2012年4月3日火曜日

松本さん

昨日、友人の松本さんが少し前に亡くなられたことを松本さんの奥様からのメールで知った。
松本さんはもう十年ほど前、自分が会社で勤めていた時に一番仲良くしていた嘱託のおじいちゃんの一人だった。嘱託のおじいちゃんといってもその前は、ある化学系大企業の研究所で第一線の研究をされていた方なので、友人と言うにはおこがましい、社会人としても研究者としても大先輩にあたる方だったのだが、本当に気さくで愉快な方だったので会社ではよく二人でふざけあっていたことを思い出す。実は自分が会社を辞めて大学院に戻ろうと思っていたことを辞表提出前に会社の中で相談したのは信頼できる大先輩であると同時に仲の良い友人であった松本さんだけだった。相談した時に「それは素晴らしい、すぐにでも戻りなさい。」と強く後押ししてくれた彼の言葉がなかったら今の自分はなかったかも知れない。大学院への復帰が決まった時には会社帰りに二人で飲みに行ったし、三年後の春に博士号取得が決まった時にもわざわざ必要のない札幌出張を作ってまだ雪深い札幌にまでお祝いしに来てくれたのだった。アメリカに来てからはあまり連絡を取っていなかったのだが、去年末の一時帰国の際にひょんなことから会社時代のもう一人の親友、山本さんの取り計らいで京都で三人で会えることになったのだった。このときタイミングよく三人で会えたことは、奥様の言葉をお借りすると「まるで神様が下さった不思議な時間の様な気がしてならない」のである。京都で別れ際に「次の帰国の際にもまた必ず会いましょう。」と言ってしっかり握手をしたのが今生の別れとなってしまった。癌を患われていたのではあるけど、本人自らその作用機序を熱心に説明して下さった抗がん剤がうまく効いているようでお元気そうだったし本人も希望を持たれている様子だったので、こんなに早くという驚きが大きいとともに残念でならない。
今は楽しかった会話が一つ一つ思い出されてなんだかなかなか元気が出ないのではあるけど、研究の道へと自分の背中を押してくれた松本さんの激励に報いるためにもがんばって研究して成果を報告しなければと思う。

2 件のコメント:

  1. いい日旅立ちのおばさん2012年4月4日 7:13

    松本さんのご冥福をお祈りいたします。私の恩師はフロリダにいます。今のお気持ち辛いとおもいます。でも、成果を出して恩返しをする事が生きている者の責任だと思います。最後に京都でお会いできて本当に良かったです。皆様もお身体を大切にして下さい。

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  2. ありがとうございます。人との出会いは人生の宝ですよね。彼に出会えた幸運に感謝です。

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