2021年6月21日月曜日

N

ショウジョウバエを使っているラボの出費で、大きな割合を占めているものの一つが飼育用のプラスチックバイアルだと思う。うちはまだそれほど規模が大きいほうではないけど、人数が多いラボになると当然ハエの数も増えるので飼育用バイアルは結構な出費になる。この飼育用バイアルの仕入れ先について、これまでに日本の三地方(東海、北海道、関西)でディーラーの人達と話してきた訳だが、結局どこの地方でもメインの仕入れ先は同じ製造会社Cだった。つまり、日本ではこの製造会社が全国的に高いシェアを持っているのではないかと思われる。まぁ、関西より西は知らんけど。ところが二週間ほど前、うちのラボに出入りの京都の試薬メーカーNの営業の方が、自分の会社で扱い始めたショウジョウバエ飼育用バイアルの試供品を持ってきた。モノを見てみると、寸法や透明度など今使っているバイアルとの違いはほぼ見つからない。しかし、驚きなのは価格だった。今うちが買っているのは1箱1260本入りで約1万7千円なのだが、Nが持ってきたものはなんと1200本入りで約1万円だというのだ。しかも200本ずつ綺麗にトレーに並べられていて梱包もしっかりしている。これを受けて、Cのバイアルを取り扱っているディーラーの方もCと交渉をしてくれているようだが、たぶんこの価格の差は埋まらないだろう。ということで、うちはたぶんこの新しいものに切り替えることになるわけだが、実はNは既にウチ以外にこの京大にある2大ショウジョウバエラボともすでに交渉を始めていて、おそらくそのどちらも切り替わることになるのではないかという話だった。この新しい製造会社がどこまでの販路拡大を視野に入れた生産体制を持っているのかは知らないけど、この価格なら全国のシェアが一気に変わる可能性がある。何れにせよ、こういった飼育用バイアルみたいな、年間の使用量を考えると研究費に占める割合が結構大きいけど必需品だから削ることができないというものに対して、競合他社の参入によって価格破壊が起こることで研究費をさらに有効活用できるようになるというのは、サイエンスにとっては素晴らしいことやね。

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