2012年9月20日木曜日

日中台三者対談

尖閣諸島の問題で、中国では今までになく大きな反日暴動が起きている様子。昨日9月18日は柳条湖事件が起こった日ということで、奇しくも二年前の中国漁船衝突事件と同じように中国人にとっては最も愛国心が高まる重要な日と重なってきた訳で、これまたなんかエライタイミングが良い気がするのだけども、どうやら暴動が拡大し続ける訳でもないようなのでやはりまだ中国共産党政府がしっかりと民衆をコントロールできているように見える。
ということで、一昨日ここぞとばかりに中国共産党員のドンちゃんとこれについて話をしてみた。偶然その場に台湾人のアンソニーもいたので、思いがけず日中台の三者による領土問題についてのデスカッションになった。
しかし、やっぱり現状と同様に、初っぱなから中国人のドンちゃんだけがエライエキサイトして中国の領有権正当性の主張をまくしたててしまうという事態に。そして台湾人と日本人は、その強引というか傲慢というかいつもながらの自己中心的な論理に閉口したのでした。
それにしても中国による尖閣諸島領有権の主張は、そもそも四十年ほど前にこの海域に地下資源が存在する可能性が指摘された時から始まった、という事実についてはどう思うの?と聞くと、確かにそれはそうなんだけども、その結果探してみたら尖閣諸島が昔々中国のものであったということを記述してある古文書を中国人は見つけたんだと。我々は歴史上の証拠を見つけたから中国の領有権を主張出来るんだと。
いやいや、そんな論理がまかり通るのならば色んな国が色んな主張を出来る訳であって、例えばじゃあモンゴルが「昔々モンゴルが中国を征服したという事実が古文書に書かれてあるから中国は全部モンゴルのものだ」って今になって主張し始めたらオマエらはどう思う訳?と聞くと、さすがに論理の破綻に気付いたのかゴニョゴニョと言い訳をしていたけども、結局その論理を撤回する気は全くなさそうだった。そしてその論理を元に、中国の領土は一昔前はもっと広かったので、日本とだけじゃなくて周りのいろんな国と領土問題で争っているんだということをホワイトボードに地図を書きながら自慢気に話しだす始末。
でもねぇオマエ、一般的に領土問題っていうのは双方の国にそれぞれの主張がある訳であって、なかなか難しい問題なのよ。国民が感情的になって主張する領有権だけじゃなくて、もっと国際的な視点から洞察するべき問題だと思うよ。例えば今回は日本国内の政治的な問題が発端になっているかも知れないけど、そこにはアメリカが今後日本をどうしていきたいのか、ということが関係しているんじゃなかろうか。しかも日本と台湾というのはロシアと中国という二大共産国とアメリカを隔てる言わば壁な訳であって、この辺りの地域は軍事的に非常に重要な場所なんですね。アメリカが東アジアに影響力を残しておくためには北方領土や尖閣、台湾、朝鮮半島といった地域を潜在的な紛争地として残しておきたいというアメリカの意向が反映されている、ということも考えるべきだと思うよ。だからそんな自国の主張だけをしてたら話にならんのよ。と、ちょっとオトナな意見を話すと、ようやく少し落ち着いて黙ってくれた。ちなみに台湾人はこの辺り普段から常に考えさせられる状況にあるからか、アンソニーは嬉しそうに日本人の意見に同意を示してくれたのだけども、基本的に台湾人はこの尖閣諸島の問題にはそれほど興味がない、というか首を突っ込みたくないという感じ。
で、領有権の話はおいといて、中国政府は国民の政府に対する色々な不満に対するガス抜きとして反日を煽って愛国心を焚き付けるようなコントロールをしているのはよく言われている話だけども、今回の民衆の暴動が今後さらに拡大してその矛先が中国共産党政府に向かう心配はないの?と聞いたところ、ドンちゃんが言うには、このまま反日暴動が拡大するとまず間違いなく矛先は中国政府に向かうだろうと。だから必ず政府がなんとかしてこの暴動はこれ以上大きくならないようにコントロールし始めるはずだと。しかしながら今回は日本が尖閣諸島を国有化したという事実がきっかけになっていてその事実は変えられない訳で、政府はどうやって民衆を説得するのか?と聞いたら、それは共産党員のドンちゃんにも分からんと。
ということでこの問題、今後どのように推移していくのか結構興味深いところ。何かあればまた中国共産党員の意見を聞いてみたいと思う。

ウィキペディアの「尖閣諸島問題」の中にある「中国の領土拡張戦略」はなかなかオモシロイなと思った。以下抜粋。
中国共産党は、清がイギリスなどの西欧列強に領土を奪われた経験から、軍事的実力のない時期に国境線を画定してはならないという考え方をもっている。中国とインドの事例(中印国境紛争)では、1954年の周恩来とネールの平和五原則の合意および中国国内のさらなる安定を待って、インドが油断している機会を捉えて、1962年11月、大規模な侵攻により領土を拡張した。当時、キューバ危機が起きており、世界がそちらに注目している中での中国による計算し尽くされた行動であった。軍事的優位を確立してから軍事力を背景に国境線を画定するという中国の戦略の事例は、中ソ国境紛争などにも見られ、その前段階としての軍事的威圧は、東シナ海および南シナ海で現在も進行中である。日中国交正常化時の中国側の領土棚上げ論は、中国に軍事的優位を確立するまでの猶予を得るための方便ともいえる。

実はドンちゃんみたいに愛国心を剥き出しにしてくる中国共産党員は周りでは珍しい気がするんだけども、こういう見方をすると、もしかしたら今の中国政府は日本と戦争になっても仕方ないくらいの勢いがあるんかな。

3 件のコメント:

  1. 超個人的な見解だけど・・・戦争にならない程度に煽り続けて、煽り続けて、東トルキスタンが立ち上がるのを期待したい。。。などと思ってしまう私は不謹慎なのかも。

    http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%B1%E3%83%88%E3%83%AB%E3%82%AD%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%B3%E7%8B%AC%E7%AB%8B%E9%81%8B%E5%8B%95

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  2. うーむ、東トルキスタンの分離独立ってこと?
    BBCの「Death on The Silk Road」って見たことある?当然問題は核実験だけじゃないけど、ひどいよねぇ。

    http://www.youtube.com/watch?v=37sFp3pcPHo

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  3. そうそう。南でごたごたしている時に、北の方で中国分裂みたいな。。。東トルキスタンが立ち上がれば、チベットも含めて、一気に独立運動が起こらないかなぁと。。。チベットと東トルキスタンの民族浄化だけは、止まって欲しいのです。でも、きっと、今より血がながれるよなぁ。。。

    Death on The Silk Road、みてみるねー。

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