2025年2月27日木曜日

Thursday night

今日は朝に講義。そして午後はBiologyの新任教員が集まって、一月からここに来た私と I の疑問にみんなで答えるというミーティングを開催してくれた。学生指導担当、成績評価、物品購入、ラボのリノベーション、スタートアップ資金とか、日々疑問に思っていたことを色々と聞くことができて良かった。大学のオンラインシステム上に膨大な情報があるのだけど、例外とか新しいルールとかもあるし、基本的にこういう細かいことは誰も教えてくれないので、逐一自分で聞くしかないのねという感じ。
最近は、講義のある木曜日が一週間で一番大変な日なので、木曜の夜はちょっとリラックスできる。と言っても今晩は、京大の方のフライルームでまだスクリーニングをしてくれている学部生二人とのオンラインミーティングを予定していたので、それが終わってから鍋を楽しんだ。青ネギをたくさん入れた生姜風味の鶏寄せ鍋。実はここのコンロの火力調節が難しくてゆっくりと煮込んだからか、とても上品で奥深い味になった。

2025年2月22日土曜日

GMS.6

今週の講義のトピックは、「Transposable elements I : Finding of transposon in Maize and Drosophila」。ということで、前半はBarbara McClintockがトウモロコシの粒の色の研究で発見したtransposable element、いわゆるトランスポゾンのお話。このところの講義では毎回、ノーベル賞を受賞した研究について話しているけど、このマクリントックという方はこれまたスゴイ研究者だなと再確認させられた。ゲノムの中で場所を変える遺伝因子という彼女の発見は、当時の遺伝学の常識を覆すものだったこともあり、発表後もかなり長い間周りからは理解されずほとんど無視されていたにも拘らず、自分の学説が正しいことは分かっていたのだという。で、後半はショウジョウバエのトランスポゾン、P elementの発見につながったhybrid dysgenesisのお話と、P elementを用いたgermline transformationの方法について。
これまで自分はトランスポゾンについてあまり詳しく勉強してこなかったけど、ヒトゲノムの40%以上がレトロトランスポゾンとか、よく考えてみるとかなり面白いよねぇ。来週はさらに「Transposable elements II」ということで、引き続きトランスポゾンの話をする予定。

2025年2月18日火曜日

LSU

昨日月曜日は、LSU(Louisiana State University)のDr. SCから招待してもらってセミナーをしてきた。LSUはうちのULとはまた別の州立大学で、隣町のバトンルージュにある。朝から晩までみっちりとスケジュールを組んでくれていたので、朝早くに出て車で高速を1時間ほど走ってLSUに到着。町も大学もLafayetteより一回り大きい感じ。特にBiological Sciencesは、三つの学科から成っていてかなり規模が大きいようだ。夕方に予定されていたセミナーまでの間に、Dr. SCのフライラボを見せてもらったり、大学院生達と一緒にランチを取ったり、7人のファカルティ一人ずつと面談したり。セミナーの後は、Dr. SCと亀仙人みたいなおじいちゃんの研究者と三人で、大学近くのレストランでディナー。話を聞いていると、どうやらこのおじいちゃんはかなりすごい研究者で、業績はさることながら、これまでに幾つものバイオベンチャーを立ち上げていたり、日本の理研でアドバイザーをしていたこともあって、これまで何十回も日本を訪れているらしい。地元のケイジャン料理を食べながら、色々と面白い話を聞かせてもらった。そんな訳で、朝早かったうえに一日中ソーシャライズしてトークもしてかなり疲れたので、そこからまた運転して帰るのはちょっとしんどかったけど、翌朝にまた授業があるので頑張って帰ってきた。
そういえば、LSUのファカルティで日本人の方2人と知り合うことができた。ルイジアナに来る日本人は珍しいということで、お二人ともかなり興味を持たれていた様子。今後色々と教えてもらうことになるかも。

