2022年6月5日日曜日

Egr-Grnd

Epithelial monitoring through ligand-receptor segregation ensures malignant cell elimination. Science 376: 297-301.
Animals have evolved mechanisms, such as cell competition, to remove dangerous or nonfunctional cells from a tissue. Tumor necrosis factor signaling can eliminate clonal malignancies from Drosophila imaginal epithelia, but why this pathway is activated in tumor cells but not normal tissue is unknown. We show that the ligand that drives elimination is present in basolateral circulation but remains latent because it is spatially segregated from its apically localized receptor. Polarity defects associated with malignant transformation cause receptor mislocalization, allowing ligand binding and subsequent apoptotic signaling. This process occurs irrespective of the neighboring cells’ genotype and is thus distinct from cell competition. Related phenomena at epithelial wound sites are required for efficient repair. This mechanism of polarized compartmentalization of ligand and receptor can generally monitor epithelial integrity to promote tissue homeostasis.

金曜日のジャナクラで紹介した論文。モーフォメのメンバーによると、どこかの学会で発表されていたという話だったけど、自分は聞いたことがなかったのよね。やっぱりそろそろ海外の学会に戻らないとなと思う。さて、昨日も少し書いたけど、この論文の話は非常にシンプルで、なぜ細胞極性に異常が生じた上皮細胞でJNKの活性化が起こるのかを示している。
体の外側と内側を隔てるバリアーとして機能する上皮組織にとって、構造的に異常が生じた細胞は危険なので排除しなければならない。ということで、scribdlglglのmutant cellみたいなapicobasal polarityに異常が生じる細胞は健康な上皮から排除されなければならない。こういった異常な細胞を選択的に排除するシステムとしてcell competitionが知られており、cell competitionでのアポトーシスはJNK activationに依存していることが分かっている。また、上皮が物理的に傷ついたりした場合も、まず傷を受けた部分の細胞を除去して上皮の層構造を修復するために、JNK signalingが重要な働きをしていることが分かっている。ではこういう時にどうやってJNK actiavtionが起こるのかというと、リガンドであるtumor necrosis factor (TNF) のEiger (Egr) が、レセプターのGrindelwald (Grnd) に結合することによってJNK signalの活性化が引き起こされることが知られている。そしてさらに、このリガンドのEgrがどこから来るのか?ということになると、一つは、今は亡きDr. MVのラボから、こういうところに引き寄せられてくるhemocyteがEgrを出しているという報告があったり、Dr. PLのラボからは、文脈は違えどEgrはfat bodyから出てsystemic signalとしてhemolymph中にあるという報告もあったり。で、Dr. DBのラボはこの論文の前にも、fat bodyからのEgrが上皮でのJNK activationに関与していることを示す論文を出していて、Egrの出どころに関してはDr. PLと同じ見方をしている。まぁ、この論文の結果を見ると、上皮からのEgrもhemocyteからのEgrも関係していなさそうというのはクリアーだ。さて、そうなると問題は、fat bodyから来たhemolymph中のEgrがどうやってimaginal discのGrndに結合するのかということ。なぜなら、hemolymph中のEgrがアクセスできるのはimaginal discのbasal側で、Grndは上皮細胞のapical surfaceに局在しているから、普段はhemolymph中のEgrと管腔側のGrndは出会わない状態にある。この論文では、polarity defectとかwoundによって上皮層構造に擾乱が加わると、apical側にあったGrndがbasal側に露出したり、上皮層の透過性が高まったりすることによって、EgrとGrndの結合が起こるということがいくつかの実験によって示されている。
「The function of the TNF-TNFR system described here as an in vivo sensor of epithelial integrity raises the possibility that ligand-receptor segregation may be a theme general to epithelial maintenance.」ということね。
このシンプルなストーリーをScienceの論文としてまとめ上げるのは本当にすごいなぁと思う。はじめにこの論文をさらっと読んだときは、むべなるかなぁと思った程度だったけど、今一度ジャナクラ用にこの研究のバックグラウンドとかも色々と考え直しているうちに、今準備中の論文に対して沸々と湧き上がってくる思いがあった。ということで今日の午後、久しぶりにSBF-SEMの解析がどんな感じになっているか、O先生に連絡してみた。

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