2012年12月29日土曜日

VF収集

年の瀬が迫るなか今週はひたすら追加実験のためのバージンメス収集。いよいよ来週辺りからかけ合わせて、新年明けに一気に畳み掛ける予定。
あとそれ以外に、一時帰国前に偶然発見した“モノ”がホンモノかどうか、もう一度ちゃんと確かめようとしている。これがホンモノであれば、一時帰国中にもずっと考えていたグラントプロポーザルをこれに依存しながら書けそうなのだが、ちょっと時間が足りないかもという気がしてきた。そういえば一時帰国前に新しいアンダーグラジュエイト、ホアン君が現れたんだった。彼にはとりあえずこの新しいものについて色々やらせてみようかなという気になっている。

2012年12月28日金曜日

Clancy's

クリスマスディナーはローストビーフとオーストラリアバロッサバレーの赤のブレンド。このPeter LehmannのClancy'sは、Shiraz 39%、Cabernet Sauvignon 38%、Merlot 23%。ジャスミンとチョコレートのような甘い香りが立ち、口に含めば色んな種類のフレッシュなベリーを同時にほおばったかのような果実味たっぷりの味わいが広がる。これは旨い。コスコで10ドルちょいだった。
Peter Lehmann Clancy's 2009 

2012年12月27日木曜日

Balance Bike

今までコマがついていないと全く乗れなかったのに、ペダルのついていない“バランスバイク”で練習するとこれはすぐに乗れるようになった。

TM6B

前から思ってたんやけど、TM6Bって弱いMinute入ってるのかな?
Dr/TM6Bのハエを他のとかけ合わせたら、次世代で必ずTM6BDrより一日か二日遅れて出てくるし、2ndのMinuteTM6Bを組み合わせようとするとどうもしんどいらしい。今回も2ndのMinuteTM6Bでバランスさせた3rdの組み合わせを作っていて、少しだけ出てきてくれているけどかなり弱々しいのでこいつらを維持するのはつらいかも。やっぱりこのままexperimental crossに持っていくべきやなぁ。

2012年12月26日水曜日

Diseño Malbec

昨日の夜はアニカの家で毎年恒例のクリスマスパーティ。静かな雰囲気の中でワインを飲みながら会話を楽しんでいたのだけども、始まって二時間ほどたったころに時差ボケからくる眠気に耐えられなくなってソウシロと退出。
飲んでいたワインはアルゼンチンのマルベック。バランスは取れているけどちょっとかたい感じがした。
Diseño Malbec Old Vine 2011

Merry Christmas!

2012年12月25日火曜日

Japan Tour 2012 総括

今朝、ラボに出てきたらもう大学は完全にクリスマス休暇に入っているようで、キャンパスには人っ子一人いなかった。ジャッキーに頼んでおいたハエ達はなかなか良い具合に次世代が育っている様子なので、いよいよリビジョンのために残された実験群を開始しなければいかん。
とはいえ、なんかまだ時差ボケで頭がぼーっとしている上に、この二週間のジャパンツアーがものすごく楽しかったのでなんだか一つ一つのことが思い出されていまだに夢の中にいるような気分。今回の一時帰国では五カ所で講演をして各々の場所でいろんな人と話すことが出来たのだが、今回のツアーを通して得たものは自分にとってすごく大きい気がする。たくさんの人とのデスカッションによって得た研究上の情報だけではなくて、今後の研究の方向性や自分のキャリアについて色々と考える良い機会になった。今はここからまた新しい何かが始まる可能性に期待を膨らませているところ。今回新しく知り合えた方々を含め、忙しい中会って飲んで話をしてくれた数えきれないほどの方々に心から感謝です。

12月13日、焼肉パーティの後、つくばのSさん宅にて

12月19日、神戸大I研でのセミナー後の飲み会

12月21日、最終日、筑波大N研の大忘年会

2012年12月24日月曜日

ひどい時差ボケ

昨晩無事帰国。したのはいいけど、今日は完全な時差ボケ。午後から眠くなってきたと思ったら、夕方にはもう晩御飯が食べられないほど眠くなってそのまま寝てしまった。で、夜中の1時半頃に目覚める。どうしたもんか。

2012年12月22日土曜日

全日程終了

昨日、三島の遺伝研を出てようやくまた一週間ぶりにつくばに戻ってきた。なんか先週少しいただけなのにホームに戻ってきたようなヘンな感じ。
今週は大阪の実家で少しゆっくりさせてもらってから、火曜日にYU博士のいる同志社大学、水曜日にIT博士の神戸大学、そして木曜日はIH博士のいる遺伝研を訪れてセミナーをさせてもらった。連日のセミナー&飲み会にちょっと疲れたけど、いろんな方々と話せてとても楽しいツアーになった。御世話になった皆様方、本当にありがとうございました。
そしてファイナルの昨晩はホームの筑波大学N研の大忘年会に参加。久しぶりの日本の大学生達のはじけまくりの飲み会を懐かしい気分で楽しませてもらいました。
ということで、今回のジャパンツアーの全日程無事終了。今からNN博士とそばを食べて、成田からフロリダへ飛び立ちます。

