2023年2月28日火曜日

出発前日

いよいよ明日からアメリカ出張ということで、今日はいろんな人にメールを書いたり、報告書やら申請書やらを書いたり、ハエの整理をしたり、二週間ラボを空けるための準備に追われた。最後に21時から、ST博士と実験サンプルの調整に関して話すためのオンラインミーティングをすることになって、それが終わってから帰ってきたので、今からようやく旅の準備。明日は朝に京都を出て、まずは昼過ぎに伊丹から羽田へ。その後は、羽田ーデトロイトーシカゴという流れで、シカゴに到着するのが現地時間で火曜日の夕方になる予定。

2023年2月26日日曜日

みぞれ

そんなこんなで、今日日曜日は久しぶりにちょっとゆっくりできた。ということで、明後日からのアメリカ出張のために少し買い物をしたり部屋の掃除をしたり。少しの間、和食を食べる機会がなくなるだろうから、今日と明日は鍋を堪能しようと思い立ち、今晩はしゃぶしゃぶ鍋みぞれ柚子ポン酢和え。

2899

土曜日の昨日も朝からフライルームに集まって解剖大会。そして夕方のFACSソーティングで、ついにRNAseq用の全サンプルの収集を完遂した。月曜から毎日、放射線照射して翌日解剖という作業を続けて、7人がかりで4つの実験群に対して合計2899匹の幼虫を解剖。diploid cellのみのwing discと、polyploid cellを含むmutant wing dics、これらに放射線照射をしたものとしていないものという4パターンから目的の細胞群をFACSでソーティング、という実験を3回分。いやぁようやったなぁと、サンプル採取だけで結構な達成感を感じた。こんなに実験しているのはポスドクの時以来かも。明後日からの三週間はほとんど出張に出ている予定なので、何はともあれ今月中にやり遂げることができて良かった。

2023年2月24日金曜日

colorful

いやぁ、本当にすごい一週間になっている。毎日、放射線照射と解剖大会をやりながら、今日の朝がアップロードの締め切りだった学会のポスターをなんとか昨日の晩までに済ませて、今日の午後ポスターをプリントした。明日の朝と夕方にさらに解剖大会があって、ようやくそれでRNAseq用の実験はひと段落する。ストックの継代は今日済ませたけど、火曜日の出発までにやっておかなければいけないことがまだなんやかんやとある。それにしても、今回のポスターはいつにも増してカラフル。

2023年2月21日火曜日

13th!

ということで忙しい一週間が始まった訳だが、今晩は日曜日から味が染みてめっちゃ美味くなったおでんで一杯。今日は下の子の13歳の誕生日を祝う。ついにティーンズか。ちょっと前までまだまだ小さい子供だったのに、最近ぐんぐん背が伸びて自分に近づいてきたし、先週帰った時には声が少し低くなっていて驚いた。そんな下の子は、今週末から二週間ほどオーストラリアに行くらしい。

Hectic week

さて、最近なんやかんやと忙しいのだが、今日から本当に慌ただしい週が始まった。今週は、新年度に発注する RNAseq のためのサンプルを全て取ってしまおうという計画。Controlとmutantの2群に放射線照射をするものとしないもの、という4種類のサンプルのトリプリケイトで合計12サンプル。1サンプルにつき100匹以上のwing discからFACSで細胞をソートしてRNAを取る予定なので、かなりの作業量になる。ということで、今日から放射線照射をして翌日に解剖、FACS、RNA抽出というサイクルを学生達と一緒に土曜日まで続ける予定。もちろん木曜の祝日も作業を続ける。なんで今週こんなに詰め込んでやることになったかというと、一つの理由は、自分が来週再来週とアメリカに行くことになっているからなんよね。

2023年2月10日金曜日

Trisomy 18

今日は、去年の10月に担当した学部3年生の講義の課題発表会。学生一人ひとりが、毎回の講義で出された課題について各自で調べて、その成果をまとめてプレゼンするスタイル。質疑応答を含めて一人30分の持ち時間なので結構しっかり。今日は3人の発表を見て、それに対する評価を行った。3人目の学生は、自分が課題として出した、染色体数異常に起因する疾患についての発表だったのだが、これが素晴らしかった。この学生は、主に Trisomy 18 について調べてきて、その染色体異常の種類や原因、そして各々の症状に至る考察までしっかりとまとめていて、自分も色々と勉強になった。プレゼンもかなり分かりやすかったし、なるほどこんな3年生もおるんやなぁと感心して帰ってきた。

2023年2月8日水曜日

CyFlow

昨日、細胞の倍数性解析を行うための、その名も Ploidy Analyzer なるものを販売している会社にデモ機を持ってきてもらって、うちのハエの細胞の解析を試させてもらった。基本的にはフローサイトメーターなのだが、DNA量解析に特化しているだけあってかなりコンパクト。農学とか水産学で作物の倍数性を解析するためによく使われるんだとか。で、いくつかのサンプルの解析をさせてもらったところ、結構シャープなピークを見ることができた。wild typeの2Cと4Cはもちろん、endoreplicationを誘導したモザイクのディスクでは、細胞数の少ないpolyploidのピークもちゃんと検出されていた。これは結構使えるかもしれない。ちなみに、これ用のプロトコルでは組織をホモジナイズして裸核処理をしている。