2025年2月15日土曜日

GMS.5

今週の講義のトピックは「Loss-of-function mutagenesis for forward genetics」。ということで、Nüsslein-Volhard & Wieschaus によるいわゆる Heidelberg screen の概要、その遺伝学的な戦略と発生生物学における意義などについて説明。原著やその周辺資料を眺めて、これまた本当にすごい仕事やなぁと改めて感動しながら準備していたのだけど、そのすごさがどれくらい伝わったかな。というのも、このHeidelberg screenから出てきた数々の発見は生物学史においてとてつもなく大きな意義があるのは当然なんだけども、スクリーニングでのターゲットにしたフェノタイプが、幼虫の腹側に生えている細かい毛(denticles:歯状突起)のパターンというなんとも地味でマニアックなものだから、熱く説明しながらもちょっと学生の反応が気になってしまったのでした。

ジャワカレー

日本から持ってきたジャワカレーのルウを使った普通のカレーだけど、やっぱり日本のカレーは美味いね。ということで、最近だいぶ料理も再開し始めている。食材は、肉、野菜、果物はだいたいのものが大きなスーパーで手に入る。まぁやはり魚と加工食品は日本と同じようなものはあまり手に入らないけど、エビや貝のようなシーフードはまぁまぁあるかな。あと、この町に新しくできた結構大きめのアジアンスーパーがあって、調味料とか冷凍食品とか日本のものもそれなりに売っている。
家の方は、昨日ついにソファが届いたので、ダイニングとリビングの空間がだいぶ心地良いものになってきた。ちなみにソファを届けてくれた家具屋は、前日からSMSで配達時間を知らせてくれていて、翌朝の7時から昼前までの間に届く予定とかいうことだったのだけど、さすがに7時ということはないだろうと思っていたら、朝の7時前に「あと2〜3分で到着します!」とかいうメッセージが来た。えぇ⁉︎マジでーとか思っているうちに、本当に7時に大きなトラックが家の前に停まって、二人の作業員が運び込んで組み立ててくれたんだけど、結構びっくりしたな。7時はちょっと早すぎだろう。まぁ良いんだけど。

2025年2月11日火曜日

Achiasmy

急に暖かくというか昼間は暑いくらいになってきて、通りの木々が花を咲かせ始めている。研究棟のすぐ前にあるこの木は、花の形が桜に似ているけどどういう種類なんだろうかね。
今朝の授業は、課題として出していた論文の内容について、学生一人一人のプレゼンをもとにみんなでディスカッション。Achiasmyの仕組みと進化について、ということで仮説をもとにした推論が多かったものの、それなりにディスカッションも盛り上がって学生達も楽しんでいたように思う。毎週結構な勉強が必要だと思うのだけど、みんなしっかりと調べてきてそれなりのプレゼンをするのはすごいなぁと思う。

2025年2月9日日曜日

TANTO 29

日本からこちらの町に到着したのが1月9日だったから、今日でちょうど一ヶ月経ったわけだ。いやぁもう毎日何かやらなければいけないことがあったり、なんやかんやといろんなことに遭遇したりして、振り返ってみてもえらい長く感じる一ヶ月間だった。いまだに家の中では日本から送ったダンボール箱が片付けられていないし、ラボのセットアップはまだ何も手をつけることができていないけど、とりあえずこちらでの生活や仕事のための基本的な手続きはほぼほぼ出来たはず。先週は、注文していたダイニングセットが届いたし、今週の金曜日にはソファが届く予定で、家の中は少しずつ自分の生活空間ができつつある。そして一昨日は、ダウンタウンで見つけたなかなか良い雰囲気の自転車屋さんでマウンテンバイクを手に入れてきた。今回のは BIRIA というドイツブランドのバイクで、たまたまこの自転車屋さんにこれがあったからなんだけど、とても乗りやすいしスッキリとしたシンプルなデザインで色も気に入った。ということで、明日からはこれに乗って通勤する。