2012年12月15日土曜日

ダートマスの集い@博多

昨晩は博多でモツ鍋を囲んでダートマスの集い。三年連続で今年も二次会は二時頃まで盛り上がりました。

で、今日は昼頃に博多を出発して新幹線に乗ってようやくホームタウンの大阪へ。これでようやく今回のジャパンツアー前半戦が終了。

2012年12月14日金曜日

博多へ

藤沢泊、東京泊を経て昨日またつくばに帰ってきた。で、今日は今から博多へ飛びます。毎晩の飲み会。皆様に感謝感謝の毎日です。

2012年12月11日火曜日

NNラボ

昨日は筑波大学、NN博士の研究室でセミナーをさせてもらった。質疑応答をしながらのスタイルだったこともあって結局2時間もかけてしまったけど、異分野ながら活発に質問してくれる学生さん達とのデスカッションはなかなか楽しかった。ちょっとしゃべりすぎて喉が痛くなってしまったけど。で、その後はホテルの下にある飲み屋で打ち上げ。日本のラボの和気あいあいとした雰囲気をたっぷり楽しませていただきました。
そして今日は今から、SF博士がいる藤沢の日大へ。

2012年12月9日日曜日

つくば到着

無事、つくばに到着。
飛行機でほとんど眠れなかったのでかなり疲れたけど、NN博士御一家と晩御飯をご一緒させて頂いてほっと一息。明日の午後早速セミナーなので今日はもう寝ます。

2012年12月8日土曜日

いざ、Japan Tour

いよいよ明日の朝、日本へ出発。今日なんとかハエの整理をやり終えて、かけ合わせ中のハエ達はジャッキーに託してきた。結局グラントプロポーザルはほとんど手をつけることができなかったけど、ここ何日間かでちょっとアイデアを得たので旅の間に考えながら出来るだけ書こう。さぁ一年ぶりの日本、今年もまた毎日のように日本にいる多くの友人達と会える予定。

ちなみに今回のジャパンツアー(講演)の予定は今のところ以下の通り。

12月10日:筑波大学
12月11日:日本大学
12月18日:同志社大学
12月19日:神戸大学
12月20日:遺伝研

2012年12月5日水曜日

メンション

昨日の夜中、リビジョンのための実験結果を見ていて一つオモシロイものを見つけた。Drosophila follicle cellのdevelopmentなんて今までにかなりの部分が記述されているはずなのに、コレについてメンションしている論文が見つからない。もしこれが本当なら論文の中の仮説を裏付ける一つのエビデンスになるのだけども、このデータをエビデンスとして含めるためにはもう少し色々と実験をする必要が出てくるのは明らかなので、この論文ではたぶんメンションしない。でもこれは結構エキサイティングだ。もし考えている事が正しいなら、このfollicleの論文の続きのプロジェクトはこれを軸にして進めていけそうな気がしてきた。明日の朝コンフォーカルでもう一度確かめてみる。

McManis Barbera

McManis Barbera 2009
カリフォルニア、McManis Family Vineyardsのバルベラ。プラムやイチゴの味わい。とってもフルーティでシンプル。近所の酒屋で10ドル以下。

2012年12月4日火曜日

Espelt Garnacha VV

Espelt "Vieilles Vignes" Garnacha Emporda 2010
スペイン、ガルナッチャのold vine。old vineにしては随分フレッシュな味わいで一日目はちょっと酸味が強い印象があったけど、二日目にはその酸味もまろやかになって非常に飲みやすくてコクのあるワインになっていた。クランベリーのような味わい。10ドルちょい。

忘年会2012

昨日はボスの家でラボの忘年会だった。こうしてファミリーが一同に会すると結構な人数。このラボではもう自分が一番古株なので当然自分がこのラボに来た当初とは一人残らずメンバーが入れ替わっているのだが、パーティでゲームなんかをしているとラボの雰囲気は全然変わっていない事に気付く。やっぱりラボの雰囲気ってボスが作っているんだなぁとしみじみ感じた。自分がラボを持ったらどんな雰囲気のラボになるんかなぁ。