2023年2月6日月曜日

Richard Jewell

今日は、午後に少しだけラボへハエの様子を見に行って、その後は久しぶりに家で映画鑑賞。観たのは、クリントイーストウッド監督による「Richard Jewell」。1996年のアトランタオリンピックで盛り上がるライブ会場で起こった爆破テロ事件で、爆弾を発見して多くの人命を救った警備員、リチャードジュエルに関する実話。事件後、ヒーローと持てはやされるにもかかわらず、その後すぐにFBIやメディアから容疑者と見なされて大変なことに巻き込まれていく騒動の顛末。緊張感があり感動もあり、メッセージも非常にクリアーでとても面白かった。イーストウッド監督89歳の時の作品。さすがやね。

2023年2月4日土曜日

鞍馬

今日はなんとなく、午後からいつもの叡電に乗って鞍馬へ。一つ手前の貴船は結構人が多いように見えたけど、鞍馬寺はほとんど人がおらず。駅前の店で餅を食べてから、雪道になっている参道を登って山の上の本殿金堂まで上がった。鞍馬寺の前はたまに車で通りがかることもあってそれほど久しぶりな感じはしないのだけど、前に上まで歩いたのは三年前の夏かな。線香の香りが漂う雪深い境内でお坊さんと一緒に般若心経を唱え、鐘の音が静かに響く雰囲気に浸って随分と癒された。

Peaks!

昨日、ジャナクラが終わったあと、Jと一緒にiCeMSへついて行って久しぶりにFACS解析の様子を見てきた。一年ちょっと前にscRNAseqを実施して以降、imaginal discの細胞を色々とソートするための実験基盤はかなり整ってきたのだが、FACSでのploidy解析だけが何故かうまくいかなくてずっと試行錯誤を続けている。培養細胞のサンプルならきれいなピークが出るので、imaginal discの細胞に特有の問題。今回は、少し前に多倍体細胞のDNA染色について、北大のUさんからもらったアドバイスに従って、endoreplicationを誘導したポジコンのwing discの解析を行なったところ、おぉ?!GFP+のpolyploid cellで複数のピークが出ている!これでついにFACSでpolyploidyが検出できるようになったかも、となった。ということで、次回いつものtumor cloneの解析を行う。
iCeMSからの帰り道、吉田神社の節分祭で賑わっている正門前の通りで、行列ができている屋台のたい焼きを買ってラボに帰ってきた。

Hippo再考

昨日のジャナクラは自分の担当回ということで、ちょっと気になっていた以下の論文を紹介。ちょうど20年前に、Hippo pathway(当時はまだ Salvador/Warts pathway)のメインコンポーネントの一つとしてHippoを同定したDr. GHラボからの論文。ちなみに、2003年のHippo同定の論文Nat Cell Biol 5:914–20は、以下のような文章から始まる。
Proliferation and apoptosis must be precisely regulated to form organs with appropriate cell numbers and to avoid tumour growth. Here we show that Hippo (Hpo), the Drosophila homologue of the mammalian Ste20-like kinases3, MST1/2, promotes proper termination of cell proliferation and stimulates apoptosis during development.

そして、今回の新しい論文はこちら。
Hippo signaling instructs ectopic but not normal organ growth. Science, 378(6621):eabg3679.
The Hippo signaling pathway is widely considered a master regulator of organ growth because of the prominent overgrowth phenotypes caused by experimental manipulation of its activity. Contrary to this model, we show here that removing Hippo transcriptional output did not impair the ability of the mouse liver and Drosophila eyes to grow to their normal size. Moreover, the transcriptional activity of the Hippo pathway effectors Yap/Taz/Yki did not correlate with cell proliferation, and hyperactivation of these effectors induced gene expression programs that did not recapitulate normal development. Concordantly, a functional screen in Drosophila identified several Hippo pathway target genes that were required for ectopic overgrowth but not normal growth. Thus, Hippo signaling does not instruct normal growth, and the Hippo-induced overgrowth phenotypes are caused by the activation of abnormal genetic programs.

こうして見るとこれら2本の論文は、同じラボからの報告であるにもかかわらず、器官発生のgrowth controlに対するHippo pathwayの機能について、ほぼ正反対のことを言っているように聞こえる。まさにこの20年ほどの間に、このHippo pathwayは、発生・細胞・がん生物学の分野で一躍脚光を浴びるようになり、growth controlと言えばたいがい登場するようなやつになった。が、しかし今回の論文では、これでもかと言わんばかりに「Hippo signaling does not instruct normal organ growth.」という結論を裏付ける様々なデータが繰り出される。Mouse liverでのconditional knockoutと、Drosophila imaginal discでのmosaic cloneを基本のモデルとして、ものすごい量のトランスクリプトーム解析をしている。そんな中でも、ステロールを作れないerg2 mutant yeast strainをエサに使うことで、3rd instarの最後でdevelopmental arrestがかかった幼虫のimaginal discを用いた解析はかなりシブいし、一番最後に結構な数のRNAiを使ったgenetic screeningを入れてくるあたり、フライラボとしての矜持が感じられる。
ともあれ、通常の発生過程において、Yap/Taz/Ykiはproliferationではなく、morphological stressを受けているような細胞(mouse liverではcholangiocytes、Drosophila imaginal discではperipodial cells)の分化・発生に重要な機能を持っているというのは確からしい。発生中の組織に増殖を促すgrowth factor signalingは他にも色々とある訳で、Yap/Taz/Ykiでなくても良い。一方で、発生におけるorgan size controlとしては、器官がfinal sizeに達したときに増殖成長を止めるシステムも大変重要なのだが、これにもYap/Taz/Ykiが関わっていないことが非常にクリアーに示されている。
Hippo pathwayの歴史において、この論文がまた一つのマイルストーンになるのは間違いないが、organ size controlに関しては、またさらに謎が深まってしまった印象。