2013年9月27日金曜日

Dr. DF 来訪

今日はDukeのDr. DFがFSUにトークをしにきた。トークの内容はもちろん「Polyploidy」についてのお話。彼のところでは基本的にハエの腸を使ってpolyploidyの生物学的意義を考えてはるんですね。polyploidの細胞がなんでわざわざerror-proneなmitosisを起こすのか、そこには何か意味があるんとちゃいますか、という話は面白かった。
Endoreplication and polyploidy: insights into development and disease.  Development 140:3-12.

で、午後に一時間ほどの個人面談をセッティングしてもらった。実は去年、自分のDev Cellの論文を投稿する前から、Dr. DFがintestineでwound-induced polyploidization、つまり自分がfollicleで見たCCHと同様の現象を発見したという情報が耳に入っていたので、彼の論文よりも先に出さなければと焦った経緯があった。今日そのことを話してみると、当然彼らのほうもこちらの動向を知っていて結構ナーバスになっていたらしいのだが、結局彼らの論文もつい先日Current Biologyにアクセプトされたんだそうな。で、その論文のデータを見せてもらって興奮した。adultのabdominal epidermisに傷をつけると、wound healingの過程で周りの細胞がsyncytial formationとpolyploidizationを起こすんだそうな。これはまさにCCH。ちなみに、このpolyploidizationはどうやらYkiに依存していると。intestineにおけるCCHの論文ももうすぐ出るらしい。同じ現象を同時期に発見するっていうのはよくあることだけども、こうやって同じ現象を別の組織で同時期に発見したっていうのはお互いにとってグレイトだよねっていう話になった。非常にタイムリーなので是非今執筆中のレビュー論文に引用しますわということになったのだが、こちらは締め切りが来週に迫ってきているのでどうしたもんかね。

それにしてもこのごろこういう機会があるとよく思うのは、自分はもちろん実験するのも論文書くのも好きなんだけど、自分にとってサイエンスをやっていて一番楽しいのはこういう他の研究者との交流なんやなぁということ。

6 件のコメント:

  1. 確かに他の研究者との交流は、サイエンスの醍醐味ですよね。

    CBのその論文は、IHさんがレヴューしてました。。。僕にチラ見せして、君にはそんなに関係ないよね、みたいなことを言っていた覚えがあります。世界、というか世間は、狭いですね。傷でのsyncytium形成については(幼虫とサナギを使って)、テキサスのギャル子さんが一年以上前のUKの学会で、新しいミュータントをとったよ、って言っていたけれど(ポルトガルのジャキントさんとコラボで)、彼らの論文は一体どうなっているんだろう。syncytium自体は、ギャル子さんの2004年のプロスバイオロジーで、既に幼虫の上皮で起こるって言っていますね(polyploidizationについては言及なしだけれど)。

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  2. あら、レビューはそちらでしたか。実は昨日、proof前のMSを送ってもらえたので読んでみました。これ、ギャル子さんとこも知らないはずはなかったと思うんですけど、どうなんですかね。そのギャル子さんの新しいミュータントって、syncytium形成に関与する遺伝子ということですか?ちなみにこのCBの論文では、Yki knockdownでcell fusionとpolyploidizationを阻害できることからHippoの関与を示しているだけです。あと、cell fusionに関してはRacもですね。このwound healingの過程でquiescent cellがre-entryする際に、なんでendocycleに入るのかは謎です。
    ギャル子さんの2004年のPLoS Biolをよく見直してみると、結構核のサイズにばらつきがあるように見えるので、たぶんlarval epidermisでもpolyploidizationによるCCHが起こってるんじゃないかなと思います。

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  3. 補足
    Yki knockdownはcell fusionを“阻害”するのではなく、“enhance”するみたいです。よりたくさんの細胞がfusionしてさらにでかくなってます。

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  4. ギャル子さんの話は、ILKとかPINCHとかadhesion関連分子でした。というか、そういうものにフォーカスしてbiased RNAi screeningをしたと言っていました。確かに、larvaでもpolyploidizationによるCCHが起こっているかもしれないですね。でもそうだとすると、アダルトだと、多くの細胞が理由はともあれpost-mitotisis的な状態にあってendocycleに入りがちなのは何となくわかる気がするけれど、larvaとかでもそれが起こるなら興味深いですね。larval epidermisが普段どんな状態にあるのかは知らないのですが。。。polyploidyって、僕はあんまり普段考えないのですが、考えると面白いです。

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  5. 補足で、PINCHとかILKのノックダウンもenhanceだった記憶があります。ただ、実は、それは傷依存的じゃない、っていう結構彼らにとって面白くないオチがありました。

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  6. 確かにそのオチはちょっとさむいですね(笑)。ちなみに、Ykiのほうは傷依存的です。

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