2012年12月3日月曜日

Dragon

先週金曜日の昼は、小学校の“Friday Sing”でうちの子のクラスがパフォーマンスをする日だったので見に行ってきた。このFriday Singというのは、小中学校の中の一つのクラスが全校生徒の前でステージに出て歌とか劇とかのパフォーマンスをする催しのこと。この日は、そのFriday Singの前に今学期の優秀生徒(この学校では‘Dragon’というらしい)の表彰もあって、なんとうちのロウチビがそれに選ばれたということだったのでその表彰式も見てきた。うむうむ、ようがんばっとるねぇ、という感じ。で、その後のクラスのパフォーマンスでは、ステージの上でなんやらうれしそうに英語とスペイン語の漫才みたいなのをしている六歳の娘を見て、ははぁ大したもんやねぇとちょっと感心させられた。

2012年11月28日水曜日

あと十日

日本への出発が十日後に迫ってきた。やばい。このままでは帰国前までに予定していた実験が終わらないかも。だからといって急いでやれないのがハエの困ったところ。しかも今待っている実験は全てfollicleなので、アダルトのハエ達が出てくるのを焦って待つしかない。実験以外にも色々とやっておくべき事があるのだけども、どれから手をつければいいのか分からない感じでいまいちやる気が出ない。。。こういうときはまず優先順位をつけて一つ一つ潰していくしかないか。やっておくべきことの中で大きなものの一つは、年始に出す予定のグラント申請の原稿書き。とりあえず一月に提出するのはPreliminary Proposalなので、まぁなんとかなるんとちゃうのんとか思っていたけど、いまだ完全にはアイデアが固まっていない。今日の午後延々とハエのストックを更新しながらあれやこれやと考えているうちに、ぼんやりとしていたアイデアが少し整理されてきた。まぁこういうときはとりあえず書いてみるのが一番。ということでそろそろ重い腰を上げて、ハエ達が出てくるまでの間にちょっと書いてみるか。

2012年11月27日火曜日

DBR Team Issue

今乗っているバイクは4年くらい前にTargetで買ったSchwinnの安いやつだった。毎日朝晩の通勤に愛用していたのだが、やっぱり安物だからか色々と不具合が出てきていたので新しいのを探していた。で、ブラックフライデーで安くなっていたと言う訳でもないのだけども、この週末にいくつか回った町の自転車屋さんで中古のスペシャルなバイクを見つけた。黄色いフレームが眩しい、Diamondback Racing "Team Issue"。ちょっと古いモデルだけどあんまり使っていなかったのか結構きれいだし、しっかりチューンアップされている。しかもレース仕様だけあってめちゃめちゃ軽い。今日初めて行き帰り乗ってみてその軽さに驚いた。タイヤは結構ゴツイので、なんかタイヤだけで走ってるみたいなヘンな感じがするくらい。明日もこいつに乗ってフレンチタウンを激走。

Thanksgiving fishing

昨日は近所のマイクに誘われて、マイクとショーンと三人で釣りに行ってきた。去年と同じ、St. MarksのShell Island Fishcampで朝ポントゥーンボートを借りて、Wakulla Riverを下ってSt. Marksの灯台が見える河口付近を一日中魚を求めてさまよっていた。昼頃にブラックシーバスがオモシロイように釣れるホットスポットを見つけた。キャスティングするたびにかかってくるし、引き寄せた魚がくわえているルアーをさらに他の何匹かがボートのすぐ近くまで追ってくるという入れ食い状態。この辺りでブラックシーバスを見たのも初めてだけども、今までこんなにかかってきたことはない。と言ってもかかってくるのはほとんどがジュベナイルで、ブラックシーバスは10インチ以上しかキープできないという規定があるので、釣り上げては長さを測って放すというなかなか楽しいけど忙しい時間だった。結局持って帰ってきたのは15匹くらいか。他に当たっていたのはladyfishとかヒラメとか。大物のredfishを探して入り江をうろついたりもしたけど、今回は全く見なかった。昨日は一日中結構寒かったのだけど、やっぱり仲のいい友達と大自然の中でゆっくり釣りをするのはいいもんだ。なんだかこのFlorida Big Bendの豊かな大自然が大好きになってきている自分に気が付いた。

第三回ワイン会

金曜日、サンクスギビングの晩はウォルター家との第三回ワイン会兼サンクスギビングパーティだった。食べきれないほどたくさんのサンクスギビングの料理とともに飲んだのは以下のワイン達。
Barefoot Bubbly Brut Cuvée Champagne

