2025年3月26日水曜日

Midway

学会最終日の午後は、港に停泊して博物館になっている空母ミッドウェイを日本人数人で見学してきた。数千人が暮らせるようになっていた巨大な戦艦なので、内部は小さな町のようであり、且つ迷路のように入り組んでいて、かなり興味深く見学したけどだいぶ疲れた。甲板では多くの戦闘機に触れることができるのもすごいし、ここから眺める港の景色は素晴らしい。
その後、またホテルの近くまで戻ってきて、YN博士と二人で色々なことを話しながら学会後の時間をまったりと過ごした。

DROS25 閉幕

サンディエゴで開催されたDrosophila Conferenceは、大相撲とともに日曜日で閉幕。今回、自分の出番はセッションチェアとしてだけだったので気楽に参加できたのだけど、いろんな人の発表を見ていて、やっぱり自分も何か発表するものを持って来れば良かったなと思った。というのも、何人か自分と同じようについ最近ラボを新しく立ち上げたPIの方々と知り合ったのだけど、皆さんラボの紹介も兼ねて研究の発表をしつつ学生を募集したりしていたのよね。そして、やはり今回かなり気になったのは、現トランプ政権下でのアメリカの状況。かなりの数のポスター発表がキャンセルされているのを見たり、多くの大学でファカルティサーチが止められていることを聞いたり、多くのスピーカーが講演の最後に一致団結を呼びかけているのを見たりして、アメリカの大学、サイエンスに深刻な影響を及ぼしていることを直に感じた。実はこの一月からアメリカに来たんだよねっていう話をすると、皆さん「Congratulations!!」と言った後に口を揃えて「それにしても大変な時に来てしまったねぇ。。。」と。しかし同時に、もう少し遅かったら採用が取り消された可能性もあるから、ラッキーだったねぇ、という話も。まぁ、とりあえず今はなんとか耐え忍ぶしかない、というのが皆さん共通の想いですね。

2025年3月23日日曜日

DROS25 四日目

今朝は今回の自分の仕事、「Cell Stress and Cell Death」のセッションでの座長を務めてきた。Fly Meetingはポスドクの時から出席してきた学会で、自分にとっては一番のホームグラウンドだと思っているのだけど、チェアとして前に出るのは今回が初めて。ステージの上から見た大きな会場はほぼ満員で、その中にはもちろんこの分野の大御所の面々も見えていて、そのオーディエンスを前に自分がこの場の司会をしているというのが何だかちょっと不思議な気がした。スピーカーは6人。どの発表もなかなか面白かったしデスカッションも盛り上がっていたので、まぁまぁ良かったのではないだろうか。

2025年3月21日金曜日

DROS25 二日目

今日から本格的にFly Meetingが始まった。のだが、とりあえず今朝は7時半から予定していたオンラインの授業から。これまでの9回の授業内容をざっと復習して、来週火曜に出題する中間試験のプレビュー的な説明をした。そんな訳で8時半からのプリナリーセッションには少し遅れたけど、その後は午後のポスター、夕方のセッション、そして晩御飯後の夜のワークショップまで、一日フルに参加して先ほどホテルに帰ってきたのは22時過ぎ。夜のPolyploidyワークショップは当然知り合いの研究者がたくさん参加していたし、ディスカッションが結構盛り上がってなかなか楽しかった。"C"か"N"か、polyteneかpolyploidか、という話であそこまで盛り上がるとは思わなかったけど、まぁその辺りの問いも突き詰めていくと生物学的に結構重要なのかも知れないね。

2025年3月20日木曜日

DROS25開幕

今日は一日中移動。朝9時半発の飛行機に乗って、ヒューストンで乗り換えて、サンディエゴのホテルに到着したのは夕方6時頃。で、夕方のオープニングセッションにぎりぎり間に合った。このサンディエゴ会場での開催は、前回一度コロナで来れなかったから8年ぶりになるのか。随分新しい建物が増築されていて驚いたけど、会場になっている辺りは昔のまま。オープニングミキサーでは多くの日本人の方々に会って挨拶することができた。
明日の朝、一応オンラインで少しだけ授業をする予定にしているのだが、ルイジアナとは時差が2時間あるから朝7時半から。

2025年3月18日火曜日

高安

豊昇龍、昨日から休場なのか。そんな調子が悪いようには見えなかったけどねぇ。しかしそれよりも高安。もしかして、ついに高安の優勝が見られるのだろうか。終盤戦かなり楽しみになってきましたなぁ。
こちらは、明日からいよいよSan DiegoでのFly Meetingが始まる。今回は自分の発表とかはないのだけど、Cell Stress and Cell Deathというセッションの座長をやることになった。去年は参加しなかったのでちょっと久しぶりだし、アメリカ国内移動で時差ボケがない参加は10年以上ぶりだ。多くの友人に会ってたくさん話をしてきたいと思う。

2025年3月15日土曜日

春場所

いよいよまた春場所が始まって、毎朝前日の取り組み動画を見ながら朝ごはんを食べている。そういやちょうどこちらに来てすぐの頃、まだ何もない家のリビングに置いてあったアウトドア用簡易テーブルで、毎朝初場所を観ていたんだった。あれからちょうど二ヶ月経ったということやね。まぁ、だいぶ生活も仕事も落ち着いてきて、最近ようやくラボのセットアップに取り掛かり始めている感じ。この二ヶ月間、毎週の授業の準備に追われていたということもあるのだけど、実はこの段階に来るまで色んな書類提出とかオンライントレーニングによる認証手続きとかにも追われていた。自分で行うべき手続きが終わったら、次はそれをもって人を動かしたいのだが、そうなると今度はその指揮系統を理解して、どの部署の誰に話をすれば良いのかを探ったり。まぁそんなこんなでやっとこさ大学の公費が使えるクレジットカードを手に入れたし、今週ようやくラボに来てくれた大学の施設掛の人と、ラボスペースの古くなって壊れている箇所の修繕とか模様替えについて話し合うことができた。
そういえば、昨日の朝の教授会で、うちの Biology Department が所属している College of Science の Dean(学部長)から重大発表があった。まぁうちの学部にとってとても良いことなんだろうと思う。これについてはまた追々。

