーティングをしたりとかしているうちに時間が過ぎていってしまっている。のだが、今週からちょっと真剣に、新しいGenetic toolを作るためのDNAコンストラクトの設計に取り掛かる。

2021年10月15日金曜日

once more

そのようなことで、今日がscRNA-seq前の最後の予行演習かと思っていたのだが、細胞調整の最後のステップとしてFACSソートした後の細胞の液量を今の1/100くらいまで減らさなければいけないことに気が付いた。もちろん遠心して濃縮すれば良いのだが、以前の経験から、その過程で細胞がチューブの壁面にくっついてしまったりして収量がかなり落ちてしまうことが分かっている。なので、やはりチューブ類に細胞がくっつかないような何らかのコーティングをして、それを使って遠心濃縮した時にちゃんと細胞が残っているかを確認する必要が出てきた。ということで、来週か再来週にもう一度最終予行演習をすることになりそう。。。まぁ一発勝負なので、念には念を入れて準備するに越したことはない。

140000

今日は、11月1日に予定しているscRNA-seqサンプル調整の本番前最後のシミュレーション。メインの実験サンプルは、5人で150匹の幼虫を解剖して300個のmosaic wing discから細胞を取ってきた。FACSでソートして最終的に取ってくることが出来た目的のGFP陽性細胞は、全部で約14万細胞。ようやくここまで辿り着いたなぁという感じ。あと本番に向けてやることは、ヘルシーなバージンをたくさん集めて掛け合わせるだけか。

2021年10月12日火曜日

wing imaginal disc

wing imaginal disc。この一つ一つの細胞のトランスクリプトーム解析をするっていうんやから、すごいもんやよねぇ。

simulation

今年度が最後になる新学術領域の先進ゲノム支援でsingle-cell RNA-seqをやってもらえることになったので、この3ヶ月ほどの間、そのためのサンプル調整のシミュレーションを続けている。Drosophilaだとembryoとかbrainとかimaginal discとか、wild type tissueのsingle-cell transcriptomicsというのは増えてきたけど、mosaic mutant cloneに対するものはまだそれほど多くはない印象。まぁ、ショウジョウバエは組織自体がとても小さくて、その中のモザイククローンとなると細胞数がかなり少なくなってしまうから、必要な数の目的の生細胞を取ってくるのはなかなか難しいということになる。3rd instar larvaeのwing discの細胞数は約5万と言われている。前回は80匹の幼虫、つまり160個のwing discから細胞を分離して、FACSでGFP陽性細胞をソートしたところ、約4万個の細胞を収集することができた。この4万個がFACSにかけた細胞のうち約7%だった、ということは全部で約57万細胞があったということになる。計算上5万 x 160disc = 800万細胞あったはずだけど、組織から細胞を分離してくるプロセスでその9割以上をロスしてしまっているということか。ともあれ、ウチで見ているtumor cloneは、組織内の場所によってphenotypeに随分違いがあって、各々のphenotypeを示すクローン特異的に発現している遺伝子もいくつか同定しているので、scRNA-seqをした時にどのクラスターがどのphenotypeのクローンかということを同定できるだろうと見ている。
今日、東大のシーケンスチームと相談して、我々が準備する細胞をscRNA-seq用の処理をするために、わざわざ向こうから京都へ来てくれることになった。本番は11月1日の予定。

宮の雪 ひやおろし

宮崎本店 宮の雪 ひやおろし 特別純米酒
さて、いよいよひやおろしの季節。「ひやおろし」というのは、冬から春先にかけて搾った酒に一度火入れし、ひと夏の間蔵で熟成してから秋口に蔵出しされるお酒。秋の深まりとともに瓶の中で熟成が進み、次第に味わいも深まっていくのだとか。ということで、まずは三重県四日市にある古い酒造のひやおろし。宮とは伊勢神宮のことらしい。まろやか且つすっきりとした酸味で飲みやすい上品な味わい。

2021年10月7日木曜日

遺伝子命名物語

名前に秘められた生物学のドラマ
坪子理美/石井健一 著

ちょうど3年ほど前になるのか、まだ札幌にいたときにこの本の著者の御夫婦から急に連絡をもらってスカイプでインタビューを受けた。遺伝子の命名をテーマとした新書を執筆中とのことで、自分が2010年の論文で名前をつけたMahjongの命名の経緯や当時の研究の様子について聞きたいということだった。当時サンディエゴに住まわれていたご夫婦とかなり長い時間スカイプをして、自分がアメリカで研究していた頃のエピソードを色々と話したことを覚えている。その後、その時話した内容をもとに書かれた原稿は何度か校正のために読ませてもらっていたのだけど、ついにその本が10月8日に刊行されるということで、完成した本が送られてきた。本は全部で10の遺伝子に関する物語で構成されているのだが、なんと自分のMahjongの話は第一章で、しかもファーストポスドクの時の大波乱幕開けの場面から。まさか自分の研究のエピソードが本の一章になるとは、なんか変な感じだけど自慢したくもなる。どの章も単にユニークな遺伝子の名前が生まれたエピソードというだけでなく、各々の研究に関わった研究者達のドラマチックな実話が紹介されている。まだ全てを読んだ訳ではないけど、どの話もすごく面白いと感じたのは、自分が生物学の研究者だからというだけでなく、語り口が素晴らしいのだと思う。ほとんどの話がショウジョウバエの遺伝子にまつわる話だけど、これは生物学研究に興味を持つ全ての人にオススメしたい。