Joseph Drouhin Beaujolais Nouveau 2012

E. Guigal Côtes du Rhône 2009

La Merika Pinot Noir 2010
乾杯のために最初に開けたシャンパンの後はあまり考えずに開けていたのだけども、今思えばこの順番で飲んだのはナイスだったのかも。サンクスギビングということで今年のボジョレーヌーボーを一応入れてみたのだが、いつも濃いめのワインを飲んでいるというのもあるだろうけど、これはすごい軽くてジュースのように感じた。その次にE. GuigalのCôtes du Rhôneを飲んで、あぁやっぱりうまいねぇと思っていたのだけど、今回一番気に入ったのはウォルター家が持ってきてくれた最後のLa Merika Pinot Noirだった。これは甘くてなかなか濃いピノノワール。分かり易いうまさ。

食べきれない料理は土曜日と日曜日に少しずつ残りを食べていくという、週末はなんだか正月のような雰囲気になった。サンクスギビングってこういう感じなのね。考えてみれば今までアメリカ人家族のサンクスギビングディナーに呼んでもらったことは何度かあったけど、うちで他の家族と一緒にサンクスギビングのパーティをしたのは初めてなのか。

2012年11月22日木曜日

ハブファーン

明日からアメリカはサンクスギビングホリデーということで、もう今日からアンダーグラジュエイトの学生達はみーんないない。たいがい昨日の夜から帰省しているようだ。で、自分が担当しているアリスンも昨日、「ブレイクの間、私のハエ見といてね!」って言って帰っていった。「ユーはブレイク取らないの?」ってオマエ、ミーがブレイク取ったらオマエのハエ見られへんやろうが。なんか、日本ではこういうのあり得ないですよね。まぁでももうこんなのは慣れてるから「オゥケィグレィ、ハブファーン。」と言ったものの、どのハエのことを頼まれたのかもよく分かっていないという、適当なアメリカ人に対する適当な応対が身に付いてきてしまっている自分に気付く。バージンメスを取っといてって言ってたな、確か。

2012年11月20日火曜日

I am thankful for.....

今週木曜日はサンクスギビング。ということで、ロウチビの学校では七面鳥の絵に「I am thankful for.....」という作文をする授業があったようだ。持って帰ってきたその作文を見てみると、「I am thankful for mom and dad.」「I am thankful for the food that comes from the farm.」と、なかなか上出来である。しかし、もう一つ「I am thankful for god's creation.」というのがあった。つまり「神の創造に感謝します」と。ふーむ、なんでこんなアメリカ人みたいなこと書いたんかなと思って聞いてみると、この作文をする前に何やらビデオを見せられて、その中で「人間を含め全てのものは神様が創造されたものだから、We should be thankful for god's creation。」という風に教えてもらったんだそうな。まぁまだ小学一年生やからね、神様に感謝しましょうね、で良いと思う。
しかし、御存知の方も多いかと思うけど、アメリカでは進化論を信じていない人の割合がかなり多い。もちろんキリスト教の教義上の理由からである。例えば以下のグラフはGallupによるデータで、アメリカ人への「人間の起源」に関するアンケート結果。一番上の黄緑色のラインが「人間は神が創ったものである」と信じている人の割合。その下の濃い緑が「人間は長い歴史の中で形を変えてきたけどそれは神によって導かれたものである」と信じる割合。で、一番下のラインが「人間は進化の結果出てきたものであり神は関わっていない」と信じる割合。
驚くべきことに、なんとアメリカでは2012年現在においても実に約8割の人が、人間は神によって創られたものであると信じ込んでいるのだ。日本では生物の進化なんて「エジソンは偉い人」とか「キヨスクは駅の中」とかよりも一般性のある常識だと思うけど、つまりアメリカでは「人間はサルから進化した」とか「生物はみな単細胞生物から進化した」なんてことを言うと、オーノーアタマダイジョーブデースカ?と思われる可能性が高いということだ。
では、国別の割合を見てみよう。以下の統計は2008年のデータで(Wikipedia, Level of support for evolutionより)、アメリカは右から二番目。日本は左から五番目。このデータでは進化を認めるアメリカ人の割合が4割ほどになっているけど、これは上のデータで「神に導かれた進化」を信じる人もいくらか含まれているからだろう。
それにしても、なんでこの科学先進国であるアメリカがこんなことになるのか。。。以前に一度、エボデボの巨匠、キャロル師匠と話す機会があったのだが、その時にこのことについて尋ねてみるとあのキャロル師匠が苦々しい顔で「もちろんキリスト教の影響だけども、アメリカでの教育の現状は本当にヒドイ。」とおっしゃられたことを思い出す。
実はロウチビには以前に「生物というのは、始め一つの小さな細胞として生まれた生命が長い長い時間をかけて今ある色んな形の生き物に変化してきたんだよ。これを“Evolution”といいます。」と教えたことがあった。昨日それをもう一度教えてあげると、「分かってるよ。だってパパが前に教えてくれたよね。」と言う。でもやっぱり幼い子供は学校で先生が間違えたことを教えるとは思ってもいないんだろう。こういうのを見ていると、上の約8割という驚くべき数字が信じられないものではなくなってくるのだ。