2025年3月9日日曜日

GMS.8

先週の講義のトピックは、「Targeted misexpression and gene silencing」。ということで、基本的にはGal4-UASを用いたoverexpressionによるgain-of-function analysisと、RNAiによるtissue-specific loss-of-funtion analysisについて。後半はそのケーススタディとして、P. Léopoldラボから2012年に報告されたDilp8発見の論文を紹介した。この論文は、Gal4-UAS-RNAiがとても効果的に使われていると思う。1st スクリーニングは、rn-Gal4>avl-RNAiをテスターラインとして、発生遅延がレスキューされるUAS-RNAiをスクリーニングしているのだけど、10100ラインから121ラインを同定したとかサラッと書いているのがすごい。著者は3人だけど、ピエールはたぶん実験していないだろうと考えると、2人で10100クロスやったってことなんだろう。でもこのスクリーニングがすごいのは、rn-Gal4>rpl7-RNAiに切り替えて行った121ラインに対する2nd スクリーニングで、当たりが1ラインだけだったこと。狙った未知の仮想遺伝子がゲノムワイドスクリーンで一つだけ当たるっていうのは、仮説もストラテジーもドンピシャだったということよね。こらホンマにスゴイわぁ、と感心しながらこれまた熱く語ってしまった。おまけに、Dilp8の上流でJNKの関与を調べるためにpuc-lacZを使っていて、先週のエンハンサートラップの話と結びついたりもしたので、教材としてはなかなか良かったなと思う。

at home

この週末はちょっと家でゆっくり、と言っても結局講義の準備、ラボのセットアップのための購入品目の選定、そして4月末の一時帰国のための出張申請の準備とかなんとか、ずっとパソコンに向かって作業している。昨日は夕方に少し街へ買い物に出たのだが、ふと立ち寄ったインテリア用品のスーパーで長居して、オフィス用に植物とか衝動買いしてしまった。ちなみに上の写真はそのスーパーのクッション売り場なんだけど、アメリカのこういうところ、すごいなぁと感心する。

2025年3月7日金曜日

Advisor

数日間に渡るマルディグラの喧騒が終わって、昨日から街に平穏な日常が戻ってきた感じ。
今日は午前中にまたファカルティミーティングがあって、学部生に対する単位取得とか進路に関する指導要領について、特に今年度からの変更点などに関してかなり熱い議論がなされていたのだが、はっきり言ってよう分からず、自分は静かに聞いているだけだった。終わったあとに、自分と同じ新任のカナディアン I も、なんや全く分からんかったわって言っていたので、これはアメリカの大学のシステムが特殊でややこしいということなんだろう。一年生がどの授業の単位を取るべきかについては、どうやら高校の時の成績も関係してくるようだし、二年目以降も大学に入ってからの成績と卒業後の進路を考えると、取るべき単位とその順番は一人一人違うので、担任の教員(advisor)が色々と相談に乗ってあげないといけないらしい。毎年数人の学部生のadvisorになるというのはまぁエエとして、そもそも大学の授業なんて自分が取りたいのを取ったらエエんとちゃうのんと思うのだが、ここでは違うようだ。確かに、学部卒業後に医学部とか獣医学部といった専門課程を目指す学生にとって、単位の選択はかなり重要になる。ということで、我々がしっかりと理解しておかないと適切な進路指導できないということになるんだけど、やっぱり、それ先生を頼るの?そんなん学生が自分で調べるべきなんとちゃう?結構過保護よねぇ、とか I と話していた。アメリカの大学は学費が高い分、学生に対するサービスも手厚くするということなんだろうか。他の州立大学もこんな感じなんかな。

2025年3月4日火曜日

GMS.7

今週は、Mardi Gras(この地域のいわゆる謝肉祭)のお祭り期間で月火水は大学も休日、ということで火曜の授業は休講。
先週の講義は「Transposable elements II : Insertional mutagenesis」ということで、前回に引き続いてトランスポゾンの話の後編。前半は、ショウジョウバエでP-elementを使って初めて行われたエンハンサートラップによるゲノムワイドスクリーニングの話。1989年、H. Bellen(WJ Gehring lab)と E. Bier(YN Jan lab)らが、それぞれ P-lArB P-lacW を用いて行ったものであり、Genes & Devにback-to-backで発表されている。これらのP-elementを持っているハエと、3番染色体99BにΔ2-3(stable genomic P-transposase)が載っているハエを掛け合わせてジャンプスタートを作るというスキームはどちらも同じ。これらのスクリーニングから膨大な数のlac-Zリポーターラインが得られており、トランスポゾンのランダムインサーションを用いたスクリーニングが、mutagenesisだけでなくenhancer trapのようなゲノムワイドな解析に非常に有効であることを示したものである。
後半は、enhancer trapのlac-Zリポーターラインを用いた遺伝子発現解析について、実例を挙げながらその仕組みや問題点を説明。あと一応、Sleeping BeautyとPiggyBacの紹介もした。そんな訳で本来は今日、Sleeping Beautyを用いたマウスでのmutagenesisの論文について議論する予定だったのだけど、Mardi Grasで休みというのを忘れていたので、こちらは来週火曜に持ち越し。