2021年10月6日水曜日

提出完了

科研費の申請書は今日の朝10時が締め切り。ということで、昨日の夜に最終的な校正を終えて無事提出完了した。これのおかげでこの一ヶ月ほどずーっと焦燥感があったというのもあるけど、今回自分でもかなり納得のいくものが書けたからか提出後の達成感が大きい。2本のうち1本はほぼ全編に渡って今回新しく書いたものなので結構大変だった。三週間前にあった学会のあとで、ME博士とディスカスしているうちに分担で入ってもらうというアイデアが出てきて、それから研究計画が全体的にうまくまとまる感覚を持った。この研究のフォーカスの一つになっている現象について、以前からME博士のグループでも似たような現象を違うシステムで見ているということで、前から時々この話はしていたのだけど、今回一つのプロジェクトとして自然に合体した感じ。計画を書いているだけでも結構エキサイティングだった。間違いなく重要な研究になるはずなので、何とか通って欲しいなぁ。

2021年10月3日日曜日

Saxophone

今日は、下の子が習っているサックスの発表会、ということで午後から市民文化会館へ。そういや以前に、発生生物学会の秋季シンポジウムをここでやったのを思い出した。なかなか良いホール。ステージ上で、ピアノの伴奏と一緒にサックスでスパイダーマンのテーマをクールに吹く息子はなかなかカッコ良かった。

2021年10月2日土曜日

玉川 中汲み

木下酒造 玉川 純米酒 無濾過生原酒 中汲み
少し前に京丹後の方へ行ったときに立ち寄った酒蔵で買ってきた酒。ここでしか買えない限定の中汲み。微発泡していて甘い香りにバランスの取れた深い旨み。素晴らしくフレッシュでフルーティで、、なぜ米からこのようなものができるのか、本当に不思議。美味しいとしか言いようがない。ちなみにここの酒造は、「カンパイ!世界が恋する日本酒」という日本酒のドキュメンタリー映画で紹介されていて、少し前にこの映画を見たときに、イギリス人の杜氏がこだわりの酒造りをしている様子に興味を持ったのだった。京丹後は結構遠いけど、機会があればまた訪れたい。

2021年10月1日金曜日

Invasion Hotspot 1.0

一昨日、今年の夏前に書き上げた「Invasion Hotspot」の論文を、bioRxivで公開した。bioRxivのようないわゆるプレプリントサーバを使うのは今回が初めて。夏前に書き上げたときに既に投稿準備は全て終わっていたので、今回の投稿はいくらか基本情報を入力して原稿をアップロードするだけだった。なぜこのタイミングかと言うと、こないだのJDRCで内容を発表したというのもあるけど、一番の理由は科研費の申請書で、既にこの話はちゃんと論文の形にして公開していますよ、というのを示したかったから。まぁ、そのようなことで公開しちゃったという感じなのだが、まだ追加実験も続けていて、良い実験結果が出ればもう少し改訂してからジャーナルに投稿しようと考えている。

Tumor-Cell Invasion Initiates at Invasion Hotspots, an Epithelial Tissue-Intrinsic Microenvironment. bioRxiv doi:10.1101/2021.09.28.462102.
Malignant cancers emerge in epithelial tissues through a progressive process in which a single transformed mutant cell becomes tumorigenic and invasive. Although numerous genes involved in the malignant transformation of cancer cells have been described, how tumor cells launch an invasion into the basal side of epithelial tissues remains elusive. Here, using a Drosophila wing imaginal disc epithelia, we show that genetically mosaic clones of cells mutant for a neoplastic-tumor-suppressor gene (nTSG) in combination with the oncogenic Ras (RasV12) expression initiate invasion into the basal side of the epithelial layer at specific spots in the epithelial tissue. In this "invasion hotspot", the oncogenic double-mutant cells activate c-Jun N-terminal kinase (JNK) signaling, which causes basal extrusion of the double-mutant cells and destruction of basement membrane through upregulation of a matrix metalloprotease, MMP1. Conversely, in other regions of the epithelial tissue, the double-mutant cells do not strongly activate JNK, deviate from the apical side of the epithelial layer, and show benign tumor growth in the lumen. These data indicate that the onset of tumor-cell invasion is highly dependent on the tissue-intrinsic local microenvironment. Given the conservation of genetic signaling pathways involved in this process, initiation of tumor-cell invasion from invasion hotspots in Drosophila wing imaginal epithelia could help us to understand the developmental mechanisms of invasive cancers.

10月

もう10月か。科研費の申請書に追われている間に9月が終わってしまったな。申請書の一件はほぼほぼ完成したのだが、もう一件の方はまだゴールが見えない。ということで、来週水曜日の締め切りまでまだもう少し悩まされそうなのだが、とりあえず今日の夜から三島へ一時帰国する予定。