Los Cardos Malbec

Doña Paula Los Cardos Malbec 2009
またまたアルゼンチンのマルベック。香りは芳醇でチェリーやクランベリーのような味わいだけど、結構軽くて飲みやすい。Fresh Marketで10ドル以下だった。

2012年11月16日金曜日

nag

先週の金曜日に予定されていたジャーナルクラブは結局今日に変更になったので、今朝論文紹介をした。発表したのは先月Natureに報告された、TI博士のラボからSO博士の論文。

Mitochondrial defect drives non-autonomous tumour progression through Hippo signalling in Drosophila.  Nature  490: 547-551.

内容をごく簡単にまとめてしまうと、ミトコンドリアの機能障害を持った細胞でRas activationが起こると、ROS(活性酸素)の産生増加にともなうoxidative stressがJNK activationを引き起こす。このJNK activationとRas activationが協同的にHippo pathwayのdownregulationを引き起こす結果、Yki activationによってdownstream targetのUpdとWgの発現が促される。secreted growth factorであるUpdとWgは、mutant cellの周辺の細胞においてJAK-STATとWg signalingをactivateすることによりnon-autonomousなtissue overgrowthを引き起こす。またこの際、このmutant cellの周辺の細胞もRas activationを持っていた場合、この周辺の細胞はinvasive behaviorを示す。ということで、ハエを使って“Warburg hypothesis”を見事に説明した論文である。

この論文、大まかな内容は去年のFly Meetingで聞いていたので大体知っていたのだけど、オンライン版に出てきた日の夜寝る前に要旨だけ読もうと思ったら結局面白くて一気に最後まで読んでしまったのだった。ということで、とってもオモシロイ論文なのである。そしてオモシロイだけじゃなくて、読み終わった時になんだかちょっと感動した。今までに報告されているいくつかの論文ではすっきりと説明できずに自分の中ではなんやらモヤモヤとしていたいくつかのgenetic pathway interactionが、oncogenic Ras activationとmitochondrial dysfunctionのcooperationによるnon-autonomous tumor progressionというストーリーの中ですっきりと説明されている気がしたのだ。あと、たぶんこの感動は自分も同じようにハエ遺伝学を使っている研究者だからということからも来ているんだろう。それは、スゴイ仕事量を理解できるということ以上に、大げさかもしれないけど、ハエ遺伝学だけでこれだけのことができるねんで、というflypusherの意地と美学を見た気がしたからだと思う。もちろん細かいところを考えていくと、今回ハエ遺伝学だけでは説明しきれなかった疑問点がたくさん残されている。
例えば、
なぜRas activationがmitochondrial mutant cloneでoxidative stressを強く促すのか?
oxidative stressがJNK signalingを活性化させるメカニズムは何なのか?
RasとJNKのactivationがどのようにしてHippo pathwayをdownregulateさせるのか?これは“data not shown”だけども、論文の最後でRas-active mitochondrial mutant cloneにおいては、E-cadherinとDlgがdownregulateされていることからepithelial integrityに破綻をきたしていることが示唆されており、このepithelial integrity disruptionがHippo pathwayのinactivationの原因になっているのではないかと考察されているけど、もしそうならepithelial integrity disruptionを引き起こすメカニズムは何なんだろうか?
もちろんこれはこれで非常にビューチフルなストーリーに仕上がっているし、一つの論文で全てのメカニズムを説明することなんて不可能な訳で、これらの疑問点は今後の研究に期待ということになりますか。

2012年11月14日水曜日

Hectic Time

さて、実験以外のデスクワークはほぼ一段落した。あとはビザの更新申請のための書類作製くらいか。それにしても一時帰国が一ヶ月後に迫ってきてなんだか精神的に落ち着かない。一時帰国の準備自体に関しては、飛行機やホテルの予約は大体済ませたのであとはトークの準備のみ。今回の帰国では友人の方々のおかげで四カ所で講演できることになり、皆さんとの再会に加えて講演も楽しみだし、ということでなんだか楽しみでそわそわしてしまっているのも原因の一つかな。
しかしながら、やはり一番気になっているのは論文のリビジョン。再投稿の期限について、前回の手紙でエディターからは何の指定もなかったので聞いてみたところ、「競合しているかも知れないグループがあるって言ったよね?じゃこちらから期限を指定する以前になるべく早く出した方がエエんとちゃうのん?」とのこと。なるへそ、そりゃ確かにおっしゃる通りですわ。ということで、別に期限は指定されなかったけど余計にプレッシャーかかる感じ。帰国前までにできるだけの追加実験をやってしまいたいところだけども、一ヶ月では終わらないハエのかけ合わせがあるなぁ。で、こんな忙しい時にボスからは、来年一月にまたグラント申請したいからなるべく一時帰国前までにドラフト書いてよって言われた。おいおい、ちょっと待ってくれよと。こりゃ間違いなく今年一番のヘクティックタイムが始まりますな。

