先週の講義は「Transposable elements II : Insertional mutagenesis」ということで、前回に引き続いてトランスポゾンの話の後編。前半は、ショウジョウバエでP-elementを使って初めて行われたエンハンサートラップによるゲノムワイドスクリーニングの話。1989年、H. Bellen(WJ Gehring lab)と E. Bier(YN Jan lab)らが、それぞれ P-lArB と P-lacW を用いて行ったものであり、Genes & Devにback-to-backで発表されている。これらのP-elementを持っているハエと、3番染色体99BにΔ2-3(stable genomic P-transposase)が載っているハエを掛け合わせてジャンプスタートを作るというスキームはどちらも同じ。これらのスクリーニングから膨大な数のlac-Zリポーターラインが得られており、トランスポゾンのランダムインサーションを用いたスクリーニングがmutagenesisだけでなく、enhancer trapのようなゲノムワイドな解析に非常に有効であることを示したものである。
後半は、enhancer trapのlac-Zリポーターラインを用いた遺伝子発現解析について、実例を挙げながらその仕組みや問題点を説明。あと一応、Sleeping BeautyとPiggyBacの紹介もした。そんな訳で本来は今日、Sleeping Beautyを用いたマウスでのmutagenesisの論文について議論する予定だったのだけど、Mardi Grasで休みというのを忘れていたので、こちらは来週火曜に持ち越し。