2025年2月8日土曜日

GMS.4

今週木曜の授業は「Recombination and Chromosomal Rearrangement」ということで、遺伝学の歴史におけるターニングポイントとなった二十世紀初頭の論文数編を紹介しながら。これらの論文で報告された数々の発見は、第2回の授業で話したメンデルの遺伝学実験、サットンやボベリの染色体説を統合して現代遺伝学の基礎を成すに至ったもので、全てT.H. Morganラボのフライルームで研究していた学生(A.H. Sturtevant, C.B. Bridges, H.J. Muller)による研究。ということで、いつもより説明に力がこもったかな。ショウジョウバエの数々の変異体を見つけてそれらを用いた遺伝学実験は、その後の生物学研究のアプローチも一変させた歴史的なものであることがよく分かる。
課題として出したのは、ショウジョウバエのオスで減数分裂時の組換えが起こらないAchiasmyの仕組みと性染色体の進化について考察した論文。これに関しては、実は自分もあまりよく知らないので、学生達と一緒に勉強できればと思う。

2025年2月7日金曜日

ようやくオフィスとラボの鍵ができたという連絡が来たので、大学内のキーを作っている部署へ行ってもらってきた。はじめ自分のオフィスはもう一つ別のBiologyの建物に指定されていたので、そちらの部屋のものと、両方の建物の入り口とか階段からフロアへの扉の鍵とか色々合わせて全部で8本。しかも1本ずつにお金がかかるのでそれなりの額を支払ってきた。そういや確かにここでは、キーチェーンにたくさんの鍵をジャラジャラつけて持ち歩いているファカルティが多いけど、こういうことなのね。

2025年2月6日木曜日

初夏?

こないだルイジアナではあり得ない大雪が降ってから二週間しか経っていないけど、今週は昼間の気温が26度とかまで上がっていて、日差しもきついし湿気も出てきた。大学のキャンパスでは、早くも真夏のような格好をしている学生もたくさん歩いている。ラボの荷物の輸送のことで京都の業者の方と連絡をしていたら、京都は雪が降っているとか。そういやまだ二月になったばかりだから、日本はまだ真冬か。暖かくなるのは良いけど、こんなにも早く暑くなってくるということは、夏が思いやられるな。
そんな中、昨日はこちらで初めてのファカルティミーティング(いわゆる教授会)に出席。結構くだけた雰囲気の中、こないだのような大雪とかの天候で大学が閉鎖になった時の授業の対応とか、教育現場における生成AIに対する方針とかについてディスカッション。で、一番大事な議題は、数名のファカルティメンバーの昇進案件について。色々と説明があった後に投票が行われて、新任の自分も投票に参加。なるほどこういう感じで行われるのか、と色々興味深く観察しつつ間違えたことをしないように慎重に参加した。

2025年2月2日日曜日

GMS.3

先週木曜日の授業は、「Genetic Model Organisms」というテーマだったのだけど、大まかなコンセプトについては第一回で話しているので、今回はその中でも線虫 C. elegans について。前半にモデル生物としてのC. elegansの概要について話して、後半は実際にC. elegansがモデル生物として使われた研究の例として、Agingの研究におけるマイルストーンとなったいくつかの論文を紹介。このdaf-2 and daf-16に関する話は、日本でも何度か老化研究を紹介する授業で使ったことがあるので、まぁやりやすかったかな。課題として出したのは、細胞浸潤のモデルとしてC. elegansのanchor cellを用いた最近の研究論文。

2025年2月1日土曜日

オフィス

今週も火曜と木曜の朝に授業をした以外は、基本的にオフィスで仕事をしていた。オフィスはラボと同じ5階にあるのだけどラボとは少し離れていて、しかも廊下から扉を開けてさらにその先に三つある扉のうちの一つという、ちょっと奥まった分かりにくい場所にある。ここは建物自体がかなり古くて、内部は改築をしているからか部屋の構造が複雑になっている。自分がもらったオフィススペースは、おそらく昔は実験室の一部だったのだろう。部屋の一角の天井には大きな換気口があって、そこにヒュームフードみたいなものがあったことを示唆している。部屋には大きな机が2台と古い椅子がいくつかあったので、とりあえず机をオフィスらしい配置に並べ替えてみた。そんな感じで、どんなオフィスにしようかと想像しながら、月曜と火曜はまずは掃除に勤しんだ。そもそも全てのものがかなり古いので、それほど綺麗になったわけではないけど、床や窓を磨くと少し自分の居場所になったような気がしてきた。部屋には縦長の窓が一つあってそこからキャンパスの風景が臨めるので、その窓の隣にデスクを置いてみた。