2012年11月13日火曜日

Novas Cabernet Sauvignon

Emiliana Novas Gran Reserva Cabernet Sauvignon 2009
ラベルに描かれた星座が印象的なチリのオーガニックワイン。花のような甘い香り。なめらかな味わいでいて酸味が心地よい余韻。これは旨いカベルネやねぇと思ったら、やはりメルローが15%ブレンドされているようだ。町の北にあるFresh Marketで15ドルほど。

2012年11月8日木曜日

居住者証明書

さて、いよいよリバイズの実験に取りかかりますか、というところで折悪しくなんやかんやと実験以外のことで必要なデスクワークがもりもり出てきた。
まずは明日が締め切りのFly Meetingのアブストラクトを投稿。ついでにレジストレーションも済ませる。ということで、来年春のFly Meetingは参加します。そしてゴーアイの論文のproof reading。その次に、来年の春に期限が切れるHビザの延長申請の開始について事務に話しにいく。そしてさらに、来月の日本での講演時に必要と言われた米国居住者証明書の申請書作成(Form8802)。米国居住者証明書ってなんじゃろかと思って調べてみたら、どうやら日本での所得税を免除してもらうために、米国に居住していて税金も米国に払ってまっせという証明書なので、これはIRSからの正式なフォーム(Form6166)でないといけないらしい。で、IRSのウェブサイトの説明を読んでみたら、申請から発行まで少なくとも45日かかりまっせと。こういうことはほんまにのんびりとしとんなぁ、間に合わへんやんけ。といっても今回は日本の大学側がとりあえずは申請書のコピーでなんとかしてくれるらしいのだが、このForm6166というのがこれまた結構分かりにくい。。。
あとまだもう少しあるけど、今日はここまで。ちなみに明後日金曜日のジャーナルクラブは自分の発表の番らしいので、これも準備せな。。。

2012年11月7日水曜日

お返事

昨日、エディターから反論のお手紙に対するお返事が返ってきた。レビュワーのコメント一つ一つに丁寧に答えた甲斐あって、結果は再投稿OKということでリジェクトだったステイタスがリビジョンに復活した。ということで今日、再投稿までにやらなきゃいかん実験をリストアップしてボスとデスカッション。まぁ結構追加実験が必要だし色々と書き直さなければいけないのだが、実は既に持っていたけどオリジナルの原稿には含めなかった実験結果というのもかなりあるので、二ヶ月あればなんとかいけるかなーという感じ。とりあえずは復活してよかったけど、やっぱりここからが踏ん張りどころですなぁ。
実は来月中旬にまた二週間ほど日本に一時帰国することになっているので、えらい忙しくなってくるけど気合い入れて乗り切るしかない。

2012年11月5日月曜日

North Florida Fair 2012

今日はデイビッドと一緒に娘二人を連れて毎年恒例のNorth Florida Fairへ。なんか、ついこの前来たばかりのように感じるけど、もう一年経ったのね。昼前に出て夕方まで、結構長いこと遊んだ気がしたけど今日で夏時間が終了ということで今日は一時間遅いからか、なんとなく時間に余裕があった一日。ということで、夕食後ラボに出てきてちょっとゆっくりハエ達をかけ合わせる。

2012年11月2日金曜日

Halloween 2012

昨日のハロウィンパーティとトリックオアトリートの写真。
いそげやいそげ、パーティが始まる。
今年も気合いの入った仮装をしてくれたマイク。子供達はロボットに大喜び。
と、思ったらいきなり煙が出てきたりして逃げ惑う子供達。
パーティの後、今年も9時頃まで近所を歩き回ってたくさんのお菓子をもらった子供達。
Happy Halloween!

