2025年7月30日水曜日

JとK

大学院生としてうちのラボに来る予定だったイランの学生二人が、昨今の様々な情勢によりアメリカへ来ることが叶わなかったのだが、ビザの問題で来れなくなった新入生はうちの学部で彼ら以外にも数人いたようだ。それ以外にも在学生で休学する学生がいたりして、秋学期から授業や実習を手伝う大学院生のTAが足りなくなってしまったらしい。そんな訳で、この秋の入学を志望していたけど受け入れ人数の問題で、来年の春学期まで選考を延期された受験生の中から数人に対して、急遽秋入学への許可を出そうということになった。という話を、先々週の金曜日に急に大学院のコミッティメンバーから直接聞かされた。なぜ自分に直接その話が来たのかというと、コミッティが目を付けた受験生というのが、この春にうちの学部を卒業した学生で、修士課程でうちのラボを志望していた J と K だったからだ。他にも候補者は数人いたようだが、海外からの学生はもうすでにビザの手続きが間に合わないし、この二人の成績と評価がかなり良かったこと、そしてうちのラボに入学予定だったイランの学生が二人とも来れなくなったことなど複数の理由があった。まぁうちとしては喜ばしいことなので、その場で二つ返事でお願いした。
で、その後そのことについて、ファカルティの皆さんで投票を行いましょうというコミッティからのメールがあったのだけど、それに対して数人のファカルティから、コミッティによる選考過程が不透明だとか、海外の候補者を除外するのは差別に当たるとか、その学生は自分の授業のレポートでAIを使ったから許可できないとかなんとか、否定的な意見が出てきてファカルティ全体のメールで結構激しいやり取りが交わされていた。結局、ファカルティミーティングを開いて皆で議論してから投票しましょうということになり、先週あったそのミーティングではこれまたかなりインテンスな議論が一時間以上続いた。反対意見を持つ数人のファカルティの意見は正義感のある方々の正論と言えばそうなんだけど、今は問題解決のためにもう少し柔軟な対応をした方が良いはずだし、コミッティが事前に決めてしまったように見えたのが気に入らなかったのだろうけど、それで候補の学生を執拗に貶めるようなことを言うのは自分は納得がいかなかった。議論の主な対象になったのが自分のラボを志望している学生二人と言うこともあり、皆さんの議論が少し落ち着いた頃に自分の意見を言わせてもらった。ファカルティミーティングで長々と自分の意見を述べるのは初めてだったのでちょっと緊張したけど、しっかり頷いて聞いてくれている人が多かったので落ち着いて話せたと思う。そのスピーチの効果がどれくらいあったかは分からんけど、その後行われた投票では3分の2以上の賛成票が集まって、結局 J と K の二人ともこの秋からうちのラボに来れることになった。
数人のファカルティが大きな声で反対意見を出してきた時は、なんとなく皆その雰囲気に流されてダメになるんかなぁとか思ったのだけど、ここまで真剣に意見をぶつけ合って決めるのはアメリカらしいなぁと思った。ということで、来月から大学院生が4人、学部生もたぶん3人来ることになるのかな。誰が何をするのか、ちょっと具体的に考えていかんとあきませんな。

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