2012年11月1日木曜日

トリート

今日も午後中コンフォーカル。で、コンフォーカルを5時半に終えてから大急ぎで帰って近所のマイクの家でのハロウィンパーティに参加した後、子供達と一緒に近所をトリックオアトリート。今年もまた随分歩き回って家に帰ってきたのは9時だった。そしてもう一度ラボに出てきて今度はハエのトリート。
今日の一枚。

2012年10月31日水曜日

Zeiss復旧

なんか今週は急に寒くなって一転真冬になったかのような気候。この寒さは東海岸を通り過ぎたハリケーンと関係あるのかね。
で、今日の午後は久しぶりにコンフォーカル。ようやく愛用のZeissが復旧したようなので、今日と明日の午後一杯予約を入れておいた。やっぱり慣れ親しんだZeissは仕事がはかどる。
今日の一枚。

2012年10月29日月曜日

Goulart The Marshall Malbec

Bodega Goulart The Marshall Malbec 2009
コスコで見つけたアルゼンチンのマルベック。15ドルくらいだっけな。ブラックベリーの深い果実味と酸味がたっぷり。バランスが取れていてとっても旨いと思うんだけど、最近アルゼンチンのマルベックにはRestivoみたいなもっと甘くて濃厚なやつを期待してしまう。

秋のマシュマロパーティ

昨日の夕方、またジェネイの家のバックヤードでマシュマロパーティだった。パーティといってもみんなでマシュマロを焚き火で炙って食べるだけなんだけども、少し肌寒い夕闇の中で焚き火を囲んでいるとなんだか心安らぐ秋を感じた。まぁほんまはマシュマロじゃなくてサンマとか焼きたいんやけどね。

2012年10月28日日曜日

SH113終了

今日、ゴーアイの論文がアクセプトされたらしい。一昨日再投稿したばっかりやのにえらい早いなぁ。結局、mutant alleleについて追加の遺伝学的解析は全て含めることができたのだけどもDNAシーケンスを報告することができなかったから、もしかしたらもう一度要求されるかなとか思っていたけど、まぁよかったよかった。ちょっと解放感があるわ。

2012年10月27日土曜日

ギャルフォーシリーズ

Drosophilaの新規Gal4 lineシリーズがCell Reportsに三本の論文で同時に報告された。これらは、nervous systemでfunctionalと思われる7000のCRMcis-regulatory modules)をGal4 reporter constructに組み込んで、phiC31によってattP2 at 68A4に挿入したGal4 fly達。この中から、adult brain and VNCで発現を持つものが6650、embryonic CNSが5000、imaginal discのが1193なんだそうな。で、この史上最大のGal4シリーズのexpression patternがウェブサイトでデータベース化されていて、各々のコンフォーカル画像を見ることができる。imaginal discは御丁寧にDistalless、Homothorax、Engrailedなんかの抗体染色もしてくれてあるし。オゥサムやわ。
↓コチラ

なんか、expression patternを眺めているだけでもちょっと楽しいかも。そこのあなたもお気に入りのGal4が見つかるかもよ。

2012年10月26日金曜日

思い出深い

今日ようやくボスがゴーアイの論文を再投稿したようだ。まぁほとんどのレビュワーのコメントに応じることができたので、たぶん大丈夫だと思う。この論文で論じている遺伝子のmutant phenotypeは、自分がこのラボに来て一番始めにトレーニングのためにやったスクリーニングで見つけたものだから、もう随分前のものになる。そのスクリーニングでは一連のP-element insertionのmutant alleleを使ったのだけども、よく調べてみたらその見つけたmutant phenotypeはP-element insertionではなくて、他のbackground mutationが原因になっていることが分かった。それでその頃指導していたアンダーグラジュエイトのナタリアと一緒に、Deficiency Kitを使ったスクリーニングをしてようやく本当の原因遺伝子を突き止めたところ、その遺伝子はその頃ゴーアイが興味を持って調べ始めていたものと同じだった。それでその後、ゴーアイにそのmutantを渡してからはあまりタッチしてこなかったので、それほど思い入れのある論文という訳でもないんだけども、なんやかんやで長いこと悩まされたという点では思い出深い論文になるのかも。

2012年10月24日水曜日

第二回ワイン会

先の金曜日はウォルター家との第二回ワイン会だった。今回はウォルター家の新居で。まずはビールを飲みながら広島出身のNさんによる本格広島風お好み焼きをいただいて、その後夜遅くまで楽しく話しながらワイン三本とにごり酒一本を美味しくいただきました。
今回は以下の4本。
Apothic Red Blend 2010

Ménage à Trois Moscato 2010

Cono Sur Cabernet Sauvignon 2011

白鶴 純米にごり酒 さゆり

ブレットがラベルで選んできたというApothic Redは甘ーいブレンドでとても美味しかった。
次回はThanksgivingかな。

2012年10月23日火曜日

2012年10月21日日曜日

ようやく秋

いつの間にか庭は落ち葉で覆われて、午後の日差しも随分柔らかくなった。

2012年10月18日木曜日

ネガティブ。。。

今朝、ついにレビューに回っていた論文の返事が返って来た。結果はかなりネガティブ。。。エディターの判断はほぼリジェクトなのだが、よくよく三人のレビュワーからのコメントを読んでみたら、全体的にそれほどトーンが厳しい訳ではなくてほとんどがちゃんと反論できそうなことのように見えるし、エディターの手紙も一縷の可能性を残しているようにも読める。根本的な問題を指摘しているコメントもあったけど、それらはmisreadingとも言えるものだった。ボスに相談してみたら、これはもしかしたら可能性があるんじゃないかな、と結構ポジティブな御様子。なるほど、じゃいきますか、ということでとりあえずはエディターに反論のお手紙をしたためることにする。

2012年10月17日水曜日

どうしたもんか

ゴーアイの論文の再投稿締切日がいよいよ近づいてきてちょっと慌て気味。大体の実験は終わったし加筆修正もしたのだけども、mutant alleleのシーケンスチェックだけがどうもうまくいかない。昨日の夜中にわざわざもう一度ラボに出てきて、先週さらにオーダーした別のプライマーを使って大量にPCRをかけたのだが、それも結局ダメだった。実はこの部分は投稿前にも結構苦労して調べようとしてうまくいかなかったので、やっぱりかという感じが大きいのだけどもどうしたもんか。遺伝学的にできることは全てやったし、その結果から明らかにこのmutationがこの遺伝子のmutant alleleであるということは言えるのだけども、molecular natureが求められている。違ったテクニックで試す可能性は残されているけど、もうそのための時間は残されていない。。。

2012年10月15日月曜日

Elsa Bianchi Malbec

昨日子供二人を連れて図書館に本を取りにいった後、ふらっとWorld Marketに寄ってみたらワインのテイスティングイベントが行われていた。こりゃラッキー、ということで5−6本試飲させてもらった。自分一人で子供二人連れていたのでじっくりとは選ばせてもらえなかったけど、その中でも「おおっ!」っと思って持って帰ってきたのがこのアルゼンチンのマルベック。たったの9ドル。で、昨晩は近所のアンティアの家でのBBQに誘われたので、早速このワインを持っていって開けてきた。あまーくて新鮮な果実味豊かなマルベック。この溢れんばかりの甘い香りはよく知っている香りなんだけどなんだっけな、チェリーかな。絶対もう一度買いにいく。
Casa Bianchi Elsa Bianchi Malbec 2011

久々のバックヤード

フロリダの猛暑の夏も終わり、そろそろ久しぶりにバックヤードで遊べるかなと思ってこの土日、ファイヤーアントの巣を取り除いたり子供達と遊んだりしてみたのだけども、やっぱり日向はまだまだ炎天下という感じで、少し遊んでいるだけで汗びっしょりになる。薮から蚊もわらわら出てくるし、まだ夏かという感じ。

2012年10月11日木曜日

Flip-out cloneの罠

Flip-out Gal4>UAS-RFPのクローンで、あるエンハンサートラップのlacZ markerの発現を調べてみたらどうもおかしい。RFPを発現しているFlip-out cloneで必ずcell autonomousにlacZがupregulateされている。ある遺伝子のUAS-wild-type overexpressing cloneの結果を見た時、オッなかなかクリアーにきましたなぁ、とか思ったのだけども、その遺伝子のUAS-RNAiのcloneのみならずUAS-RFPのみのcontrol cloneでも同じように二種類のlacZがupregulateされていた。実は前にも別のFlip-out Gal4>UAS-GFPのcontrol cloneで、その時はlacZではなくて、あるendogenousなタンパクの発現が上がっていたことがあったのだけど、こういうのってどうして起こるんだろうか。当然抗体のクロスリアクトも考えられなくはないけど、その可能性は低い気がするなぁ。今回試した二種類のlacZ markerは同じpathwayのdownstream targetなので、Flip-out cloneでこのpathwayがupregulateされている可能性も考えられるんだけども、もしそうやとしたら何が起こっとんねんと。
FRT GFPのモザイクでも一度こういうことがあったけど、その時はubi-GFPのinsertionがある遺伝子の弱いbackground mutant alleleになっていることを発見した。FLP-FRTのモザイクの場合はこういうbackground mutationで説明がつくけど、Flip-out cassetteの場合にcontrolのFlip-out cloneでphenotypeが出るというのはどう説明すればいいのかねぇ。GFPやRFPがなんか悪さをしてるのか?
で、こういうことがあったら早く本当の実験結果を得たいがために、じゃあ他のFlip-out Gal4を使ってやろうっと、ということで早速Ay-Gal4を使ってやってみたのだが、今日結果を見てみたら案の定全然違う結果になっていた。そして今後は、あのFlip-out Gal4は使わないでおこうっと、ということにして結局問題の原因を追及しないで終わってしまう。まぁ、一応他のlacZ markerも試しておくかな。
ということで、皆さん気をつけましょうね。